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photo & text: Shoichi Kajino
PUCCIは新たにクリエイティブ・ディレクターとしてMSGMのマッシモ・ジョルジェッティを迎えてパイロット版としてコレクションを披露した。美しい色、そして細やかな幾何学模様をアイコンとしてきた伝統をもつPUCCIが、コンテンポラリーなポップ感覚で彩やかにアップデートする試みは、大きな挑戦であるともいえる。ポイントに置かれた印象的なロゴはフィレンツェのシンボル、百合の紋章からインスパイアされたものだという。マッシモのしかける革新の過程は注目を集めることは間違いないだろう。
今回のPITTI UOMOでジャーナリスト、バイヤーから高い関心をもって見守られたイベントは「Constellation Africa」ではないだろうか。ヨーロッパ圏でさえあまり知られていることのなかったアフリカのファッションの現在を紹介すべく、ナイジェリアからORANGE CULTURE、南アフリカ共和国からMaXhosa by Laduma、アンゴラからのPROJECTO MENTAL、コートジボワーのDENT DE MAN という4つの国からの4つのブランド迎えた。それぞれ10体前後のスタイルで、アフリカという大地が持つ、独自のファッション観を見せようという試みだ。まず一見してファブリックにおける色彩感覚やグラフィック感覚は、これまでどこかで見かけたことのない新鮮さがある。そしてスタイリングの自由度もまた底知れない驚きが潜んでいる。アフリカという大きな枠ではくくりきれない個性に溢れている。これから爆発にいたるであろう可能性を秘めた大地。そこに放たれた導火線の火花を見せられた印象を受けた。
PITTI UOMOの素晴らしさは単なるトレード・ショーに終わらない楽しさがあることだ。暑いフィレンツェの太陽の下でさえ、キチっとスーツで身をまとい着飾った男たちがその会場に詰めかけるのは、単に商談のためだけではない。自分たちのセンスをアピールしながら、(そして時にはファッション・スナップを撮られながら)今日も彼らは各ブースでのトレンド・チェックや新たなブランドの登場のチェックに暇がない。新たなデザイナーや、旬のデザイナーをゲストに迎え、ショーやプレゼンテーションを世界でいち早いタイミングでのコレクションを発表させる、といった工夫でプレスの関心の高い話題を提供することもわすれないのである。そしてもうひとつ、それは舞台となるフィレンツェというトスカーナの小さいながらも魅力的な町のおかげかもしれない。