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THINK PIECE

WANTED

『ウォンテッド』ティムール・ベクマンベトフ監督が語る
内的/外的感覚の視覚化。

08 10/1 UP

Text:Milkman Saito

「(マーク・ミラーとJ.Q.ジョーンズによる) 原作とはフラタニティに対する歴史的観点がぜんぜん違う。ブラザーフッド(友愛会)的なつながりはなく、単にアメコミのスーパーヒーローたちを困らせる悪人の集まりだった。映画にあらわれるフラタニティの由来は私たちが作り上げたものだけれど、あとで調べてみるとたいていの結社というのはそうした階級・組織を源とするもので、フランスにもイランにもロシアにもあるということが判った。古代ギリシアにもゼウスの三人の娘が織機で運命を織り上げるという話がある」
工場の一室を占める巨大な織機……この「運命の織機」が毎日織りつづけるタペストリーの縦糸と横糸を二進法のコードに翻訳し、そこから「世界の秩序」を乱す人物の名を読み解いて暗殺する……それがフラタニティという組織なのである。実際のジャカード織機がコンピュータの原型のひとつであることは周知の事実。となると、物語がやがて明かすことになる意外な結末は、これがコンピュータ社会への皮肉であることを暗示してもいるのだろう。
ところで筆者は京都の西陣出身。機織りの音が響くなかで筆者が育ったこと、西陣の職人組合がフランスに渡りジャカード織機をいちはやく導入したことを話すとベクマンベトフの目が輝いた。
「私はあさって京都へ行くんだ。その西陣にも暗殺結社のような話はあるのか?……こりゃあ第二弾は京都を舞台にしないとな(笑)」

 

『ウォンテッド』

監督: ティムール・ベクマンベトフ
脚本: マイケル・ブラント、デレク・ハース
原作: マーク・ミラー
製作総指揮: マーク・シルベストリ
出演: アンジェリーナ・ジョリー、ジェームズ・マカヴォイ、モーガン・フリーマン、他
原題: WANTED
製作国: 2008年アメリカ映画
上映時間: 110分
配給: 東宝東和
R-15指定

日劇1他全国ロードショー中

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