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THINK PIECE

NEW WORK

"The Downtown Don"Aaron Bondaroffが生み出す
新たなムーブメントの萌芽

09 2/20 UP

Photo:Shoichi Kajino Text:Kohei Onuki

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Aaronさんが若い才能をフックアップする時は、彼らのどのような部分を見ているんですか。
「抽象的な表現になるけれど、その人がムーブメントを起こす可能性を秘めているか、自分のクリエイションに自信を持っているか、という部分を見ている。それはその人の雰囲気に表れるんだ。アーティスト、フォトグラファー、映像作家、ミュージシャン、表現方法の違いがあったとしても、それは共通している」
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最近、O.H.W.O.W.からニューヨークの若者を数多くフィーチャーした"The Young And The Banging"という本が出ていましたけれど、あの本はどのような意図で作られたものなんですか。
「"The Young And The Banging'"はアーティストのブリーディング・フィールドとしてのニューヨークを表した本なんだ。あの本にはまだカレッジに通っていて、『自分が何をするべきなのか』ということが定まっていない若者も出てくる。勿論、中には将来ビッグになる人もいると思うけれど。あの本では、若者たちがカレッジを卒業した後に直面するアートを売ることの難しさ、などを表現したんだ。数多くのアーティストにとって、アートだけで生活していくことは本当に難しいことだからね。けれど、そんな状況でも自分のクリエイションに自信を持っているアーティストは他との差が出てくる。そんなニューヨークのアートシーンの土壌を表現したのが"The Young And The Banging"なんだ」
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今は不況の影響で、アーティストの置かれる状況が厳しくなっていますけれど、新しいムーブメントやカルチャーが勃興する時って、経済や政治の状況が悪くて、世の中のムードが暗い時ですよね。Aaronさんを核にしたコミュニティには、そうした暗いムードに覆われた状況下で新たなムーブメントを起こしていこうとする、そんな気概を感じます。
「普通なら不況の時代に新しいアクションを起こそうとは思わないよね。けれど、まとまったお金も無いまま色んなプロジェクトをしてきた僕は、2009年は新しいアクションを起こすのにいいタイミングだと思っている。何をやるにもクレバーにならないと生き残れない世界が来たわけだから、アートの表現ひとつを取ってみても、そのアウトプットの方法を変えていかなくてはいけないんだ。ニューヨークのダウンタウンのコミュニティにはD.I.Y.スピリットが満ち溢れているし、そこから新しいムーブメントを作っていきたいんだよ」