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THINK PIECE

VANS SYNDICATE EXHIBITION

WTAPSの西山徹(a.k.a. TET)、野村訓市が語る"HARDCORE"の定義

08 8/28 UP

Text:Hiroshi Yamamoto Photo:Kengo Shimizu

──
ただのファッション的なアイテムを作っているのではない、ということですよね。物を通じて、エモーショナルなリアクションを引き起こしている。
T :
「結局、それがハードコアな部分なんだろうね。言葉では言い表せないけど、結果的に面白いリアクションを得られている」
K :
「3つのモデルを作ったことで、世俗的なハードコアとは違う方向性も示せた部分もあるんだと思う」
T :
「ハードコアという問いに対して、コレという答えは無いからね。スケートボーダーというのは、まったく違う所から拾ってきて、スケートのために使っていた。つまり、最初から何も与えられていない。DJに近いニュアンスで、あらゆる物をミックスしていった」
K :
「実際にジョーダンを履いてスケートしているからといって、NIKEが好きかというと、違う。単純に滑りやすいから、チョイスしているだけだし」
──
そういう意味でストリートカルチャーというのは、ファッションとは異質な存在になってきますよね。
T :
「そう。完成され過ぎていると、それ以外の用途では使いこなせないからね。ファッションにしても、靴にしても、ハードコアにしても、ブレイクして新しい物を作れる隙間がある。そういうのがアメリカのユースカルチャーであり、僕自身のクリエーションにも繋がってくる」
──
そういった想いは。若い世代に対しても、感じて欲しいと思いますか?
T :
「自分は馴染んでもらって良いと、思っている。クリエイションをして製品になれば、それは売っていく物。だから、どう感じるかはお客様に委ねないと」
K :
「物単体で、良いと思ってもらえる方が潔いし、物として正しい。で、結果として気に入って、調べてみたら、ストーリーがあって……、というのが理想。カテゴライズされ過ぎると、そこにマーケットが生まれて、面白味が半減するからね。イメージにとらわれるのではなく、製品である以上はプロダクトで勝負するべき」

 

──
でも、SYNDICATEもカテゴライズされ過ぎてしまう可能性はありますよね。
K :
「だからこそ、独り善がりの物作りはしない。やっぱり、理解してくれる人にはストーリーは提供するけど、それ以外の人にも伝えたい。ハードコアを押しつけるのは、違うと思うし」
T :
「もともと、ハードコアって定義されるもんじゃないからね」
──
定義しようとすると逃げていく。
K :
「そうそう、自分で名乗るようなことじゃない」

──
でも、そういったカルチャーがあったからこそ、自分で物作りをしていこうと思ったわけですよね。そういった意味で、初心を忘れそうになったりすることはありますか?
T :
「もちろん。いろんな人に会えば、それだけ新しい風が入り、流されそうにはなる。けど、そのなかで逆に自分を見つめ直す機会も生まれてくる。その繰り返しだからね」
──
となると、SYNDICATEというプロジェクトは、自分のルーツをもう一度見直すキッカケになっているのでしょうか。
T :
「最初のコレクションでは、そういったことを特に実感していたし、今季のプロダクトのなかだと、[BASH]なんかはまさにそう」
K :
「昔から履いていたVANSで、しかも型から物作りができるとなったら、やるしかないでしょう。でも、実際に物作りをしない俺は、TETの横で無責任に興奮しているだけなんだけど(笑)」
T :
「でも、その勢いに煽られて、モチベーションが上がるだけどね(笑)」