honeyee.com|Web Magazine「ハニカム」

Mail News

THINK PIECE

ROC TRAX´S JAM NAMED SATURDAYS

土曜のダンスフロアを激震させる
ROC TRAXによるコンピレーション"SATURDAYS"

09 2/2 UP

Photo:Shoichi Kajino Text:Kohei Onuki

「ブームは終息に向かう」。そんな言葉が一部で囁かれていたものの、2008年もエレクトロの勢いは衰えるどころか、
ムーブメントの中から登場した多様なアーティストの活躍により、シーンの層は厚みを増した。
そんな進化を続けるエレクトロシーンにおいて、日本、そして世界のDJブースをジャックし続けるDEXPISTOLSが、
自身が率いるROC TRAXクルーによるコンピレーション"SATURDAYS"をリリース。
そのDEXPISTOLSが、トーキョーの「今」のシーンを牽引するROC TRAXクルー、
そしてエレクトロのネクストステージについて語る。

 

──
まず曲の話に入る前に"SATURDAYS"のジャケットデザインについてお聞きしたいのですが、デザインのインスピレーションソースはおそらくCRUの"JUST ANOTHER CASE"のジャケットデザインですよね。それには何かしらの意味が込められているのでしょうか。
DJ DARUMA (以下: D )
「CRUの"JUST ANOTHER CASE"のジャケットデザインが直接のソースとなったわけではないんですけれど、"JUST ANOTHER CASE"のジャケットデザインで表現されている"YING YANG(陰陽)"のイメージと、僕たちの音楽的嗜好に通じる部分があったので、それで"JUST ANOTHER CASE"のジャケットデザインをインスピレーションソースとして引用したんです。僕たちは、プラスかマイナスか、という両極端な音楽が好きなので、その音楽的嗜好性と"YING YANG"のイメージが結びついたんですね」
──
コンピに収録されている曲はいずれも、土曜のパーティで、クラブのDJがセットリストに入れたくなるようなパーティトラックですね。コンピを作るにあたって、"SATURDAY"というコンセプトは当初から考えていたんですか。
D :
「今回のコンピを作る時に、はじめにコンセプトを決めたんです。去年『宇宙ブーム』を感じていて。例えば、洋服に宇宙をイメージさせるグラフィックが使われていたりして。そういう流行があったので、はじめは宇宙を連想させるという意味で、"UFO"というコンセプトを考えていたんです。ただ、流石にそれでは伝わりにくいですよね(笑)。そこで、ROC TRAXを含めて、みんなが好きなものの象徴として『週末』というキーワードが浮かんできた、ただ、"WEEKEND"という言葉だと何だかしっくりこないので、既に完成していた曲"SATURDAYS"のタイトルを、アルバムのコンセプトにしました」

 

 

──
では、DE LA SOULの"A ROLLER SKATING JAM NAMED SATURDAYS"をVERBALさんと(MADEMOISELLE)YULIAさんがカヴァーしている曲は、コンセプトが決まる前にあったんですか。
D :
「元からですね」
──
GAINESの"BBB DANCE FEAT. BIG O&TEKI LATEX"は2 IN A ROOMの"WIGGLE IT"を弾き直していますね。"SATURDAYS"もそうですけれど、90年代のヒップホップの要素が入った曲がいくつか収録されています。それは意図したものなんですか。
DJ MAAR (以下: M )
「90年代の音楽に対する自分たちなりの再解釈、オマージュという部分はあると思いますけれど、それ以上に、僕たちが青春時代にリアルタイムで聴いていた90年代のヒップホップやハウスの影響が今でも自分たちの中にあって、それが自然に現れてきたんだと思います」
D :
「あの曲に関しては、GAINESがあげてきたトラックがたまたま"WIGGLE IT"を弾き直したものだったんですよ。TEKI(LATEX)も気に入ってくれて。みんな年が近いから似たような音楽遍歴を辿ってきているんですよね」
──
"MIDNIGHT SEVENSTER(RAP MIX)"はTHE ARMのような若いラッパーをフィーチャーしている曲ですが、お二人は若い世代の才能を積極的にフックアップしようとしていて、それがこの曲には顕著に現れていますよね。
M :
「若い子たちの初期衝動から生まれる勢いに勝るものは無い、ということで。彼らは音楽的な経験が少ないけれど、とんでもないアイディアを出してきたりしますから。そこが面白い。それに、単純に若い子たちがものを発表できる土壌を作りたい、という気持ちもありますね。実は、自分たちがサポートする後輩が海外のビッグフェスでヘッドライナーに選ばれる、という夢もあるくらいで」