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THINK PIECE

VANS SYNDICATE EXHIBITION

WTAPSの西山徹(a.k.a. TET)、野村訓市が語る"HARDCORE"の定義

08 8/28 UP

Text:Hiroshi Yamamoto Photo:Kengo Shimizu

先日、サンフランシスコにて行われた“VANS SYNDICATE”のエキシビションに参加したWTAPSのTETと野村訓市。
最新作のお披露目に加え、これまでの集大成として多くのアーカイヴが展示された同エキシビションから、彼らは何を感じたのか。

 

──
そもそもVANS SYNDICATEのサンフランシスコのエキシビションに、お二人で参加した理由はあるのですか。
野村訓市(以下: K )
「理由というか、常にTETが手掛けたシーズンは参加しているのかな」
西山徹(以下: T )
「だから、これまで4回行われていたVANS SYNDICATEのエキシビションのうち3回は一緒に行っているよね」
──
今回のエキシビションは、これまでと趣の異なる部分はあったのですか。
T :
「VANS SYNDICATEのエキシビションは毎回、アップグレードしているけど、今回はこれまでの集大成のような雰囲気。ブックも作って、プログラムも組んで、写真も飾り、今まで手掛けてきたアーティストも招待されて、という具合に」
──
それは、VANSのSYNDICATEというラインがアメリカのストリートカルチャーの「コア」な部分を受け継いでいることが、確立されてきた証しなのでしょうか。
K :
「SYNDICATEというラインが認知されてきたんじゃないかな。エキシビションの回数も重ねてきたし、参加してきた人たちもこのラインに愛着がある。だから今回のサンフランシスコでのエキシビションは、かなり多くの人が集まっていた。でも、実際のところ昨年の会議では、『ハードコアとはなんなんだ?』という話題で議論になっているんだよね。SYNDICATEは『ハードコアなスケーターのため』だと言っているけど、その『ハードコア』というのは分かりやすいようで抽象的。結局、ハードコアの捉え方って、主観的な問題になってくると思うし」

 

──
TETさんや訓市さんは、その「ハードコア」という言葉に対して、どう答えたんですか。
T :
「SYNDICATEのチームが『ハードコア』という言葉を出してきたときに、どういう意味で使っているのかを共有できなかったから、質問を返す。『スケーター=ハードコア』から、『どんなスケーターがハードコアなのか』と、少しずつ答えを探っていった感じで」
K :
「ライダースを着ていればハードコア、とはいかない。語りはソフトだけど、生き様がハードな人もいるからね。つまり、ハードコアというのは突き詰めていくと、人そのものになる」
T :
「そういう話を繰り返して、今回の3型が生まれてきた」
──
SYNDICATEのチームも、すべてをTETさんに委ねるのではなく、一緒に考えていこうというスタンスなのですね。
T :
「最初に議論があったから、というのもあるとは思うけど」
K :
「SYNDICATEのチームだけではなく、VANSという大きな会社のなかで、マーケティングなどの絡みも出てくる。その過程で、今回は3つのモデルになったのかな、と。最初は1モデルの予定だったけど、1つに全てを集約するのではなく、アイディアがあるのなら色んなカタチで見せた方が面白いだろうし」
──
今回のプロダクトでTETさんが表現しようとした本質的な部分は、エキシビションに集まった人たちに伝わっているようでしたか。
T :
「正直、物だけでは伝えきれない部分はあります。でも、エキシビションではテキストや写真も使っているので、参加アーティストたちには伝えられたんじゃないかな」
──
実際に具体的なリアクションはあったのでしょうか。
T :
「単純に『いいね』くらい(笑)」
K :
「でも、それが胡散臭くない。俺的に面白かったのは、求められているデザインとは一番遠かったハイカットタイプの[BASH]を、VANSのスタッフのみんなが履いてくれたこと。会議のときには、VANSのスタッフは製品化に乗り気じゃないモデルだったからね。でも、彼らが忘れていたノスタルジックな部分を、プロダクトを通じて気付かせることができた」