honeyee.com|Web Magazine「ハニカム」

Mail News

THINK PIECE

NEW WORK

"The Downtown Don"Aaron Bondaroffが生み出す
新たなムーブメントの萌芽

09 2/20 UP

Photo:Shoichi Kajino Text:Kohei Onuki

ニューヨーク・ダウンタウンのクリエイティブ・コミュニティから新たなムーブメントを仕掛ける "The Downtown Don"ことAaron Bondaroff。ストリートに充ちるD.I.Y.スピリットを武器に、貪欲に新たなクリエイションを追求する彼の素顔に迫る。

Aaron Bondaroff / エーロン・ボンダロフ

1977年、ニューヨーク生まれ。Stussy NY、Supremeのスタッフを経て、自身のレーベル、aNYthingを設立。また、ファッションの分野のみならず、音楽レーベルの運営やTV番組の制作、クラブのプロデュースを行うなど、様々な分野で活躍するニューヨーク、ダウンタウンストリートのアイコン的存在。

aNYthing
http://anewyorkthing.com/

 

──
Aaronさんが新たに始めたプロジェクト"NEW WORK"について教えて下さい。
「"NEW WORK"はアートとファッションのコラボレーション・プロジェクトで、友人のRyan(McGinley)から『一緒に何かやろうよ』と言われたのがきっかけだったんだ。それから"NEW YORK"の言葉を捩ったプロジェクト名とロゴを考えて、Ryan(McGinley)やAdam McEwen、Dan Colenらのアーティストの作品をフィーチャーしたTシャツを作るようになった。Tシャツという形でならお金を持っていないキッズでもアートに触れることができるからね。Tシャツだけに限らず、色んな形でアートを提示していくのもいいと思っているよ」

──
NEW WORKのプロジェクトに参加しているアーティストの姿を映し出したTV番組も制作していましたね。
「"Off Bowery Productions"という、ダウンタウンのアートシーンを舞台にしたリアル・ドキュメンタリーのTVプログラムだね。もともとはSundance Channelのために作ったものだったんだけれど、Play Boy Channelで放映されることになったんだ。アダルト・エンターテインメントがメインのPlay Boy Channelで放映することにある種のパンク的な意味合いを感じたんだよ。前回はアートシーンをフィーチャーしたから、もしシーズン2を作れるなら、ミュージシャンを取り上げてみるのも面白いかもしれないな」
──
Aaronさんは過去にThe Virginsをフックアップしていましたけれど、今現在、気になるミュージシャンがいるんですか。
「数え切れないほどたくさんいるよ。ニューヨークのミュージシャンなら、Silk FlowersやCheeseburger、I.U.Dかな。あと、ロサンゼルスのNo Ageというバンドも素晴らしいね。ニューヨークのミュージシャンだけにこだわるつもりはないから、若くて才能溢れる色んなミュージシャンをフィーチャーしたいな」

 

──
Aaronさんは数多くのプロジェクトを手掛けていて、出版の仕事も手掛けていますよね。つい先頃発行されたWeirdo Daveの"Fuck This Life"について教えて下さい。
「Al Moranというマイアミを拠点に活動するアートコレクターと僕が一緒に運営しているO.H.W.O.W.という出版会社があって、そこから僕たちのコミュニティにいるアンダーグラウンドのアーティストの本を出版していて、"Fuck This Life"はそこから出版された5冊目の本なんだ。(Weirdo)Daveは僕の昔からの友人で、とてもユニークなやつ。彼はニューヨークの街で感じたことをZineという形で発表していたんだよ。タブロイドの切り抜きなどを使ったフォト・コラージュのZineなんだけれど、これまでに作られた10冊のZineを1冊にコンパイルしたのが"Fuck This Life"なんだ。才能があっても日の目を見ることの出来ないアーティストがいるけれど、僕はそんな彼らに自身のクリエイションを世に送り出すための場を提供している。とてもやりがいのあることだ」
──
この作品にはNeck Faceも参加しているんですよね。
「"Fuck This Life"のイントロダクションはNeck Faceが手掛けた。DaveとNeck Faceはとても仲が良くて、2人ともクレイジーなニューヨーカーなんだ(笑)。これからO.H.W.O.W.では、ギャラリースペースでタトゥーアーティストのScott Campbellのエキシビションを開催して、彼の本を出版したり、新田桂一や、Wreck Center(2008年にAaronがオーガナイズした期間限定の多目的表現スペース)の本もリリースしていく予定だよ」
──
Wreck Centerに続くエキシビジョンのプロジェクトも進めているんですよね。
「3月末から1ヵ月間のエキシビションをやる予定。あるアートファンドがエキシビジョンを開催するためのスペースを貸してくれるんだ。アートショーのキュレーションを行って、ニューヨークの新しい才能を発掘していく。有名アーティストのアシスタントをしているような若いアーティストの中から才能のある人を見極めてフックアップしたいと思うんだ。何でもありで、キッズのたまり場にもなっていたWreck Centerほどクレイジーにはならないけれどね(笑)」