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THINK PIECE

MEG ZOMBIES + MEG

MEGによる“ゾンビ”プロジェクトが始動!

13 6/17 UP

interview & text: Tetsuya Suzuki, Madoka Hattori

“今”を鋭く切り取る優れたセンスとそれを自ら作品に昇華するプロデュース感覚で、
音楽だけにとどまらないユニークなその才能をジャンルを超えて発揮し続けているアーティスト、MEG 。
そんな彼女が新たにMEG ZOMBIES + MEGの名義で2曲のシングルをリリースした。
世界一長い8bitRPG「MEG THE WORLD」や、ゾンビと戦うミュージックビデオ、
そしてファッションまで、音楽を軸に遊びつくしたMEGの“ゾンビ”プロジェクトに迫る。

 

MEG

シンガー・デザイナー。2002年デビュー。ミュージシャンとしての活動以外にも
「CAROLINA GLASER」のメインデザイナー、モデルとして数々の雑誌のカバーを飾り、
同世代の女性から支持を得ている。現在は日本とフランスで活動中。
http://megweb.jp/

 

──
今回のシングルはとても企画性の強い作品ですよね。なぜ“ゾンビ”をテーマにしたのですか?
「前回のアルバムでイーリーキシモトとのコラボレーションを終えた昨年末、次にどんな事するか考えていて『ゾンビ』というキーワードがでてきたんです。ゾンビ映画や海外ドラマ、またゲームのRPGに登場する敵キャラだったり……。ゾンビを軸においてのアートワークにも広がりがみえたので面白いなと思って、決まりました」
──
MEGさんの場合、テーマを決めコンセプトをきちんと消化した上で、音楽だけではなくビジュアルや世界観を含めて、表現に落とし込んでいる印象があります。
「そういってもらえるのは嬉しいです。前回のアルバムからチーム構成が新しくなって、今の“チームMEG”はほぼ年下なんです。若くて、アンテナを張っている所が近くて、WEBを使ったゲームやこのニュースサイトがいま面白いよとか、何をやるにも情報を共有できるスピードが速いのは大きいですね。でもチームを組んで1枚目のリリースではここまでできなかったかな。前回のアルバムで少しつかめて、2年目だからこういった企画モノもできたのだと思います」
──
MEGさんが中心となりながら、チームとして“MEG”というプロジェクトを動かしているわけですね。楽曲についても、同じようなやり方なのですか?
「今までは、何度も組んだことのある人や、周りの先輩方にお願いすることが多かったのですが、今回は企画ありきだったのでNARASAKIさんをはじめ、こういう曲をかける人ということで探しました」

制作:面白法人カヤック

 

──
シンガーとして歌を唄うだけではなく、いろいろな分野に渡る大勢の人をオーガナイズする立場にいますよね。
「なんでしょうね、議長みたいな感じです。作品づくりに関わってくるスタッフさんは、スタイリストやヘアメイクやアートディレクター、もちろん音楽の部分でもたくさんいるのですが、細かなディテールはあえて伝えないほうがびっくりするモノがあがってくることが多いので、おおまかなテーマを投げて、あがってきたモノの中からチョイスして組み合わせるのが楽しいんです。全く違う広がりができたりするので、それぞれでてきた意見をまとめて決める係、まさに議長なんです。もちろん、意見をいいやすい雰囲気づくりも大事にしたいですし、きちんと数字で結果を出すことも必要とされる。責任は何に関してもとるつもりなんで、やってみよう! って感じですかね」
──
一般的に女性シンガーの多くは、自分の中のパーソナリティやエゴを軸にして表現するタイプと、ある意味で人形になりきって表現する2パターンがありますよね。MEGさんの場合は、どちらか一方ではなく両方の面を持ちあわせているようにみえるのですが。
「上京する前は、歌手というのは自分がやりたいことを自由にやれてる存在だと思っていたんです。でも実際に歌手としてデビューしてみたら、自分の意見で決められることがとても少なかった。洋服をつくるよりも、制限が多くて、いろんな人が関わって歌手というものは成り立っていて。自分のやりたいことを形にするには、関わる人の納得と協力を得ないといけないと。でも、その時の自分にはそんな経験も統率力もなく、自分自身のアーカイブを積み重あげていく際に、納得いかないものになるのを見過ごすというか、誰かに任せるのが不安だったんです。だったら一旦休もう、とレーベルを辞めて、しばらくは自分で洋服を作ったりもしてるうちに、ブランドが順調にいって、自主レーベルを立ち上げられる貯金や余裕ができ、ようやく興味と趣味の延長で本当に作りたいモノが作れるようになったんです。それからは、音楽がすごく楽しくなった。自分がやりたいパッケージのデザインだったり、新しく組みたい人だったり。お客さんと、これどう思う? いいね、じゃあ次どうする?っていうキャッチボールが、メジャーレーベルでも単発でなく連続してできる。面白いことを共有して、みんなが同じ方向に向かってる、ファンの人も含めてのそのチーム感がいますごくいい。去年ちょうどデビューして10周年だったのですが、今が一番おもしろいですね」