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THINK PIECE

Smart Bands to Watch

VOL.1 LATE OF THE PIER
音の万華鏡から新しいポップを生み出す期待の4ピース

08 10/3 UP

Text:Misho Matsue Live Photo:Ryota Mori

ダンス、インディー、ロックなど、ジャンルの垣根が取り払われた現在の音楽シーンでは、
音楽との関わり方自体が従来とは異なる若手バンドの勢いが目覚ましい。
その中でも異彩を放っているのがイギリスの4ピースバンド、レイト・オブ・ザ・ピア。
音のスクラップを組み立てたカオティックなサウンドスタイル、エキセントリックなビジュアル、
そしてあのエロル・アルカンがプロデュースをつとめたことで注目を浴びている。
シンセサイザーとサンプラーを担当し独特のダンスでステージでも存在感を発揮するサム・ポッター、
そしてドラムとパーカッションのロス・ドーソンに、ファーストアルバム、そして彼らが
気になっている最新の音楽事情について話を聞いた。

Late of the Pier / レイト・オブ・ザ・ピア

2005年結成。2007年3月にシングル『Space and the Woods』でデビュー。
自らのレーベルZarcorpを立ち上げつつ、8月、ファーストアルバム『ファンタジー・ブラック・チャンネル』を発表。
来年1月には待望の単独来日ツアーも控える。

http://www.emimusic.jp/intl/lotp/
http://www.myspace.com/lateofthepier

 

──
レイト・オブ・ザ・ピア(以下LOTP)は8月にデビューアルバム『ファンタジー・ブラック・チャンネル』を発表したところですが、あなたたち4人のメンバーはどのように出会ったのですか?
サム・ポッター (以下: S )
「僕たちは同じ町で育ったんだ」
ロス・ドーソン (以下: R )
「イギリスの田舎のど真ん中にあるすごく小さな町で、何にもすることがなかったんだ」
S :
「あまり人も多くなかったしさ。でも奇妙なことに15,6歳くらいになるまでは僕たちは特に仲が良かったわけではないんだよね」
R :
「孤立してた環境だったから、そのぶん想像力を豊かにすることはできたと思うよ。それが僕たちの空想的な音楽に反映されているんじゃないかな」
S :
「特定のグループや友だち関係、スタイル、服装、音楽に固執してきたわけではないんだよね」
R :
「自分たちの間だけで色々な"実験"をして楽しんでいたんだ」
S :
「探検が好きだったし、行ったことのない場所、聞いたことのない音楽など、新しいものに出会うのが好きなんだ。成長するにつれ、町の中にはなかったものをできる限り吸収したいと思うようになったんだよね」
R :
「このアルバムには僕たちが育った環境や今までの経緯が反映されていると思うよ」

 

──
収録曲のいくつかは既にデモとして発表されていましたが、アルバムはかなり洗練された印象を受けました。
S :
「僕たちは5,6年かけて曲を発展させてきたんだ。アルバムにも収録されている『VW』なんて、元々は2001年に作った曲だし。不要な部分を削って作り直したものもあって、アルバムはそれらが進化したバージョンなんだ」
R :
「同じ曲を10バージョンくらい録音したこともあったよね。最終版が完成した時ほど嬉しいことはなかったくらい」
S :
「レコーディングの過程では、曲こそが主で僕たちはその奴隷のようなものだったから、曲が命じるままに僕たちがプロデュース、録音して、したいようにさせてきたようなものなんだよ(笑)」
──
だんだん進化させてきた曲を1枚のアルバムとしてまとめるにあたり、あなたたちは「ファンタジー」というキーワードを使っていますね。これはどんなところからインスピレーションがやってきたのですか?
S :
「育った環境からか、普通の感覚を超越した空想的なものに魅了されてきたから、そういった影響はあるかもしれないね」
R :
「でも曲自体は特定のイメージを持っているわけではなくて、あらゆる解釈に対してオープンなんだ」
S :
「タイトルの『ファンタジー・ブラック・チャンネル』というのは、真っ黒な画面のようなもので、誰でもアルバムに循環するテーマを読み取ることができると思うし、ネガティブだったりダークな感情や意味を込めたものではないよ。リスナーが好きなように想像して楽しんでもらえたらいいね」