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THINK PIECE

スチャダラパーの悪夢

結成20周年を目前に、衝撃のライヴ+密着ドキュメントDVDをリリース

09 12/18 UP

Photo:Yuji Hamada Text:honeyee.com

スチャダラパーが今年発表したアルバム『11』に伴う全国ツアーより東京公演の模様、
そしてツアー中に勃発した、グループ解散の危機をも捉えた密着ドキュメント映像で構成されたDVDが発売された。
ゲストアーティストも多数出演したライヴの出来はもちろんのこと、
密着映像のショッキングな内容に早くも話題騒然となっている。
来年、結成20周年を迎えるスチャダラパーの3人に、いったい何が起こったのか。
この悪夢の真相は実際に自分の目で確かめてもらうとして、
メンバーが前代未聞のDVDの制作秘話について、重い口を開いてくれた。

 

──
スチャダラパーの結成20周年を目前に控え、ライヴ+ドキュメントDVD『スチャダラパーの悪夢』が製作されましたが、このツアーで感じた手応えや思いはありますか。
BOSE(以下:B)
「今回のツアーでは、ちゃんと映像を使うことができたのが面白かったですね。くだらないアイデアとかも言えるだけ言って、できるだけ実現してもらった感じで」
SHINCO(以下:S)
「ライヴ中は自分では映像を観られなかったのが残念ですが、観た人が面白いと言ってくれて良かったです」

──
ちなみに、現在ライヴではどんな機材を使っているのでしょうか。
S :
「古いドラムマシーンを1つ使っています。ソロパートもあって毎回緊張感があるので、なかなか面白かったですね。トラックについても意外にターンテーブル経由が多くて、昔とそんなに変わっていないです」
──
では基本のセットはターンテーブルとドラムマシーン、そしてCDJでしょうか。このスタイルにこだわってヒップホップをやっている人って、今となっては少ないのではないでしょうか。
B :
「特に外タレは、『運ぶのも軽いからいいじゃん』ってほとんどコンピュータだったりするし。レコードを使ってる人って実は珍しいよね。DJの時にさえレコードを持ってこない人も今は多いもんね」
S :
「まあ僕もゆくゆくは、とは思っていますけど(笑)。でも今のところはターンテーブルですね」
──
さて、そしてANIさんは。
ANI(以下:A)
「楽しかったですよ。慣れるとどんどん体が覚えてくるし。このDVDの『ドキュメント』部分の撮影も並行してやっていたので、スケジュール的につらい部分はあったけど(笑)。ライヴ前にピラミッドパワーを本当にやっておこうか、みたいな(笑)」

 

B :
「いきなり茶化しちゃダメだって(笑)。でもこのドキュメントでは、そういうきわどいところを突きたかったんだよね」
A :
「言いたいだけだったはずが、ミイラ取りがミイラになっちゃう感じさえあるもんね」
──
ツアー中のお客さんの反応はどうでしたか。
B :
「ホワイトバンドを腕に付けてずっとエコについて話しながら、みんなの間に微妙な空気が漂っているのがすごく嫌でしたね(笑)」

──
SHINCOさんは……。
S :
「なんか、フワフワしてただけ(笑)」
──
そもそもこのドキュメント自体は、誰から出てきたアイデアなのでしょうか。
B :
「ドキュメントを作ることについては、みんなで相談して考えていて。アイデアは色々あったんですよ。ある程度はキャリアのある僕らがやっているだけに、ツッコミにくいというのもあるしね。僕らを放っておくとこのくらいひどいことになるんです、というのは表明したというか。このくらいふざけて普通、このくらいボケなくてどうする、という気もずっとしていて。あと、やっぱり、テレビマンズ・大根仁さんの演出と構成が上手かったです。CDよりもDVDの方がふざけられるかな。あれは冗談でした、って言える感じというか。僕としては、どんどんライヴパートが短くなっていくのが快感でしたね。むしろ、ほとんどなくてもいいんじゃないかとすら思っていましたし。そこのボケの方が実はやりたかったかな。ライヴDVDなのにライヴ入ってないじゃん、って(笑)」