FANCY
グラマラスに世界を魅了する「世界の王者たち」
08 7/9 UP
Text&Photo:Shoichi Kajino
- ──
- 彼らの「D.A.N.C.E.」を共作した際のエピソードを聴かせてください。
- J :
- 「JUSTICEのグザヴィエと初めて出会ったのはずいぶん昔のロンドンでだった。彼は僕を見つけて『FANCYの大ファンだ!』と声をかけてきてくれたんだ。それから僕らは仲良くなって、パリでも会うようになって、彼らはビッグになった。去年、彼らがアルバムの制作中、ギャスパーから電話をもらったんだ。『今、アルバムを作っているんだけど、とにかくザ・ヒット・ソングみたいな典型的なポップな曲が必要なんだ』と。僕は言った。『君はなんて、正しい人間に電話をしたんだ、ギャスパー。僕こそがヒット・マシーンだよ』。そんなわけで、僕は彼らのために『D.A.N.C.E.』を書いたというわけさ」
- R :
- 「どうでもいい曲が欲しいなら、シナリオ・ロックに頼んで正解だったけどね(笑)」
- J :
- 「シナリオ・ロックはJUSTICEのために『DVNO』を書いたけど、結果はご存知の通りさ。まあ、あのヴィデオは『D.A.N.C.E.』のよりかっこいいのが悔しいんだけど…。この話は書かないで、っていっても君は書くんだろう(笑)?」
──大丈夫、シナリオ・ロックと書いても日本では知ってる人がほとんどいなくて記事として成立しないから(笑)
- R :
- 「フレンチ・ジョークだな(笑)」
- ──
- ところで、エレクトロの裏で最近はパリでも“ロック・バンド”のムーブメントが起きつつあるのを感じますが、やっぱりFANCYはそのシーンともやっぱり別の場所にいるんですよね(笑)?
- R :
- 「たしかにパリだけでなく、ボルドー、リヨン、リール…、いろんな街でロック・シーンがあるんだけれど、ほとんどはイギリスやアメリカのインディ・ロックのコピーのようなバンドばかりでエキサイティングじゃないよね」
- ──
- シナリオ・ロックやポニー・ポニーなんかとは並べるなと…?
- J :
- 「(笑)フランスのメディアではロック・シーンがあって、FANCYがある…っていう紹介のされかただからね」
- ──
- FANCYの強烈さはそんなビッグマウスや音だけじゃなく、もちろんまずヴィジュアルだと思うんですが…。
- J :
- 「もちろん。僕とモムが昔やっていたバンドの時点で僕らはすでにメイクをしてステージに立っていたんだよ。例えば、異性を好きになるときだってまずは見た目だろう?それでベッドで一夜を過ごして初めて相手の内面に入っていけるというもんだと思うんだ。バンドだってそれと同じ。だからステージでのヴィジュアルは本当に大切にしているんだ」
- ──
- フランスの雑誌でも見かけたのだけど、モンディーノが撮りおろしてますね?
- R :
- 「ああ、JealouseとELLEかな?モンディーノは僕ら指名の専属フォトグラファーだからね」
- J :
- 「日本盤のジャケットもモンディーノの写真を使っているんだ。日本は美意識の高い国だと聞いているからね」
- ──
- さらにヴィジュアルということでは、3人ともにユニセックスというかセックスを超えたユニークなキャラクターですよね。ジェシーのヴォーカルも中性的ですし…、ライヴもマッチョというよりはスペクタクルのような感じですね。FANCYにとってのセックス観を聞かせてください。
- G :
- 「ロックの歴史をひもといてみると、マッチョではないロック、中性的な感性というのはそれほど珍しいものではないよね?たとえばプレスリーだってマッチョなイメージがあるかもしれないけど、あの腰の振り方にはセクシャルなアピールがあるし、グラム・ロックはもちろん、ヘヴィ・メタルや'80年代のガンズ&ローゼズだって、ホモセクシャルやバイセクシャルな雰囲気を漂わせるというのは一種の常套手段だったようにも思えるんだ。男性性と中性性の揺れ動きみたいな危うさみたいな魅力ってあると思うんだよね。ところが今のロック・バンドは、どれをみても隣のお兄ちゃんがギター弾いてるみたいでセクシーじゃないだろ?そもそも僕ら3人──痩せていて背も高くない3人──が集まってマッチョなバンドなんて出来っこないからね(笑)」
- ──
- そんな3人が巡り会うとは、やっぱり素晴らしいですね。
- R :
- 「本当に奇跡さ!そんな3人が集まった奇跡のバンドの奇跡の音を是非聴いてほしいんだ!」