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THINK PIECE

BUNNEY HAND ENGRAVING

アンドリュー・バニーが探し当てた“彫刻職人”の手仕事拝見

16 6/10 UP

photo & text: photo:Shoichi Kajino
interview & text:Akihiro Hayashi

イギリスの歴史や伝統を、ジュエリーを通してモダンなラグジュアリーとしてアップデートするBUNNEY。
先日、ディレクターのアンドリュー・バニーが英国王室御用達の彫刻職人とともに来日し、ワークショップを開催した。
会場となったTOMORROWLAND渋谷本店には、什器や研磨用のグラインダー、そして刻印するための工具など全てが
ロンドンにあるBUNNEYの工房から持ち込まれた。実際の工房がそのまま再現されたかのような空間で、
彫刻職人であるスティーブにワークショップの工程を実演してもらいながら、
たった2日間だけ行われた贅沢なイベントの狙いをアンドリューに聞いた。

 

WORK IN PROGRESS

1. 刻印に使用するフォントを選び、イニシャルを職人がスケッチ。ワークショップでは仕上がりイメージを相談しながらできるのも魅力のひとつ。

2. 刻印するジュエリーはヤスリで荒磨きした後、専用のグラインダーで研磨され、超音波クリーナーで仕上げられる。グラインダーではマットな研磨も可能だ。

3. スケッチを元にフリーハンドで下絵を施した後、専用の工具を用いてひと彫りずつ丁寧に、まさに手作業で刻印していく。

4. 研磨から15分ほどの工程で、ジュエリーの刻印が完成。実際の作業を見る体験は、ラグジュアリーな価値を強く印象づけられる。

 

──
まずは今回のワークショップ開催の狙いを教えてください。
ANDREW BUNNEY(以下、A)
「ロンドンでも実施したことのない試みなのですが、BUNNEYのブランドのベースには“プロダクトを通して歴史や伝統的なものをモダンなものとして紹介していく”ということがあるので、今回のイベントもその良いきっかけとなればと思い企画しました。熟練した職人の手によってオリジナルの刻印を目の前で施してもらうことで、特別な体験として付加価値が加わると思います。一生ものとして何年か先に見て思い出となるようなものになるでしょう」
STEVE(以下、S)
「刻印の方法も工具も1000年前から変わっていない歴史的なものです。工具も全てロンドンの工房から持ってきたものですが、レイアウトまでいつものまま。ごちゃっとしている中でも、自分ではどこに何があるかすぐわかるくらいです(笑)」

──
スティーブさんはBUNNEY以外ではどのような彫刻をされているのですか?
A
「彼は彫刻職人として、ウィンブルドンやサッカーのUEFAの優勝カップも作っているんです。そういった最高の品質が求められる仕事を多く手掛ける職人として、彼を探しあてました」
S
「イギリスでは、1665年に職人の徒弟制度のようなものが始まりました。今回、1977年のエリザベス女王の即位27年を記念して制作した手彫りのプレートを持ってきたのですが、これは私の卒業証書のようなものです。職人は、今でも最低5年間は師匠につくのですが、こういったものの制作で師匠を離れる技術がついたという証になるんです」
A
「BUNNEYのプロダクト全てについているホールマークも歴史的なもので、製作年がわかるよう、普通は裏にあるものを表に掘っています」

 

──
ワークショップの刻印に使用するフォントの種類にも意味がありそうですね。
A
「シェイデッドローマ、タイムズ・ニュー・ローマン、オールドイングリッシュ、カッパープレートなど、すべてイギリスの歴史あるフォントから選んでいます。歴史があり意味があるものをベースに、それを現代の人たちにどうやって届けるのか? を考えながら、いつも、もの作りをしています」
──
歴史のモダンなアップデートというテーマがある一方、コラボレーションなどを通じたユースカルチャーのピックアップも、ブランドの一つの姿勢だと思います。今気になっているカルチャーシーンや、プロダクトはありますか?
A
「1950年代から特にですが、イギリスでは若者のエネルギーの発散をカルチャーとして捉えてきた、とても良い国だと思っています。コラボレーションの相手は普段過ごす中で自然と浮かんでくるので今は特に探してはいませんが、基本はオープンでいたいですね。イギリスにはなんらかの形でリンクさせたいですが、見たことのないところから取り入れてみようという気持ちもあります」

──
イギリスを軸にしつつ、当初から日本のマーケットも重視されてきたと思うのですが、どういった点が日本で受け入れられていると思いますか?
A
「洗練されている方が多く、BUNNEYへの理解度の高さがあると思います。日本の歴史や伝統、四季のある島国であることなど、感覚の共通点の多さも影響しているのでしょう」
──
あらためて、日本のカスタマーに届けたいメッセージなどはありますか?
A
「貴金属というマテリアルを使用している時点で既に貴重なものですが、全て熟練した職人によるハンドメイドで作られるBUNNEYのジュエリーを通じて、歴史や伝統のラグジュアリーをぜひ実感して欲しいです」

 

BUNNEY
http://bunney.co.uk
[問]ディプトリクス
tel: 03-3409-0089