KENGO KORA × SHIN SUZUKI
俳優・高良健吾と写真家・鈴木心が挑戦する、新しい形の写真集
11 2/25 UP
photo:Shin Suzuki, Kengo Kora text:honeyee.com
- ──
- 撮っている時から、いいモノが撮れているという実感はありましたか?
- S
- 「正直、写っているか不安でした(笑)。何度も波にのまれていくうちに、機材が壊れてしまったんです。フラッシュが点かなくなって、そのカメラに対応していない別のフラッシュを無理矢理使ったりして…。夜が明けてからはデジカメで撮影していたので、どんな風に撮れているか見えましたが、最初は不安でしたね。ファインダーを覗いても見えないので、覗かずに撮っていたのですが、シャッターを押してピカッと光った時に、一瞬止まってみえた高良くんはすごくいい感じだった。途中から、高良くんが海を殴り始めたんです。叫びながら海を殴ったり、波にのまれる時の情けない表情も写っています」
- ──
- 今回の写真集では、役者としてはあまり表にでてこない、高良さん自身のエモーショナルな部分が表現されているように感じます。
- S
- 「あの場で海を殴るというアクションは、僕は何も指示をしていない。高良くんは海に入る時に、海に向かって手を合わせて"よろしくお願いします"ってお辞儀をしていたんです。何か霊のようなモノを感じて、そこにあらがおうとしていたのかなと」
- S
- 「海にもっていかれると思ってましたからね。だから、どういう表情をしようとか考える事もなく、ただ海と向き合っていました。正直、僕は撮られた後は何でもいいんです。どんな表情でもいい。写真の中で表現されているのも自分だし、映画でどんな風に撮られても自分は自分です。なにひとつ作ったモノはなくて、自分の心や脳みそから出てきた"僕自身"だと思っています」
- ──
- 映画やドラマなどは、大人数のスタッフが関わってひとつの作品ができあがります。今回のような、最低限のスタッフのみで作品を作り上げることで何か発見はありましたか?
- K
- 「たった4人で写真集が作れるということが、僕には驚きでした。本をつくるということはもっと大掛かりなことだと思っていたので。でも僕は写真だから、映像だからといって何か変えるつもりはないんです。写真集に限らず何かをやったことで、必ず自分自身の価値観は変わります。今回の写真集でやったことは、二度と同じようにはできない。次に写真集を作るとしたら、ここには無いモノができると思います。僕はこんなに生々しい表情を撮られたことはなかったので、すごく嬉しかったです。でも、本当に寒かった(笑)」