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THINK PIECE

CRUE-L 『THE FUTURE IS YOURS』

CRUE-L、瀧見憲司が構築する
ミュージック・シーンのニュー・オーダー

08 9/26 UP

Text:honeyee.com Photo:Shoichi Kajino

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現在、音楽や映画、ファッションといったカルチャーが急速にその力を落としてしまっているような気がしませんか? クリエイションそのものに対する正当な評価がなされない気がするのですが。
「モノを見て良いと思わなくても、それがマーケットでの価値のあるものなら、良いと言うわけでしょ。モノを評価するにあたって、世論やマーケットでの価値という基準が最も重視される。評判ヘルっていうか、プライスカード・ヘルっていうかね」
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そういった状況を打開していこうとするモチベーションはありますか。
「それはありますよ。本当に良いものを知ってもらいたい、という気持ちは常にあるし、そうじゃないとやっていけない。実際凄いものはたくさんあるわけだし。こういう例えはどうかと思うけど、ART BRUTとか見ると、表現するとか、アートとは何かについて、ホントに考えさせられるでしょ。夢に出てくるほどの衝撃というのも今どきなかなかないしね」
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音楽が人の考えや生き方を変えていく、ということを今の時代、どのように伝えていけばいいんでしょうね。
「言葉で伝えられるものじゃないですからね。何か意味のある事を提示するための不合理にハマるのも疲れると思うので。触れるもの、見えるものしか信じられないという事に対して、宗教とか持ち出すと旧来的な罠にはまるし。インスピレーションをどこから得るか、という問いに対するパワーバランスが、モノと経験の間でかなり揺れ動いていることに対してどう出るかって事ですからね。iTunes登場以降、音楽が複製可能なデータになって、音楽そのものが本当に軽いものになりましたから」

 

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だから、ライブハウスやクラブでのイベント、生の現場に足を運ぶ人達が増えてきているのでしょうか。
「そういう意見もあるけど、あれはあれでフィジカルで一時的な共通認識の確認の場という風に進みがちなのかな。音楽で感情が揺すぶられる、というより、その場で汗かいて自分の仲間を確認してスッキリしたら終わり、みたいなもので、それ以上のものはあまり無いようなものが多い気がする」
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今回のコンピレーションに参加しているアーティストには、音楽で感情を揺すぶる、そんな「本物」を感じさせる何かがありますか。
「そういう意味では、THE TWO& THREEの『NO SIDE(PART.1)』『NO SIDE(PART.2)』にはすごくオブセッションがある気がする。音は穏やかなんだけど。先が読めないってことでは、シューゲイズ・パンク・ハウスなFRAN-KEY,CRYSTAL&ROGERとかすごく面白いと思うし、それにDSKの『WINTER LANE』NUJABES REMIXはリミックスというフォームの最上級の部類に入るものだと思う。ミュージシャン側に接近するやり方で、ヒップホップの枠組みから抜け出そうとする、そんな気概が感じられた。あと、自分的には、やぶのけんせいによるジャケットがポイントかな」
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このアルバムに収録された曲は全て、インテリジェンスを感じさせると同時に、言葉では説明できない衝動を感じさせました。音楽に限らず、ファッションでもアートでもそういったエモーションが無いと、つまらないものになってしまいますよね。
「それはもちろんあると思いますね。経済的なこと、マーケットのことを考えるとそうなってしまうのかもしれないけど、かといってみんながお金を貰わずにやる、という状況も違う気がするというか、そうなって欲しくないとは思いますね。社会と資本に対して、どういう挑み方と筋の通し方をするのかって事だけど。歓喜の場に音楽は必要だし。でも、色々な意味で2008年がシーンの境目になっている気がするんですよ。そういった意味で今回のコンピレーションのリリースは、言ってみれば、ゼロ地点からの新たなスタートとなっているような気がしますね」