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THINK PIECE

TOKiMONSTA

LAビートシーンから現れた、次世代型女性トラックメーカー。

11 11/11 UP

photo:Naoki Ishizaka text:honeyee.com

フライング・ロータスが主催し、現在LAで最もエキサイティングなレーベル”Brainfeeder”唯一の女性アーティストとして、世界中から注目を集めているTOKiMONSTA。クラシックピアノのバックグラウンドを活かしながら、ノイズやデジタル・ツールを用いた先鋭的な楽曲はもちろん、ビジュアルイメージのコントロールにまで表現された彼女独自の世界観に迫る。

TOKiMONSTA / トキモンスタ

LAの南部のベイエリアで生まれ育ったJennifer LeeことTOKiMONSTA。ヴィンテージ・サウンドを先進的なスタイルへとユニークに融合させることに成功した彼女の音楽は世界中のラジオ、雑誌といった各種メディアを席巻した。Flying Lotusのレーベル<Brainfeeder>への加入以降はラップトップ、その他の多くの機材を用いたエネルギッシュなライブパフォーマーとして、世界中のビッグフェスに出演している。
http://www.tokimonsta.com/

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現在、プロデューサー/ライブアーティストとして世界中をツアーされていますが、そのキャリアはどのようにスタートしたのですか?
「幼い頃からピアノを習っていて音楽に触れる機会は多かったのですが、初めてPCにソフトをダウンロードして曲を作ったのは大学生の頃ですね。大学を卒業して就職してからもずっと作り続けきて、3年前に仕事を辞めたのと同時に、音楽だけに集中できるようになりました」
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音楽だけでやっていこうと思ったタイミングとはどんな時だったのですか?
「当時の不況のせいで2度もリストラに遭って、もう普通の仕事に就くことにうんざりしてしまったんです。あまり良いものではなかったですが、何の興味もやりがいも持てない仕事を続けるより、本当に興味のあることを追求しようと決心するきっかけになりましたね」
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アカデミックな音楽的素養があることで、プロデュースをする際もあらゆる方向性が選択肢にあったと思うのですが、それが何故現在のTOKiMONSTAの音楽性に繋がったのでしょうか?
「私の音楽では、長くクラシックピアノを学んだことで身についたメロディの美しさやコードの響きといった部分を活かしながらも、クラシック音楽特有の形式的なルールというものは一切排除しています。クラシックで学んだ良さに自分の好きなスタイルをミックスしながら自由な音楽を追求した結果が、今のTOKiMONSTAの音楽性に繋がっていると思います」
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その音楽性はフライング・ロータスも魅了して、現在は彼のレーベルの所属アーティストとなっていますが、Brainfeederへの加入前とその後では、制作する上での心境やスタイルの変化はありましたか?
「彼らと出会ったことで、リズムプログラミングの重要性を改めて知りました。J Dillaに影響を受けた、シンプルながらも独特なタイミングで打ち込まれたリズムは私にとって新鮮でしたし、衝撃的でもありましたね。それまではどちらかというとメロディベースで曲を作っていたのですが、そこからリズムにマッチしたメロディ作りという手法に変わったことは大きな変化だと思います」
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ファーストアルバム「Midnight Menu」に比べて、今年の8月にリリースされた「Creature Dreams」ではパワフルで荒々しい側面が鳴りを潜めて、より洗練された、スタイリッシュな音作りが印象的でした。
「それは今回のEPを制作する上で、当初から意図していたところではあります。初めてのアルバムはバラエティーに富んだ、TOKiMONSTAの自己紹介的なアルバムになったと思うのですが、今回は一つの世界観を表現した、よりアーティスティックな作品になるように心がけました」