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THINK PIECE

OFF THE ROCKER presents SOFA DISCO 15FW

エクスクルーシヴ楽曲をメインとしたSOFA DISCOの最新形。

15 9/2 UP

photo: Kentaro Matsumoto
text: yk

 

O
「そうなってこないとおかしいと思いますよ。EDM全盛でクラブとディスコの境目がなくなってしまった今、気分的にもうちょっとリラックスしてダンスミュージックを聴きたいと思っても場所がない、今のクラブがEDMが主流だとすると、場所的にはクラブじゃないと思うんですよね。常に今のメインストリームのカウンターって何だろうと考えているし、たまたまメインストリームと波長が合ったときはそれでいいけれど、わざわざ合わせる必要はないですし。メインストリームに近いところで自分たちの好きなパーティをやりつつも、SOFA DISCOのような自由度の高いこともやっていかないと楽しくないんです」
──
カウンターの対象の一つとしてEDMがあって、生まれたのがSOFA DISCOということでしょうか?
O
「そうですね。もっと言うとEDMに限らず、バンギンなパーティ。スーパーバンギンなパーティをやってきている僕らが言うのは変ですけど、過剰にバンギンなパーティにもアンチがないと、バランスが取れなくなってしまうので。とはいえ、SOFA DISCOも結果的にクラブではないだけで、ピークタームになったらみんな奇声を上げて盛り上がったりしているんですよ。でも、そこには多様性のある昔ながらのクラブカルチャーの匂いも確実に残っていると思うんです。たった15年前くらいって、クラブってそんなになかったじゃないですか。むしろラウンジ的なところでやるのが主流だったし、

そう考えるとそれがなくなったことのほうが僕にとっては不思議というか。SOFA DISCOではそれをもう一度やろうとしているだけで、そのうちまた他にもこういうイベントがたくさん出てくると思いますよ」
──
とはいえ、お二人は大型のクラブやフェスでプレイする機会も多いと思いますが、ご自分の中ではどのように差別化しているのですか?
O
「基本的にやっていることは変わらないので、同じ曲をかけている場合もあります。ただBPMの早さや、システムによって聴こえ方はかなり変わってくるんですよ。それぐらいのもので、クラブでのプレイとSOFA DISCOで、ものすごく違うことをやり分けている意識はないですね」
──
確かに、前作の時よりも普段のDJスタイルとしてかけている曲とのギャップがなくなったように感じました。
O
「僕がWOMBのTHE YESでGiorgio Moroderのリミックスをかけられるかかけられないかというギリギリの線くらいだと思うんですよね。気分が乗ったらかけるかもしれないくらいの感じで。そういう意味で言うと、実はやっている場所が違うだけになっている可能性もありますね。実際今回のアルバムはかなりテクノのアプローチが多いと思いますし」

 

U
「パーティによって音楽のムーブメントって変わってくるし、沸点が違うじゃないですか。SOFA DISCOの温度も時期によって上がったり下がったりするし、いまはそういう気分なんでしょうね。それが他と比べ高いのか低いのかはわからないですけど、僕らの今はそういうムード。なので、必然的にそういった楽曲は増えてきますよね」
──
SOFA DISCOとしては今後もパーティと楽曲、ミックス制作の三本柱を継続していかれるのですか?
O
「日本の歌物のプロデュースもやってみたいですね、OFF THE ROCKERで。日本のシーンでもダンスミュージックを下敷きにした楽曲がこれだけ人気があるということは、そのプロダクションをブラッシュアップしていったら、日本の全体的なダンスミュージックシーンの骨組みが変わってくるじゃないですか。もちろん、今の楽曲が悪いと言っているわけではなく、よりクラブシーンの現場に密着したものを世に広めることができるという意味で。だから売れているものだから嫌とか、人気がある人だから良いとか悪いとかではなくて、これからはそういう動きがでてきてもいいと思うんですよ」
──
海外で言えば、Diploのようなクラブシーンに根付いたプロデューサーがマドンナやジャスティン・ビーバーの曲を作ったり、フィーチャリングをしたりということが普通にあるにも関わらず、現状の日本ではそれが全くと言っていいほどないですよね。
O
「いつも良いところまではいくんですよ。時代が変わるんじゃないかみたいな、その寸前まで。90年代にもあったし、2000年代にもあったし。でもなぜか、変わりきらない。その経験を踏まえて、今回はちゃんと吟味して考えないといけないなと思うんです。

やっぱり一つだけではなく、連鎖を起こしていかないとダメなんですよね。例えば僕が安室奈美恵ちゃんの曲をプロデュースしても、その一曲だけだったらダメなんです。これがいろんな人との取り組みで連鎖していかないとシーン自体は変わらない」
U
「あとは作っている人たち、アーティストではなくて、レコード会社など現場に携わっている人たちも、ちゃんとそういう考えを持ってほしいなと思います。もちろんビジネスとして成立させるのも大切ですが、みんな目の前のものでお腹いっぱいにしがちじゃないですか。ゆくゆく音楽シーン全体の将来のためになるのはどっちなのかということをちゃんと考えてほしいですね」
O
「そうだね。僕らも一歩先だと大き過ぎるから、半歩先という概念を目指していかないとね」

 

『OFF THE ROCKER presents SOFA DISCO 15FW』

avex trax
2700円[税抜]

「SOFA DISCO 15FW Release Party」
2015年9月12日(土) 東京:Yoyogi Village Music Bar
2015年10月3日(土) 大阪:seven HOUSE