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THINK PIECE

Jean André『TRÉSOR』

ジャン・アンドレが描くポップでチャーミングな「女性像」

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text: Kohei Onuki

ED BANGER RECORDSのアート・ディレクターや様々なブランド、雑誌のアートワークを手がける傍ら、
自身の表現活動としてポップなドローイング作品を発表するアーティスト、ジャン・アンドレ。
その彼が最新のアートブック『TRÉSOR』をbonjour recordsよりリリースした。「ジェントルマン・アート」
というテーマを掲げ創作活動を行うジャンが描き出すポップでチャーミングな「女性像」とは。

 

Jean André(ジャン・アンドレ)

1986年南仏生まれ。現在はパリでアーティスト、グラフィック・デザイナーとして活動。ED BANGER RECORDSのアート・ディレクターはじめ、様々なブランドや雑誌のアートワークを担当しながら、自身の創作活動を続ける。女性をチャーミングに、かつシンプルに表現するドローイング作品で注目を集める。

https://hvw8.com/jean-andre/
https://www.instagram.com/je_andre/?hl=ja

 

──
ジャンさんはこれまでにED BANGER RECORDSのアートディレクションをはじめ、様々なブランドや雑誌などのアートワークを手がけていますが、最近は主にどのような活動をされていますか。
Jean André(以下: J)
「最近は、毎日ドローイングをして、作品をインスタグラムにアップする活動をしています。最近では、インスタグラムにアップされた作品を観て、仕事の依頼を下さる方も非常に多いです」
──
ジャンさんがそもそもアーティストを志したきっかけについて教えてもらえますか。
J
「もともと小さい頃から絵を描くことが好きで、学校のノートにいつも絵を描いていました。学生時代は美術ではなく、広告やアートディレクションなど、主にコマーシャルの勉強をしていて、大学を出てからも、アートディレクションやウェブ関係、また映像制作の仕事をしていたのですが、小さな頃から好きだったドローイングに集中したいという気持ちが強くなり、今に至りました。例えば元々バラの花が好きだった人が花屋になったとして、『やっぱりバラの花以外売りたくないわ!!』と言って、『バラ屋』になったようなもので(笑)、私は元々ドローイングが好きだったから、アートの中でも絵を描くことに落ち着きました」

──
ジャンさんのインスタグラムにアップされた作品を拝見してみて、例えばトム・ウェッセルマンに代表されるようなポップアートからの影響を感じたのですが、どのような作家やアートシーンに影響を受けてきましたか。
J
「私はフランス人で、フランスのエロティックなマガジンなどのアートワークに強い影響を受けてきました。女性のヌードやエロティックなものに興味があり、ヴィンテージのエロティックなアートマガジンなどもコレクションしてきました。ただ、男性の性的な喜びを喚起するようなものに興味は無く、女性の色気やエレガンスをポップに、キャッチーに表現しています。女性をポップに描くという部分でアメリカン・ポップアートに通じる雰囲気を感じる人もいるかと思いますが、ベースとしてはフランスのカルチャーからの影響が強くあります」
──
女性のセクシーな魅力をポップに表現するものが、ジャンさんの言う「ジェントルマン・アート」なのですか。
J
「そうですね。品のあるジェントルマンやジェントルウーマンに向けて描いていますし、女性の魅力を表現するために自分で作ったジャンルのようなものが『ジェントルマン・アート』です。ストレートな形でエロティシズムや性を捉える方法ではなく、女性特有のエレガンスや生きている女性がそのまま絵になったかのようなナチュラルな雰囲気を大切にしながら作品を描いています」

 

──
今回、bonjour recordsから最新の作品集『TRÉSOR』を出版されましたが、今作はどのような作品なのでしょうか。
J
「作品集としてはこの『TRÉSOR』が5作目となります。1作目が『JE T'ADORE』、2作目が『ENCORE』、3作目が『MOM AMOUR』、4作目が『GENTLE WOMEN』というタイトルで、1から5作目のタイトルを繋げると、愛しい人に贈るフレーズになります。私は毎日絵を描いていて、4作目までは、約3ヶ月のペースで、日々描き溜めた作品をまとめて発表していたのですが、今作は『TRÉSOR(宝物)』というテーマを付け、約1年の間に描き溜めた作品を200ページのボリュームで収録しました。これまでで最もボリューミーな作品集です。とはいえ、私は普段インスタグラムなどに作品をアップしているので、SNSのように気軽に観て欲しいという思いから、判型もコンパクトにしました。なので、今作はインスタグラムで作品を公開している感覚に近くて、日々の創作活動の中で浮かんできたイメージを自然な形でまとめています」
──
インスタグラムのように手軽に楽しめる感覚を紙に落とし込んだわけですね。bonjour recordsから今作を出すということは、初めから決まっていたのですか。

J
「これまでの作品は自費出版で、今作も当初はbonjour recordsから出す予定はありませんでした。前作『GENTLE WOMEN』を出した後も毎日作品は描き溜めていて、『そろそろZINEを出したいな』と考えていた昨年秋頃に、日本に来てbonjour recordsの人たちと話す機会があり、お互いに『面白いことができたらいいね』と考えていて、タイミングも合って、今回bonjour recordsから作品集を出すことになりました」
──
今回の作品集と共に、ジャンさんのアートワークを落とし込んだアイテムも展開されるそうですね。
J
「はい。昨年秋に代官山のbonjour recordsを訪れたのですが、KITSUNÉやcoletteなど、私も良く知るブランドのアイテム、またミュージック、ファッション、アートがどことも違った絶妙なバランスで凝縮されたお店を見て、『bonjour recordsと一緒に何かやりたい』と直感的に感じました。お店の名前も私の母国語なので、親近感も感じます。ミュージック、ファッション、本などがコンパクトにまとめられた『カルチャーの何でも屋さん』といった趣がいいですよね。今回bonjour recordsとこのようなコラボレーションができて、とても良かったです」

 

JEAN ANDRÉ『TRÉSOR』

bonjour records
3,800円[税抜]
[問]bonjour records 代官山
tel: 03-5458-6020
http://www.bonjour.jp