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THINK PIECE

BEAUTIFUL LOSERS

映画『ビューティフル・ルーザーズ』が描く
美しい落ちこぼれによる創造するという行為

08 7/30 UP

Text:Mayumi Horiguchi

新しい形の「アート」を展示する場として、1992年ニューヨークのイーストサイドに誕生したのが「アレッジド・ギャラリー」。
当初は単に、「金のない、都会のボヘミアンたち」の溜まり場として利用されていたらしい。
が、このギャラリーからは、後に全世界に影響を与えることとなる
ストリート・カルチャーが誕生することになったのだった……。
映画『ビューティフル・ルーザーズ』が描く、米ストリート発のアーティストたちが生みだしたものとは?!

現代のストリート・カルチャーを語る際に欠かせないキーワード--それは「スケートボード」、「サーフィン」、「パンク」、そして「ヒップ・ホップ」である。

カリフォルニアのヴェニス・ビーチを拠点としていた実在の伝説的チーム“Zボーイズ”により、スケートボードの革新的なスタイルが生み出されたのは1970年代。ちなみに“Zボーイズ”たちが、スケートボードを始める前にハマっていたのはサーフィンである。「パンク」という新しい音楽ジャンルがニューヨークにて誕生したのも70年代だ。そしてパンク・ミュージックおよびその精神は、スケート文化とも深く結びついてゆくこととなる。パンク同様、ニューヨークにて誕生した“文化”であるヒップ・ホップは、1960年代後半から1970年代において、アフロ・アメリカンやカリビアン・アメリカン、ヒスパニック系のコミュニティにより行われていたブロックパーティーから発生したものだ。ヒップ・ホップ四大要素のひとつが「グラフィティ」で、スプレーやフェルトペンなどを使い、壁などに描かれた絵をこう呼ぶ。

60年代後半~70年代に生まれた者たち――特にアメリカ人――は、これらと直に触れ合いながら、成長してゆくこととなった。遊びや趣味の一環として体験した後に「まともな社会人」になる人が大半だろうが、どっぷり浸り続け、これらによってライフ・スタイルを決定づけられてしまった人たちも、無論いる。ドキュメンタリー映画『ビューティフル・ルーザーズ』に登場するアーティストたちが、まさにそれだ。