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THINK PIECE

ROC TRAX´S JAM NAMED SATURDAYS

土曜のダンスフロアを激震させる
ROC TRAXによるコンピレーション"SATURDAYS"

09 2/2 UP

Photo:Shoichi Kajino Text:Kohei Onuki

──
自身がアーティストとして活動すると同時に、プロデューサー的な視点も持ち合わせているということでしょうか。
M :
「プロデュースというよりは、ディレクションの部分ですね。実作業をサポートしていく感じです」
D :
「『僕たちがまとめます!!』と」
M :
「クルーの中で互いの技術や情報をスムースに交換したり、ビジネス面でも互いをサポートしていけますよね。ED BANGER然り、KITSUNE然りですけれど、クルーだからこその強さがあるじゃないですか。僕たちもそういうクルーとしての強みを大事にしたいんです」
──
"SATURDAYS"はROC TRAXのメンバー各々の個性が際立っていると同時に、全体として統一感のあるコンピに仕上がっていると思いました。お二人から見た本作の出来栄えはいかがですか。
M :
「まだまだ細かい部分に手を加えたかった、というのはありますけれど、全体としては上手くまとまったと思います。それに、CDリリースの経験がない人も少なからずいたけれど、機動戦士ガンダムでいうところのホワイトベース・クルーのように、素人だからこその勢いが良い方向に作用したような気がします」
D :
「まだまだモビルスーツを乗りこなすまでには至ってないですけれど(笑)」
──
ROC TRAXのメンバーはMYSSにように若くて才能溢れるアーティストも目を引きますね。
D :
「MYSSはこのコンピを作り終えた後に、新しいトラックを渡してくれたんだけれど、そのトラックがすごく格好良かった。若い世代が勢いのあるトラックを作るのは、当たり前と言えば当たり前ですけれど」

 

M :
「DAFT PUNKがファーストを出したのも、彼らが19、20才の時ですからね」
D :
「若い子たちが僕たちとフラットな立場で活躍できる、そういうシーンを作ることが大事だと思うんですよ。若い人たちはどんどん前に出ていけばいいし、それが僕たちにとっての刺激にもなりますから」
──
確かにそうですね。今は、日本のダンスミュージックのシーンにエレクトロが定着するのか否か、というタイミングだと思うんです。そのようなタイミングでROC TRAXとしての作品をメジャーからリリースしたということは、意味のあることだったんじゃないですか。
D :
「実は正直なことを言うと、俗に『エレクトロブーム』と呼ばれているものは一旦終息に向かっていると思うんですけれど、ただ、エレクトロのムーブメントの中から出てきたアーティストが姿を消すとは思っていないんですよ。今は、エレクトロのシーンの中で互いに交差してきたアーティストたちそれぞれが、また新たな進むべき道を探している状態だと思っていて、そのタイミングでこのコンピが出せたのは意味のあることだと思います」
M :
「音楽的自由度を求める人たちが集まった場所、というのがエレクトロのシーンで、そこにみんなが音楽的自由度や遊び心を求めたんですよね。それぞれのアーティストが好き勝手をした結果シーンが終わる、というよりも、音楽的自由度を求めるアーティストがまた新しいコミュニティーでムーブメントを作り出していくんだと思います」
──
俗に「エレクトロブーム」と呼ばれたもの、特に東京においては、ファッションのイメージが先行していた部分もあると思うのですが、そのようなことに対する違和感はありませんでしたか。
D :
「違和感は全くないですね。ファッションから音楽に興味を持ってくれる人がいてもOK。フランス然り、オーストラリア然り、やはり音楽そのものがシーンの核になっていますけれど、東京の場合に関していえば、ファッションがなければここまでシーンは盛り上がらなかったと思うんです。ニューエラを被って、ウェイファーラーを掛け、ブラックのスキニーパンツを履いて……。どこからあのスタイルが出てきたのかはよく分かりませんけれど」
M :
「音楽的自由度がファッションにも現れているんですよね。『ロックがかかるダンスフロアだけど、ナイキのスニーカー履いて踊るぞ!!』というように。『ダンスミュージックだけどモッシュするぞ!!』というのも音楽的自由度の現れですよね」