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THINK PIECE

OFF THE ROCKER presents SOFA DISCO 15FW

エクスクルーシヴ楽曲をメインとしたSOFA DISCOの最新形。

15 9/2 UP

photo: Kentaro Matsumoto
text: yk

大沢伸一と上村真俊によるDJユニットOFF THE ROCKERが、「ソファに座ってダンスミュージックを楽しむ」
をコンセプトに提案するプロジェクト“SOFA DISCO”。その3作目となる今作は、これまでの2作品、
また各地で開催してきたパーティを通して確立、深化した最新形。
Giorgio Moroder ” Right Here, Right Now feat. Kylie Minogue”のOFF THE ROCKERリミックスをはじめ、
ここでしか聴けないエクスクルーシヴな楽曲を多く収録した本作を通して感じさせる、SOFA DISCOの”今”。

 

──
今作でSOFA DISCOシリーズ3作目となりますが、全体としてのコンセプトは当初から変わりないですか?
大沢伸一(以下:O)
「コンセプトが変わらないというよりも、SOFA DISCOのコンセプトは音楽性ではなくダンスミュージックの楽しみ方の提案なので、ここにやたらとBPMの早いテクノとかが入っていない限りは、音楽の種類によってコンセプトが変わっていくということはないんです」
──
とはいえ音楽的なところで言うと、ややハウス寄りだった前作に比べると、今回の作品ではBPMは遅めながらもアシッドなテクノが多く収録されているようにも感じました。
O
「そうかもしれないですね。ただ、僕らの中では特に意識したわけではなくて。単純に今好きなものを集めた結果がそうなったという感じだよね?」
上村真俊(以下:U)
「そうですね。自然とそういう方向に流れていったイメージ。あと、今回はエクスクルーシヴも多かったですし」

O
「そうそう。今回はこのミックスのために書き下ろしで作ってもらった楽曲が多いんですよ。既存の曲を他レーベルから借りると、契約上日本では配信できないじゃないですか(※)。ネットで売れないものをフィジカルで出しても限定的なものになってしまうので、もっと文化として広めたいなと思ったときに、できるだけこういうフィジカルと配信で買えるものとを分けたくなかったんです。なので、今作では作り下ろしの楽曲をメインにしつつ、既存の曲に関しては好きな曲をポンポンと挙げていって、ライセンスのアプルーバルが取れたものを収録しているんです」
※日本のメジャーレーベルとのライセンス契約は、ほとんどの場合CDへのライセンス収録に関するもので配信販売がNGなことが多い。
──
今回は日本人アーティストの楽曲が多くピックアップされていますよね。Kazuma Takahashiさんや、SERiさん、rubyinさんなど、いわゆるクラブシーンの中で言えば若手の方々に声をかけたことに狙いはありましたか?
O
「特に日本では若いプロデューサーをフックアップしたほうがいいんじゃないかなという気持ちはありましたね。それから、今まであまり縁がなかった人と一緒にやった方が面白いんじゃないかなって」

 

U
「実はここに収録されている人以外にも色んな人にお願いをしていたんです。全ての人がSOFA DISOに見合うものを上げてくれるわけではないだろうし、まずは気になる人たちにお願いをしてみて、そこで本当にいいもの、面白いものが上ってきたら収録しようと。すごく軽い感じというか、お願いした人には失礼かもしれないですけど、本当にそういうフランクな気持ちだということもあらかじめ伝えてから。それでも、お願いした人がみんなやる気になって、彼らなりにSOFA DISCOを解釈してくれて。僕らの考えとは全然違うものもあったし、あとは違うものからこっちに寄せてきてくれたこともあったし、色んな人が考えるSOFA DISCOを聴けたという意味でもすごく面白かったです」
──
先ほど大沢さんがおっしゃったライセンス周りの問題以外に、エクスクルーシヴ楽曲をメインにした理由はありますか?
O
「ミックスを聴きたいのであればmixcloudとsoundcloudで事足りてしまうわけじゃないですか。それを商品として、MIX CDとして販売する意味が何かと考えたときに、やはり作り込まれたオリジナルであり、エクスクルーシヴであるということかなと」
──
その収録楽曲の中でも一際目を引くのはGiorgio Moroder ”Right Here, Right Now feat. Kylie Minogue”のOFF THE ROCKER Remixだと思うのですが、これはどういった経緯で実現したのですか?
O
「こちらから、リミックスさせてほしいと提案したんです。そしたら次の週くらいにはOKの返事と共にリミックス用のパーツが送られてきたので、僕らもサクッとデモを作って戻して。アプルーバルが取れるか分からない状態だったので、あまり力入れずに気軽にやったのですが、それをGiorgio Moroderがすごく気に入ってくれたんですよ。『全然これでOK。フル尺にしてもう一回聴かせて』、『あOK、OK!』って(笑)」

U
「そういう感じで、全体的にアグレッシブかつ気軽な感じでできたいいものを集めたのが今作です(笑)」
──
パーティとしてのSOFA DISCOは代々木VILLAGEのMUSIC BARをホームグラウンドにしながら、地方でも積極的に開催していますよね。
O
「大阪のseven HOUSEという箱がレギュラーでSOFA DISCOをやりたいと言ってくれていて。SOFA DISCOは基本的にクラブではやらないのですが、そこはいい具合に成立していますね」
U
「場所ありきで、やれそうなところがあるからそこでやりましょうというノリですよね。例えばどこか特定の地方でやりたいって思っても、やる場所がないからやれないねとなるし」
──
それでも、OFF THE ROCKERのSOFA DISCOセットでブッキングしたいという地方のオーガナイザーは増えてきていると思うんです。それはSOFA DISCOという概念が根付いてきている証拠だとも思いますし、地方でクラブミュージックを頑張っている人たちも” SOFA DISCO的”なものを求めはじめているんじゃないかと。