honeyee.com|Web Magazine「ハニカム」

Mail News

THINK PIECE

HIBANA

廣木隆一監督、主演の林遣都、波岡一喜が語る
ベストセラー小説『火花』のドラマシリーズ。

16 6/13 UP

photo: Aya Yamamoto
Interview&text: Aika Kawada
stylist: Yonosuke Kikuchi(Kento Hayashi),Masahiko Kuroda(Kazuki Namioka)
hair&make-up: SAYAKA(Kento Hayashi,Kazuki Namioka)

──
最後の漫才シーンは面白いという域を超えて、胸に迫るものがありました。あの迫力や臨場感はどのように撮影をされたのでしょう。
HK
「原作でも非常に印象に残るラストでしたし、現場でも『ラストの漫才はどうなるんだ』という空気になっていたと思います。それは僕らも感じていて。これをちゃんと心に残るシーンにしないと、今までやってきたことが全部崩れてしまうと思っていました。相当気合をいれて臨んだシーンだったんです。嬉しかったのが、5人の監督が、演技も漫才のシーンもさせてくれたんです。漫才のシーンは基本的にそうですが、リハーサルもなく、僕らコンビに完全任せていただいていて。現場で朝、カメラが準備されていて、『じゃあ撮影はじめるので』と言われて初めて披露するんです」
──
最後の漫才を見守る、他の登場人物たちの表情も良かったですね。
N
「あのシーンはカメラ何台置いていました?」
HR
「4台くらいはありましたかね」
HK
「ラストの漫才は好井さんと僕で作ったアドリブが相当入っています。実際に好井さんは予定よりも早く涙を流しちゃって」
──
個人的に気に入っている回はありますか。
N
「特に何話が好きとかではないんですが、僕自身の感覚として中盤はしんどかったんですよ。神谷ってしんどい奴だから。それを考えると、徳永と門脇麦さん演じる真樹と三人で日常の中ほんわかしているときは、本当に楽しめる幸せなシーンでした」
HK
「終盤は好きです。スパークスというコンビが売れ出してから一気に崩れていくという。他の現場では経験したことがないくらい集中していました。本当にありがたい環境で4ヶ月間撮影できました。作中の神谷や山下という、人物を見ているだけで涙をこらえられませんでした。自分の力だけでなく、周りに作ってもらったという感覚があります。なので、最後の別れやどん底を味わうシーンがとても心に残っています」
N
「あと、俺は第一話の頭も好きやな。熱海の花火大会のところ。あれが初日やったから、超絶なる強烈な緊張感を感じていたんです。そのピリついた緊張感が画にも出ているし。しかも夏の設定だけど、実はめっちゃ寒かったんですよ」
──
第一話は、廣木監督が撮影を手がけたんですよね。二人で東京のいろいろな街を彷徨うシーンが、東京に実際に住んでいる者からしてもリアリティを感じました。今まであまり映像化されてこなかった、東京の顔とそこに集まる若者のリアルな姿が描かれていました。実体験に近しいものがあったのでは、と推測するのですが。

(c)2016YDクリエイション

 

HK
「撮影の中盤くらいに監督が現場でモニターを見せてくれたんですが、吉祥寺の街で波岡さんと二人で歩いている夜景のカットがめちゃくちゃ格好良かったのを覚えています」
N
「二人で吉祥寺から上石神井のほうまで色んなところを歩くシーンが繰り返し出て来るのですが、一回、プライベートでも新宿から一時間くらい歩いてみたんです。そのときも同じような感じでしたね。俳優同士の話でしたけど。『もっと売れたいけど、どうしたらえんやろ』という」
──
お二人は徳永と神谷と同じような関係性なのかなとお見受けします。共演してみて、お互いにどういった感想をお持ちですか。
HK
「徳永が神谷を見ている目線が、僕が波岡さんを見ている目線と近いんだな、ということは台本を読んで感じました。同じ仕事をしている先輩への尊敬、憧れもあり、それ以上に人として、一人の男として惹かれるんです。自分にないものがあって、純粋に面白いと思いますし。波岡さんとは十代の頃にはじめてお会いしているんですが、今回その感情が更に高まりました」
N
「俺も同じです。何か付け加えるとしたら、神谷と徳永みたいな関係性が日常的にもちょっとずつできてきているように感じていて、でもいざお芝居をはじめたら、すごく遣都を尊敬できるし、尊重できるし。『そうやるなら、こうやろうかな』みたいに、成長させてもらった気がしますね」
──
190ヵ国に今後配信されると伺いました。そのことについて何か思うところはありますか。
HK
「漫才やお笑いが身近に感じ、感動させた原作ですから、映像でも同じ、いやそれ以上の感動を一人でも多くの人に届けたいと思って演じました。でも実のところ、日本で試写を上映することすら実感が持てなかったんです。だから、海外でどういう反応をされるのかなんてもう全然想像できないです。漫才の本番や練習中に出るちょっとしたやりとりとか、どこまで伝わるのかな、というのは気になっています」
N
「僕は6月以降に海外に行って、『Oh, Kamiya!! 』って言ってもらえたら、すごく嬉しいですね。あと『なんでやねん』を英語でなんと言うかが気になっています(笑)」
HR
「日本の文化の中でも限定された部分を扱っている作品なので、どこまで通じるのかわかりませんが、マンガプラス、漫才プラス、というように興味を引くかな、という気もしますし。“若者の物語”は日本固有のものではないので。だから、色々な国の人も共感できる部分があると思っています」

 

『火花』

キャスト:林遣都 波岡一喜
門脇麦 好井まさお(井下好井) 村田秀亮(とろサーモン) 菜 葉 菜
山本彩(NMB48/AKB48) 染谷将太 田口トモロヲ 小林薫
総監督:廣木隆一
監督:白石和彌 沖田修一 久万真路 毛利安孝
原作:又吉直樹著『火花』(文藝春秋 刊)
全10話(約450分)、全世界同時配信中!

hibana-netflix.jp