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THINK PIECE

tha BOSS 『IN THE NAME OF HIPHOP』

THA BLUE HERBのMC、tha BOSSリリースする初のソロアルバム。

15 10/14 UP

photo: Kentaro Matsumoto
text: yk

 

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参加されているアーティストの中でも、PUNPEEさんや田我流さんという並びはBOSSさんの新たな歩みを象徴するようなラインナップだと感じました。
「田我流は普通に友達だし、俺自身ファンであると言ってもいいくらいリスペクトするラッパーだよ。PUNPEEは一回LIQUIDROOMで軽く話しただけの関係だったんだけど、彼がやっている音楽は知っていたし、俺も新しいものに挑戦して、吸収したいと思ったんだよね」
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いわゆる今の日本のヒップホップもフォローされているのですか?
「チェックはしてる。ただそうは言いながらも、ラッパーはその時の自分の視点から見えているものをラップしているわけだから、今44歳の俺が自分よりずっと歳下のラップを聴いて自分の人生において何か得るものがあるかと言われたら、それは正直多くはない。スタイルとしての面白さとかはもちろん感じるけど。ラップに人生訓や生き様を求めて聴くっていう意味でね。でも年とかはしょうがないし、そこを越えて何かが始まるとは今も思ってるし期待もしてる。だから、ネガティブな意味じゃないよ」
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DJ KRUSHさんとは”Candle Chant (A Tribute)”以来、久しぶりのコラボレーションとなりますが、今作の中でも特別な想いはありましたか?

「あったね。昔一緒に作ったその曲は死んでしまった共通の友達にあてたものだったんだけど、俺とKRUSHさんのストーリーを”死”で終わらせたくなかったから、いつかはまた新しい曲を作るときがくればいいなと思っていたんだ。それから随分と時間が経ってしまって、その間にヒップホップを離れていった人たちもたくさんいたけど、俺たちはまだこうやってヒップホップを続けてる。この”LIVING IN THE FUTURE”は子供の誕生の曲で、”死”からはじまったものが”生”として完結する二部作のようなものにできたことは本当に良かったと思うよ。この曲で”Candle Chant (A Tribute)”もまた生きてくると思うしね」

 

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今作を完成させたことで、また新たに見えてきたことはありますか?
「『TOTAL』から3年経って、またこれだけ書けたということが単純に嬉しかったよ。あれだけパーフェクトなものを作っても、まだ書けるということがね。昔を想うことはあっても、まだ吸収したい、勉強したい、もっと良くなれるという気持ちが自然と曲にも表れているしさ。まだまだやれるよ」
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音楽に限らずひとつのことをやり続けるということは、一番シンプルでありながら非常に難しいことだと思うのですが、キャリアの途中で辞めたくなったことはありますか?
「ないね。ラップは俺にとって仕事、シノギ、食いぶちだし、辞めたら飯が食えなくなっちゃうからさ。好きなことを仕事にできたのはハッピーだと思ってる。おかげさまで、楽しんで仕事ができてるよ。過労死するじゃないかってくらいしんどい時もあるけど、それが俺が選んだ仕事だからさ。遊びではじまったものを仕事にできている分、もっと頑張らなくちゃなって思うよ」

 

tha BOSS 『IN THE NAME OF HIPHOP』
THA BLUE HERB RECORDINGS

●限定版 2CD(インストCD付属)
4,000円[税抜]
●通常版
3,000円[税抜]

2015年10月14日(水)発売