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THINK PIECE

Smart Bands to Watch

VOL.6 HOT CHIP
掴めそうで掴めない英国エレクトロ・ポップの不思議

08 10/24 UP

Text:Yu Onoda Live Photo:Ryota Mori

今年2月にサード・アルバム『メイド・イン・ザ・ダーク』をリリースし、
現在はワールド・ツアーの真っ直中の英国5人組エレクトロ・ポップ・バンド、ホット・チップ。
ナードな佇まいの彼らは、掴み所がありすぎて、掴み所がない曲者集団だ。
その作品世界はディスコからグライムまで幅広いフィールドを視野に入れたビート・ミュージックとしても隙がなく、
同時にソングオリエンテッドなポップ・ミュージックとしても一級品。
そうかと思えば、グライムMCのワイリーとステージで共演したり、大御所のピーター・ガブリエルや
ロバート・ワイアットともレコーディングを行うなど、その活動は精力的にして、振れ幅はあり得ないほどに広い。
しかも、表情一つ変えずにそれをさらりとやってのけるものだから、魅力的な謎は深まるばかり。
果たして、ヴォーカル/キーボード/ギター/パーカッション担当のアレクシス・テイラーが垣間見せるホット・チップの素顔とは如何なるものなのか?

Hot Chip / ホット・チップ

ロンドンを拠点に活動する5人組。2006年に発表したセカンド・アルバム『The Warning』がヒット、またパリのKitsuneのコンピレーションに何度も収録されるなど、ポップだけでなく、ダンスシーンでもブレイク。今年2月にサード・アルバム『メイド・イン・ザ・ダーク』を発表した。

http://www.emimusic.jp/international/artists/hotchip/
http://www.hotchip.co.uk/
http://www.myspace.com/hotchip

 

──
ホット・チップの曲の多くはベッドルームで録音されているんですよね?
「そうだね。ベッドルームでレコーディングした曲も数多く作品に収録されているんだけど、今回は家の近くの商用スタジオも使ったんだ。それは僕らにとって初めての経験だった。外のスタジオでの作業プロセスを学びたかったってこともあるし、以前の作品ではオーバー・ダビングで音を重ねていったんだけど、今回のアルバムはライヴ感を出したかったこともあって、一発録りでレコーディングする機会を増やしたんだ。ただ、ベッドルームのマテリアルとスタジオのマテリアルを一つの作品にまとめ上げるのは苦労したね」

──
ライヴ感が増したのは、近年、ライヴの本数が飛躍的に増えたことも大きく影響しているんですか?
「前作からの2年間は数多くのライヴをこなしてきたからね。そうなってくるとプロダクション・スタイルが変化してくるのは自然な成り行きだと思う。最近、レコーディングしたジョイ・ディヴィジョンのカヴァー『Transmission』(来年初頭にリリースされるチャリティ・アルバム『Heroes』収録)、あと、ピーター・ガブリエルと進めているプロジェクトの曲(次作アルバムに収録が噂されている)もライヴ・レコーディングしたしね。ただ、こなしてきたライヴの膨大な数ほど、ライヴ的なプロダクションに振り切ったわけじゃなく、『メイド・イン・ザ・ダーク』はベッドルームとスタジオのマテリアルを奇妙なバランスで共存させることが出来ているんじゃないかな。僕らは色んなロケーションで曲を書いたり、歌詞を書いたり、はたまたレコーディング出来るようなバンドでありたいんだ。そういう制約のない状態の方が自分たちを表現しやすいからね」