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THINK PIECE

STEVE AOKI

世界の才能を引き寄せる
STEVE AOKIのスピリット

09 2/5 UP

Photo:Shoichi Kajino Text:Kohei Onuki

MSTRKRFT、THE BLOODY BEETROOTS、MACHINES DON'T CARE、SHINICHI OSAWA……。世界中に散らばる「いま」見逃せないアーティストたちと、次々にレコードリリースのディールを結ぶDIM MAK RECORDSオーナー、STEVE AOKI。パリにPEDORO WINTERが、ロンドンにEROL ALKANがいるように、STEVE AOKIはL.A.から世界のミュージックシーンを大きく揺り動かす。世界の才能を引きよせ、次なるムーブメントを作り出す、そんな彼の素顔に迫った。

STEVE AOKI / スティーブ・アオキ

L.A.発のレコードレーベル、DIM MAK RECORDSのオーナー、DJとして活躍。また、近年は、クロージングライン、DIM MAK COLLECTION、DIM MAK FOR KSUBIをスタート。さらに、DIM MAK TUESDAYやBANANA SPRIT SUNDAEZといったパーティの主宰、DJ AMと共に設立したマネージングカンパニーの運営を行うなど、マルチな才能を発揮する。

DIM MAK COMMUNITY
http://community.dimmak.com/

 

──
意外にもハニカムでは初めてのインタビューになるので、まずは設立12年を迎えたSTEVEさん主宰のレコードレーベル、DIM MAK RECORDSについて教えて頂けますか。
「DIM MAK RECORDSについて話し始めると、ついつい止まらなくなるんだけれど(笑)、掻い摘んで話をすると、1996年にDIM MAKをスタートして、これまでに50組以上のアーティストとサインを交わして、130タイトルくらいのレコードをリリースしてきた。最近で言えば、MSTRKRFTやTHE BLOODY BEETROOTS、ARMAND VAN HELDENなどの作品をリリースしている。1996年にDIM MAKをスタートしてから2000年くらいまでの間は、僕の自宅アパートでパンクのショーなどを開催していたんだ。これまでに、450組以上のアーティストがうちのリビングルームでプレイしてくれた。THE PAPTUREや!!!(CHK CHK CHK)もプレイしてくれたし、そう言えば、AT THE DRIVE-INなんて、うちのリビングルームでプレイした次の日に4500人の前でギグをやっていたな(笑)。そんな風にDIM MAKがスタートして、2002年にTHE KILLS、2003年にBLOC PARTY、2004年にはM.I.A、というようにビッグなアーティストのレコードをリリースするようになったんだ。
レーベルを運営しながらTHIS MACHINE KILLSというバンドを自分でもやっていたから、人生を音楽に捧げてきた、と言っても過言じゃない。たった400ドルでレーベルを立ち上げて、ひとつのレコードを出す度に次のレコードを出すためのお金を作ってきたんだけれど、もちろん家族からの投資なんて受けていないし、D.I.Yスピリットを持って、なにもかもを自分の手で作り上げてきたんだ。例えばBLOC PARTYとサインを交わした時も、大きなお金で彼らを引っ張ってきたわけじゃない。DIM MAKは、お金のためではなくて、自分たちの手でレコードを出し続ける、という継続的なプロジェクトなんだ」

 

──
STEVEさんは、セレブリティが数多く集まる大きなパーティでDJと活躍しながらも、DIM MAK TUESDAYのような、キッズが楽しめるパーティもオーガナイズしていますね。そういった部分からも、お金のためだけではなく、ミュージックシーンを盛り上げようとする気持ちが伝わってきます。
「DIM MAK TUESDAYはコミュニティに対するサービスなんだ。世界中の素晴らしいアーティストをL.A.に集めて、そこから一つのカルチャーを作り出すためのもの。5年間続けてきたんだけれど、DIPROやED BANGERクルー、BOYS NOIZE、SOULWAXのようなエレクトロ勢から、KAISER CHIEFSやBLOC PARTYのようなロックバンドまで、たくさんのアーティストがプレイしてくれた。パーティのコンセプトは自宅のリビングルームで開いていたパーティの時と変わらないんだ。規模が小さくてもいいから、パーティにスペシャリティとクオリティを持たせることが重要で、そこに人々は魅力を感じるんだと思う」
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DIM MAK TUESDAYとは別に、BANANA SPLIT SUNDAEZというパーティもオーガナイズしていますね。DIM MAK TUESDAYとはコンセプトが違うのですか。
「エレクトロ、ヒップホップ、ロック……、色んなジャンルの音楽がミックスされる、という意味では同じなんだけれど、BANANA SPLIT SUNDAEZはDJがメインのパーティ。DJ AMとDECKSTARというマネージメントカンパニーを始めて、そこに所属するアーティストとDIM MAKのアーティストがプレイしているんだ」