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THINK PIECE

Adam Port × ANDY

「クルーの輪が広がると、それが一つのカルチャーになる」

14 10/24 UP

photo: Horito

ベルリンを拠点に活動するニュースクール・ハウスレーベル"Keinemusik"のオーナーAdam Portと、
国内シーンで注目を集めるMASAYASU、YOSA、WASHIOという次世代プロデューサー/DJ3人による
プロジェクト”ANDY”。ANDYが主宰するパーティにAdamが出演するべく来日した際に実現した本対談では、
Adamのバックグラウンドから、現在シーンにおいて勢力を増し続けるKeinemusikクルーの活動、
そしてアンダーグラウンドから新たなカルチャーを生み出すための秘訣が語られた。

 

ADAM PORT (Keinemusik)

ドイツ・ベルリンを拠点に活動する新世代アーティスト/DJ。
2009年からスタートしたベルリンのニュースクール・ハウスレーベルKeinemusikは、Rampaや&ME、
David Mayerといった強力な所属アーティストとともに、現在のシーンにおいて欠かすことができない存在へと成長している。

http://keinemusik.com/

 

ANDY (MASAYASU / YOSA / WASHIO)

MASAYASU、YOSA、WASHIOという同世代のプロデューサー・DJ3人によるプロジェクト。
自らのパーティをオーガナイズする傍ら、DJユニットとして大小様々なイベントへ出演。
2014年にはYOSAのファースト・アルバム「Magic Hour」のリリースを皮切りにレーベルとしての活動もスタート。

http://www.andy.tokyo/

 

WASHIO(以下:W)
「ダンスミュジージックにのめり込む前は、もともとどんな音楽を聴いていたんですか?」
Adam Port(以下:A)
「10代の頃はハードコアのヘッズだったんだよ。そこでストレート・エッジという生き方にも出会って、今に続く自分のライフスタイルの哲学を学んだんだ」
YOSA(以下:Y)
「ストレート・エッジって、煙草もアルコールも、肉や魚も口にしない生き方なんですよね?」
A
「そうだね。ハードコア・パンクから生まれた一つの思想とも言える。それまで主流だったセックス、ドラッグ、ロックンロールという生き方へのアンチとして生まれたものだよ。僕の腕にも入っているんだけど、×印のタトゥーがストレート・エッジの目印になっているんだ。

友達6人とはじめたんだけど、結局それを貫いているのは僕だけになってしまったよ(笑)」
Y
「ストレート・エッジになってからはどんな音楽を聴いていたんですか?」
A
「ストレート・エッジになった影響で、聴く音楽が変わったということはないんだけど、ある時からハードコアに飽きて、ヒップホップを聴くようになった。それからたくさんのレコードを買うようになって、自然な流れでDJをするようになったんだ。それまではCDを買ったりライヴに行ったり、どちらかというと音楽に対して受動的なスタンスだったんだけど、DJをするようになったことで曲も作るようになって、より能動的に音楽と向き合うようになったね。ベルリンはエレクトロニックミュージックの街だから、そこに住んでいる僕にとってはヒップホップから今やっているような音楽には自然な流れで行き着いたんだ」

 

MASAYASU(以下:M)
「エレクトロニックミュージックに行き着くきっかけになったアーティストやレーベルはいますか?」
A
「Panorama BarレジデントDJのCassyだね。彼女のオールドスクールでハウシーなプレイにはとても影響を受けたし、何より彼女が作るトラックはオリジナリティに溢れていて素晴らしいんだよ。彼女の音楽に出会ったのは8年くらい前だから、それほど昔の話ではないよね。レーベルで言えば、PERLONや初期のDESOLATかな。Martin ButtrichがDESOLATからリリースしていたレコードは今でもお気に入りだよ。それから、Mule Musiqは日本のレーベルなんだよね?Muleの作品はStefan Marxのアートワークも含めて、レーベル独自の世界観が確立されていて本当に素晴らしいレーベルだと思うよ」
W
「Keinemusikのクルーとはどうやって出会ったんですか?」
A
「NIKEで働いているスニーカーオタクの友達を通して、僕とRampaが仲良くなったのがきっかけだね。

Rampaはもともと&MEやDavid Mayerと繋がりがあったから、その流れでKeinemusikが結成されたというわけ。僕以外の3人は当時、同じベルリンの音楽スタジオで働いていたんだ」
M
「彼らはもともとプロのエンジニアだったんですか?」
A
「そうだよ。彼らはエンジニアリングの専門学校にも通っていたしね。僕はファッション雑誌の編集やスタイリングの仕事をしていたから、クルーの中で僕だけが自己流で音楽を作っているんだよ。Youtubeでチュートリアルを見ながら(笑)。もちろん、どうしても分からない時は彼らに教えてもらうこともあるけどね。特にDavid Mayerは本当にプロフェッショナルなエンジニア技術を持っていて、一つのキックを作るのに何時間もかけたりするんだよ!」
M
「あ、それは僕も同じだ(笑)」
A
「そうなんだ!(笑)。ANDYもクルーで一緒に曲を作ることはあるの?」
M
「ギグがない時は週に一度はミーティングなり、制作なりで集まっていますね」
Y
「オリジナルを作ったり、既存の曲のエディットをしたりね。結局、酔っぱらっちゃって完成させられないんだけど(笑)」
A
「クルーにとって、そういう時間はとても大切だよ。僕たちKeinemusikのクルーも毎週水曜日にはオフィスに集まってミーティングをしているし、海外に行っている時でもその時間にはスカイプを通して参加するんだ。クルーやレーベルにとって何よりも重要なことは努力と継続。うまくいってもいかなくても、とにかくやり続けることで道は開かれるんだよ」