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THINK PIECE

Smart Bands to Watch

VOL.3 FRIENDLY FIRES
この恍惚感に溺れたい!ポップでダンスでロックな3人組

08 10/10 UP

Text:Mayumi Horiguchi Portrait:Rebecca Miller

9月のファースト・アルバムリリースに先駆け、
サマーソニック08への出演のため初来日を果たした話題の新バンド、フレンドリー・ファイアーズ。
その登場の瞬間から、「ポスト・クラクソンズ的な存在」として騒がれていたこの3人組が生みだす楽曲はすべて、
80年前後の時代が持つ「狂気」や「暴力性」のようなものが、バシッと前面に出ており、いわゆる「パンク魂」を内包している。
加えて、そこはかとないユーモアをも併せ持ち、全体的にはクールな印象。
そんなところが、まさに「今」を感じさせてくれるユニークな存在である。
80年代のシカゴハウスから多大な影響を受けたという彼らのサウンドには、ポスト・パンク的要素はもちろん、
ディスコやハウスといったダンス・ミュージックやシューゲーザー的な要素までもが取り入れられ、
それらの融合具合は、まさに素晴らしいの一言! 一度でも耳にしたならば、すぐさま曲に合わせて踊り、
口ずさみたくなってしまわずにはいられない「極上のポップ・ソング」だ。
そんな音楽をクリエイトしている3人の本質に迫るべく、
サマソニ出演を直前に控えたとある夏の日、直撃インタビューを決行してきた。

Friendly Fires / フレンドリー・ファイアーズ

2000年を超える文化遺産が残る英国の由緒正しき街、セント・オルバンズ出身のエド・マック(Vocal, Bass)、ジャック・サヴィッジ(Drums)、エド・ギブソン(Guitar)の3人から成るバンド。14歳の頃から一緒に音楽活動を続けてきたが、「フレンドリー・ファイアーズ」というバンド名になったのは2006年から。英音楽誌NMEにて「New Noise 2008」の中での大注目バンドとして紹介され、「ありえないくらい趣味のよいバンド」との賞賛を得たり、レーベルと契約していない初のバンドとして地上波のBBC4の番組に出演したりと話題を集める。このほど、満を持してXLレコーディングスと契約、サマーソニック08に合わせ初来日も果たした注目の新バンド。

http://www.beggarsjapan.com/artists/FriendlyFires/
http://www.myspace.com/friendlyfires

 

──
サマソニに先立って渋谷DUOで行われたライヴを観たけれど、すごく良かった! 日本でのライヴは、これが初めて?
エド・マック (以下: M )
「そう。日本人は静かだって聞かされてたけど、やっぱりその通りだったね。でも、みんな拍手してくれたり、それなりに楽しんでくれてたよね」
エド・ギブソン (以下: G )
「そう。僕らというバンドに、ちゃんと注意を払ってくれてもいたし」
ジャック・サヴィッジ (以下: J )
「すごく感銘を受けたよ。バンドの認知度という意味では、まだこれからっていう段階のはずなのに、みんな笑顔を浮かべながら聴いてくれて……。曲に関しても、『パリス』とか、知ってる人はけっこういたみたいだし」
──
フェスでプレイするのは好き?
M :
「状況によるよね。ライヴを開始して10分経って、すごく良い雰囲気を感じられたならフェスは最高だし、外れの会場をあてがわれた挙げ句、観客が10人程度しかいなかったりすると、フェスは最低。個人的な趣味でいえば、小さなクラブで演る方が好きかな。熱狂に包まれて、みんなが汗だくになりながらダンスしまくって、ステージがカオス状態になるって感じがね。僕らがヘッドラインをつとめるショウを、今回の来日の数週間前にロンドンで初めてやったんだけど、すごく良かったんだ。ライティングや会場を自分たちで選べたし……。自分たちが主導権を握れるショウはいいね。渋谷DUOでのショウも、僕らの友だちがDJを担当してくれたんだけど、雰囲気をばっちり演出してくれたのが良かった。僕らの登場前に、いかすディスコをかけてくれたりしてね。自分たちの好きな音楽が流れている会場でライヴをするのが一番良いね」
G :
「例えば、『セックス・マシーン』がかかったそのすぐ後に僕らが演奏するっていう感じだと、かなり幻滅するじゃん?!(笑) そういうのは困るよね」

 

 

──
このほど完成したファースト・アルバムについての感想を聞かせて。
M :
「セルフ・プロデュース作なんだけど、作業に長い時間がかかったし、やることも多かったから、無事完成して嬉しいよ。音作りは、D.I.Y.な感じでやったよ。一本のライブ用マイクを使って録音したりしてね」
G :
「でも、いわゆるローファイって感じの音じゃないね。全ての楽器をきちんと演奏したし」
M :
「とにかく、自分たちで完全にコントロールしたかったんだよね。やりたいようにやり、作りたい音楽を作ったのさ!」

──
なるほど。次はあなたたち自身のことについて。出身地のセント・オルバンズってどういう街で、3人はどういういきさつで知り合い、バンドを始めることになったの?
J :
「ロンドンから北へ20マイルぐらい離れたところにある街だよ。鉄道だとロンドンから40分ぐらいの距離かな? いかにも郊外っぽいところだね」
M :
「僕らは今、24歳なんだけど、14歳の時に学校で出会って、バンドを始めたんだ。多分僕がやろうって言い出したんだけど、ちょっとクレイジーだったかもね。音楽的なバックグラウンドもなしに、いきなり始めたんだから。ジャックは、学校でただ一人のドラマーだったから勧誘したんだ」
J :
「うちの学校では、他にバンドをやってる奴なんていなかったよ。音楽室で練習したり、学校の機材を持ち出して使ったりしてたね」
G :
「ギターの弾き方とか、全然分かってなかった。まあ、今でもそうだと言えるけど(笑)」