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THINK PIECE

PLAY GTAIV TO THE LIMIT

ゲームの限界領域を突破する
"Grand Theft Auto"シリーズ最新作

08 11/20 UP

Text:Kohei Onuki

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GTAと言えば流れる音楽も魅力ですよね。架空のラジオ局が18もあって、NYに実在する『HOT 97』をもとにした『THE BEAT 102.7』ではグリーン・ランタンがDJをしていたり、カール・ラガーフェルドがDJを務めるラジオ局があったり。
「ラジオ局はユーザーの幅広い音楽的嗜好を満たせるものが出来たと思いますよ。それに、普段は特定のジャンルしか聴かない人が、この作品をきっかけに色んな音楽を聴くようになってくれたら嬉しいですね。ジャズひとつにしても、クラシックとフュージョンの局が分かれています。実生活でもクールな音楽が流れていることは重要ですよね。 だから選曲にもこだわるんです」
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ロックスター・ゲームスの社長、サム・ハウザーさんはもともと音楽業界にいた方なんですよね。
「彼は以前BMGで働いていました。楽曲の許諾を取るスタッフの中にも、レコード会社でA&Rをしていた者が多くいます。ロックスターにはゲームを構成するあらゆるファクターに精通した人間がいて、それぞれの専門知識、ノウハウを集合させてクールなゲームを作るんですよ」
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確かに、音楽を含めてゲームを構成する様々なファクターが緻密に作り込まれていますよね。
「日本人より細かい仕事をしてますよ(笑)。カール・ラガーフェルドのキャラクターを起用出来たのも、ファッション業界の人を通じてオファーを出して。普通のゲームではそこまでしないですよね(笑)。僕達はゲームを主要な娯楽メディアとして成長させたいから、面白いと思ったものはどんどん取り込んでいくんです」

 

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ゲーム内に企業広告が出る、なんてことも今は当たり前のことですけど、それはゲームが主要なメディアとして捉えられていることの表れですよね。
「広告が出ることでリアリティが一段と増す、という効果もありますしね。ただGTAⅣに関しては『架空の世界』という設定にこだわったので実在する企業の広告は出しませんでした。ゲームに出てくるCMなどの広告は、現実のアメリカ社会を風刺したものになっています」

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ゲームに出てくるビールの銘柄がドイツ語で"PISSWASSER"、英語に訳すと"PISS WATER(小便)"だったり、人工授精で子供を作る会社のキャッチコピーが"MORALITY IS NONE OF OUR BUSINESS"だったり(笑)。社会風刺やブラックユーモアが多く盛り込まれていますよね。
「ゲームのストーリー自体はダークでシリアスですけど、作る側としては下らない、お笑いの要素も入れたくなるんですよね。ボーリング場のピンが男性器の形だったり(笑)。子供が考えるような下らないジョークですよ。それにコメディという要素も僕達は大事にしていて、コメディ小屋に行くと、イギリスの俳優、リッキー・ジャーヴィスのスタンドアップコメディを観ることが出来ます」
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ゲームの中に出てくる出会い系サイトも、可愛い子がいれば、お世辞にもそうとは言えない人もいる。そういった部分も現実世界を見事に反映していますね(笑)。
「そうですね。現実の出会い系サイトやストリップクラブと同じです(笑)」