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THINK PIECE

Smart Bands to Watch

VOL.4 THE TEENAGERS
シニカルなポップを奏でる確信犯的ピーターパン症候群

08 10/14 UP

Text:Misho Matsue

Myspaceをきっかけにシンデレラストーリーを歩むバンドは今や珍しくはない。
しかし、「パリのフラットで酔っ払ったオタク3人組が冗談半分にアップロードした曲がじわじわと
広がり、レーベル争奪戦のうえロンドンにてデビュー、そしてツアーで世界を飛び回る……」、
まるでコメディ映画のような経歴を持つザ・ティーンネイジャーズはやはり気になる存在だ。
シニカルで人を食ったような言動とナードな雰囲気、そして曲の持つ何とも「青い」世界観が、
10代ならではの身勝手さ、気恥ずかしさ、エネルギー、その他がないまぜになった独特の感情に
覚えのある若者、そして元・若者の興味を惹いてしまうのだ。

THE TEENAGERS / ザ・ティーンネイジャーズ

2005年結成。メロウなトラックに毒のある歌詞をのせたトラックがMyspaceで話題を呼び、バンドとして一度もステージに立つことなく、UKのレーベルMEROKと契約。今年の春、『リアリティ・チェック』でアルバムデビュー。12月にはYELLEと共に来日公演が決定。

http://wmg.jp/artist/teenagers/
http://theteenagers.net/
http://www.myspace.com/theteenagers

 

──
まず、メンバーの出会いとそれぞれの役割を教えてください。
ミカエル (以下: M )
「クエンティンがボーカル、ドリアンがギターとボーカル、僕はベースとボーカルを担当しているよ。僕たちが出会ったのは中学生の頃だから、もう10年以上の付き合いになるかな」
クエンティン (以下: Q )
「僕はドリアンとは同じクラスで、一緒にバカ騒ぎをするグループにいたんだけど、音楽の趣味は全然違ったんだよね。でも好きな曲を交換したりしていたから、僕はドリアンのおかげでインディーミュージックを聞くようになったし、逆に彼は僕が薦めたデスティニーズ・チャイルドの良さを知ることができたんだ」
──
いい話ですね(笑)。まさにティーンネイジャーの時に出会ったあなたたちは、いったいどんな10代を過ごしたんですか?
Q :
「今に比べるともっとおとなしかったかな。とはいえ、いろいろイタズラはしてたんだけどね」
ドリアン (以下: D )
「住んでいたのはパリの郊外だったから、とりわけ楽しくもないしつまらなくもないし、という毎日だったよ」
──
今はフランスを出てロンドンをベースにしていますよね。なぜロンドンに移ったのでしょうか?
M :
「学校を卒業した後、パリに飽き飽きしていたクエンティンがまずロンドンに引っ越したんだ。バンドを始めてデビューしてからは、今所属しているレーベルMEROKもロンドンにあるし、ツアーをするにも好都合だから、僕とドリアンもロンドンに行くことにしたんだ」

 

──
隣の国とはいえ海外で活動するフランス人として、近年のパリ周辺の音楽シーンについてはどう思っているのでしょうか?
M :
「エレクトロのムーブメントによってEd BangerやKitsuneの周辺は盛り上がっているけれど、僕たちのようなバンドに関しては、パリには居場所がないんじゃないかな」
Q :
「もちろんフランス人であることには大いに誇りを持っているよ!」

──
パリ発のポップやロックのシーンとなると、なかなか難しいですよね。それでは音楽についてお聞きしますが、ザ・ティーンネイジャーズの歌詞はヤングセレブやビバリーヒルズなど、アメリカのカルチャーを揶揄というか、独自の視点で捉えたものが多いですよね。
M :
「僕たちの世代は子どもの頃から、テレビ番組や音楽といったアメリカのカルチャーに囲まれて育ったんだ。特に90年代はTVからすごく影響されたかな」
Q :
「それにポップコーンも大好きだしね」
──
日本もそうだったのですが、フランスも同じなんですね。その世界観を楽しませてもらってはいるものの、失礼ながら妄想と言うか、あまり自伝的とは思えない表現も見受けられるのですが、歌詞はどのように作っているのですか?
D :
「まずみんなで集まるんだ」
Q :
「そしてとりあえず飲みまくる! 酔わないとなんだか気恥ずかしくて、とても歌詞なんて考えられないよ」