CRUE-L 『THE FUTURE IS YOURS』
CRUE-L、瀧見憲司が構築する
ミュージック・シーンのニュー・オーダー
08 9/26 UP
Text:honeyee.com Photo:Shoichi Kajino
91年の設立以来、次の時代を切り開く革新的な作品をシーンに送り出してきたCRUE-L。
先頃、そのCRUE-Lを率いる瀧見憲司監修・コンパイルによるコンピレーション『THE FUTURE IS YOURS』がリリースされた。
瀧見憲司、神田朋樹のユニットが放つフューチャー・フォーク・ダウンビートにはじまり、DISCOSSESSIONによるボッサ・コズミック・ディスコなど、
本作に収められた多彩な楽曲の数々は、混沌とした現在のシーンに風穴を開け、次なるシーンにおけるニュー・オーダーを構築しようとする気概を感じさせる。このたび、そのニュー・コンピレーションのリリースを記念し、瀧見憲司にインタビューを敢行。瀧見憲司が語るシーンをめぐる現在、そして未来とは。
- ──
- 今回のコンピレーション・アルバムは、全て新曲で構成されていますよね。各アーティストにオファーを出して、あがってきたものをまとめるという。
- 「そうですね。別のアルバムを作っていて、先にあがった曲を収録したものもあるんですけど」
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- アルバムに収録された曲にはある一定のテイストを感じました。ある種の官能性を感じさせるというか。
- 「年齢的に『色気の無いものはダメ』という感じだから。ただ各アーティストに曲の制作をふって、こちらの思い通りのものがあがるかと言えば、そうではないですよね。色んな方向性の曲が、重なる部分もあり、微妙にずれることもありつつランダムな多様性と拡散がレイヤーになっている。それがコンピレーションの良さだと思いますし」
- ──
- 今回のコンピレーションはCRUE-Lというレーベル、そして瀧見さんが作ったということが明確に見えるというか、それがよく分かる作品だと思いました。そういった作品って、最近はなかなかありませんよね。
- 「このコンピレーションはCRUE-Lという、言わばひとつの人格によって生み出された ものだからそう感じるのかもしれない。でも、今の世の中、コンピレーション・アルバムを出そうとすると、タコ壺みたいに狭いシーンか、もしくは、あるとされるマスを狙うしかないですよね。でも、タコ壺みたいな狭いシーンを狙っても、その中でしか通用しないし、かといってマスを狙おうとしても、みんなどこに狙いを定めていいのか分からない。しかも音楽が、洋服なんかと同じで季節とともに変わってしまうというか、交換可能で、あってもなくてもいいようなものになっているというような『それぐらいでいい』と思っている人が多いということを、ここ数年実感しているので。『作品』を『製品』にしないとビジネス的にまわらないというのもあるし」
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- かつては、売れないけれど良い作品というものが確かにありましたけど、今となっては……。
- 「今はもう無いね。『売れないけど良い』というのは、もはや単なるエクスキューズでしかなくなっているでしょ」
- ──
- 瀧見さんは「自分たちの音楽が、聴く側の意識を感化させるようなコミュニケーションに成り得る」ということを信じていますか。
- 「そういう想いが無いとやっていられないかな。まあそれがなければ、作ろうと思って作れるものはたくさんあるんだろうけど。スタイルとフォームが重要っていうのはもちろん分かっているつもりなんだけど。 表像と意匠についてもそうだし。既存の特定のフォーマットにアレンジを加えるだけ、というようなことは技術的に出来る人はいるから」
- ──
- それをやらないのは音楽に対する想いからですか。
- 「単に、柔軟なビジネス・スキルとスキームがないからでしょ（笑）」
- ──
- そもそも本気で音楽をビジネスとして捉えていない（笑）。
- 「そんなことはないですよ（笑）。ビジネスとしてやる人間がいたら、そういうものがあってもいいかな、という気持ちはありますよ。そういうものが嫌いというわけではないから」
CRUE-L PRESENTS『FUTURE.』
2008.9.27（土） OPEN/START: 15:00
9.28（日） END: 9:00
川場スキーリゾート（群馬県武尊高原川場村）
【LINE-UP】
THE CORNELIUS GROUP
ゆらゆら帝国
WAY OF THE ANCIENTS (RUB'N TUG/MAP OF AFRICA)
EYE (BOREDOMS)
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