RYOJI IKEDA
池田亮司「test pattern[n°6]」が東京に与えた衝撃
14 11/21 UP
photo: Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool
text by Arina Tsukada
- 本展は世界各地からアーティストが集結する音楽学校Red Bull Music Academyの一企画だったが、今年初の東京開催となったアカデミーにおける主宰者の目論みは「日本の(最もカッティングエッジな)音楽・アート・カルチャーシーン」を世界に示すこと。ドイツに本社を置くRed Bull Music Academyチームが満場一致で池田亮司を選んだことからも、ヨーロッパにおける池田の評価の高さがうかがえる。結果として、5日間で5千人近くの来場者を迎えた本企画は彼らの目論みを超えて、大きなインパクトをもたらしてくれた。
- 数学や物理の世界に造詣が深く、また現代社会に無数に広がる不可視のデータを知覚させることを試みたシリーズ作品『datamatics』など、データとテクノロジーを巧みに扱うアーティストとしての印象が強い池田だが、その本質は「科学は自然そのものである」というコンセプトに基づいている。科学は自然を記述する方法であり、また数学は科学のひとつの言語である。数式による言語は目に見えないが、確かに存在する。それは音楽を作ることともよく似ている。そして、この世界の自然現象がノイズの塊であるように、緻密なデジタル表現を追求する一方で、ランダムをどう取り入れるかも重要なポイントであるという。最近では、スイスにある世界最大級の原子力研究機関CERNでレジデンスを行い、
- コラボレーション作品制作を試みた池田にとって、科学への関心は尽きないようだ(一方で、元々勉強が好きなわけではなかった、とも漏らしている)。
- あまり多くのインタビューを受けたがらず、メディアの露出を控える池田には、「体験こそが最もピュアなもの」という意識がある。その意味で作品を知るための知識や情報は余計なものであり、知覚の拡張を試みる池田の作品にとって、「体験」こそが本質なのだ。何かと知識を持ち出して作品を語ろうとするのは、インテリ層のハンディキャップのようなものだとも言う。それは多くのパブリックアート・プロジェクトを続ける中で深まった考えでもあるようだ。公共空間に巨大な青白い光線を発光させる『spectra』のプロジェクトシリーズはその最たるものだろう。「光の彫刻」とも称される光線は、現実の景色を異空間へと誘ってくれる。その光景を見た人々の姿は、まるで夜空にオーロラを発見したときのような神秘的な感動に溢れている。
- 数学的な美学とテクノロジーを最大限に駆使して、この世界に「現象」を作り出す池田亮司。美術館の個展からライブと世界中をせわしなく巡る池田だが、この年末にはラフォーレ原宿でライブを披露する。池田亮司の生み出す空間に出会うとき、私たちはまた新たな感覚を発見することだろう。
Red Bull Music Academy presents test pattern [nº6] : Ryoji Ikeda
日時: 11/5(水) - 11/9(日) 11:00-23:00(最終入場時間 22:30), 11/7(金) & 11/8(土) 24時間 終了
場所: Spiral Hall - Spiral 3F (東京都港区南青山5-6-23)
作品: Ryoji Ikeda Installation
http://www.redbullmusicacademy.jp/jp/events/red-bull-music-academy-presents-test-pattern-n-ordm-6-ryoji-ikeda
HARAJUKU PERFORMANCE + 2014
RYOJI IKEDA ONE DAY LIVE
datamatics [ver.2.0], Supercodex [live set]
公演日:2014年12月21日(日)
会場:ラフォーレミュージアム原宿
住所:東京都渋谷区神宮前1丁目11番6号 ラフォーレ原宿6階
■datamatics [ver. 2.0](シアタースタイル)
開場 16:30、開演 17:00
■supercodex [live set](スタンディング)
開場 19:00、開演19:30
入場料:1プログラムのみ 前売3,000円(税込)/当日3,500円(税込)、2プログラム通し券 前売・当日とも5,000円(税込)
【問】ラフォーレ原宿 03-3475-0411
http://www.laforet.ne.jp/news_events/190
Red Bull Music Academy Tokyo 2014 Quote - 池田亮司 / Ryoji Ikeda
