honeyee.com|Web Magazine「ハニカム」

Mail News

THINK PIECE

GOLDEN ERA

DJ SOULJAHが語るヒップホップの黄金時代

09 7/29 UP

Photo:Kristian Schmidt Text:Kohei Onuki

ヒップホップ黎明期から現在に至るまで、常に日本のヒップホップ・ジャンキー、ヴァイナル・ジャンキーを引き寄せてきたメッカ、Manhattan Records。ハニカム読者の中にも、80年代、90年代にヒップホップの洗礼を受け、日々リリースされる新譜をチェックするため、渋谷のショップに足しげく通った経験を持つ人も多いかと思うが、そのManhattan Recordsがヒップホップの黄金時代とも言うべき90年代のクラシックスをテーマとしたミックスCD『Manhattan Records® The Exclusives Hip Hop Hits vol.2』をリリース。ATCQ、De La Soul、Gang StarrにPete Rock&C.L. Smooth……、レジェンドたちが90年代に生み出したクラシックの数々を収めた本作はヒップホップ黄金時代の熱気を現代によみがえらせる。このたび、そのミックスCDを手掛けたDJ Souljahにインタビューを敢行。DJ SouljahがHip Hopの黄金時代を語る。

DJ SOULJAH

ニューヨークを拠点に活動するDJ。クラブプレイとともに、精力的にリリースを行うミックスCD/DVDが注目される。Hip Hopシーンに大きな影響力を持つ専門誌であるThe Source誌では、“Real Hip Hop”として取り上げられるなど、今後の活躍が期待される。

http://www.djsouljah.com/

 

──
まず、Souljahさんがヒップホップを聴くようになったきっかけについて教えて下さい。
「中学生の時ですかね、当時、アシッドジャズが流行していて、Talkin Loud関連を聴き始めたんですけれど、そこからの流れでジャズをサンプリング・ソースにしたヒップホップなども聴くようになって、Gang Starrなどが好きで、よく聴いていましたね」
──
DJを始めたきっかけを教えて下さい。
「ターンテーブルを持っていた近所の友達がスクラッチをやっていて、『自分もやりたいな』と。あとは、映画『Juice』のDJシーンにも影響を受けましたね。あの映画のDJシーンは、実際に役者がスクラッチを実演していない部分もあるから、音と映像がずれている部分もありますけど(笑)。それはDJをするようになってから気が付きました」
──
影響を受けたDJは誰ですか。
「Kid Capriですかね。昔から好きな人で、DJとして昨年 MASTERPIECE10周年のPARTY共演させてもらいました」
──
Kid Capriと仕事が出来るなんて、ヒップホップDJとしては、この上なく嬉しいことですよね。
「『DJとしてのピークを迎えたかな?』と思うくらい(笑)」
──
ピークはまだまだこれからですよ(笑)。去年から今年にかけては、日本での大規模なDJツアーをされていましたね。
「昨年、8年ぶりに帰国して、全国18か所をまわって、今年の前半にも台湾なども含め10か所ツアーをやりました。横浜にCLARK KENTが来ていた時にDJをやらせていただいたり」

 

──
8年ぶりに帰国して、NYと日本のクラブの違いを感じることはありましたか。
「違いはあまりないですね。昔と違って今は、インターネットで海外の情報が手に入るから、日本の地方都市でも、NYとの流行の時差を感じることは少ないですし、みんな熱心に音楽を知ろうとしていますよね」
──
8年前、NYに渡ったきっかけについて教えてもらえますか。
「NYに行く前は、地元、宮崎のレコードショップで働いていたんですけれど、音楽を深く知るにつれて、『NYに行きたい』という気持ちが強くなり、実際に行ったら、『もうここから離れたくないな』、『この地で音楽と接していたい』と」
──
NYに行かれてから直にDJ活動をしていたんですか。
「はじめのうちは、英語も話せなくて、日常生活の基盤を作るのに必死でしたね。NYでレコード買い付けを始めて、日本のFat Beats、後のHomebass Recordsでバイヤーとして働きながら、徐々にDJの活動をスタートさせました。The Source誌に取り上げられたのも、そこに至るまでにはかなりの時間がかかりましたし、トントン拍子ではありませんでしたね」
──
今回、Manhattan Recordsから、ヒップホップの黄金時代と言える90年代のクラシックの数々をミックスしたCDをリリースするわけですけれど、The Pharcydeの『Runnin』やPete Rock&CL Smoothの『T.R.O.Y.』など、収録曲はいずれも90年代のヒップホップを聴いてきたリスナーには思い出深いものですね。Souljahさんなりの選曲のポイントがあれば教えてもらえますか。
「選曲のポイントは全体流れ、『起承転結』ですね。ハードコアな曲からメロウな曲、メジャーな曲からアンダーグラウンドな曲まで、偏りが出ないよう幅広いタイプの曲をセレクトしました。『起承転結』を強く意識した上で、それぞれの曲の一番の聴きどころ、ディテールを際立たせた構成にしています」
──
難しい質問だとは思いますけれど、収録曲の中からSouljahさんが一番好きな曲を選ぶとすれば、どのトラックですか。
「Gang Starrの『Jazz Thing』ですかね。Spike Leeの『Mo' Better Blues』のサントラ用に制作された曲で、映画のエンディングで流れる曲ですけれど、思い出深い曲のひとつです。Microphone Pagerの『感謝』とサンプリング・ソースが同じで、サンプリングの面白さを教えてくれた、という意味でも自分の中での存在感が大きい曲ですね」