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THINK PIECE

Smart Bands to Watch

VOL.1 LATE OF THE PIER
音の万華鏡から新しいポップを生み出す期待の4ピース

08 10/3 UP

Text:Misho Matsue Live Photo:Ryota Mori

──
今回のアルバムは、もちろんLOTPのプレゼンスが独特であるのと同時に、エロル・アルカンがプロデューサーにクレジットされていることも興味深いと思います。
R :
「エロルとは、出会ってまず友だちになったんだよ」
S :
「彼はすごくオープンマインドで、あらゆるジャンルの音楽に対して夢中になれるんだ。そしてもちろん知識もある。色々な音楽をミックスすることが僕たちのやり方だし、彼とは息が合ったんだ。そして、いい意味でエロルはいわゆるプロデューサーではないし、僕たちもスタイルが確立されていなかったこともあって、特定の方法論ではなく誰も試さなかったようなやり方を模索しながら作業が進んだから、それが逆に良かったんじゃないかな」
R :
「時には完全に間違っていたのかもしれないけどね(笑)」
S :
「うん、でもそこがすごくエキサイティングなところでもあると思うんだ。僕らのソングライティングにしたって、必ずしも音楽的に"正しい"手順で進んでいるわけではないかもしれないし」
R :
「独学で音楽を始めたしね」
S :
「エロルのプロダクションにも同じようなことが言えるんじゃないかな」
R :
「多くのプロデューサーはそれぞれのスタイルがあるけれど、彼はそういったルールにこだわっていないんだ」
S :
「そういう意味では僕らのコラボレーションは、美しい“結婚”のようなものだと思うよ」
──
ボーカル/ギターのサミュエルは別名義のLA PRIESTとしてもエロルのレーベル"PHANTASY SOUND"から楽曲をリリースしていますよね。その活動はどういったものでしょうか?
S :
「LA PRIESTはサミュエルのサイドプロジェクトなんだ。来年シングルをリリースする予定だと思うよ」
R :
「彼は現実逃避したかったんじゃないかな(笑)」
S :
「面白いのは、LOTPは僕たちにとって現実からの逃避のようなものだったんだけど、サミュエルはLA PRIESTでLOTPという現実から逃避したのかもしれないし、円のように回っているんだ(笑)」
R :
「今ごろ彼は他の惑星にいるんじゃないかな(笑)」

 

──
アルバムを通して聞いてみると、何ともカテゴライズしにくいエネルギーにあふれた作品ですが、そのヒントとして、新旧問わずで敬愛するアーティストについて教えてもらえませんか?
S :
「ジャンルで区切りにくい音楽と言われるのは嬉しいことだけど、このことがジャーナリストを困らせているみたいだね」
R :
「ホワイト・ストライプスからの影響を指摘されることもあるんだけど、他にももっといろいろな音楽を聞いてきたから、彼らの影響だけで音楽をやっているわけではないしね。ビートルズだって大好きだよ」
S :
「ビートルズについて語ることは大きなタブーとなっているけどね。オアシスはビートルズのサウンドを再現していたけれど、僕たちは特定の音よりもむしろ、“好きなものは何でも取り入れる”という彼らの価値観や姿勢を学びたいと思っているんだ」
R :
「ビートルズはジャズやブルースなど、色々な音楽を取り入れているよね。とはいっても、僕たちはビートルズになりたいわけじゃない。影響にしたって、異なった楽器から異なったメロディーをピックアップして僕たちなりに解釈しているから、それらをそのまま形にしているわけではないよ」
──
では一方的な影響ではなく、同時代で今おっしゃったような、バンドとしての姿勢に共感できる、或いは個人的に仲がいいアーティストはいますか?
S :
「今年は音楽的にすごく恵まれた面白い年だと思うんだ」
R :
「少し前までは自分たちをポップバンドと呼ぶのを恐れていたアーティストが多いと思うんだ。でも最近では状況が変わってきているよね。僕たちもLOTPをポップだと思っているし」