YOSHINORI SUNAHARA×iLL
砂原良徳とiLLが考えるコラボレーションとは。
09 8/24 UP
Photo:Kentaro Matsumoto Text:Tetsuya Suzuki
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- 例えば砂原さんは、ナカコーさんだけではなく映画やCMなどオファーに対しても求められてるモノがコレだと分かると思うのですが、自分自身のポテンシャルや方向性をナカコーさんをプロデュースする感覚で磨いていくとなるとまた話は違ってくるんでしょうか。
- S :
- 「自分のソロアルバムに関しても、自分の作ってるものを磨いてるという感覚ではないんですよ。自分のソロプロジェクトは、いつの間にかこうじゃないといけないという秩序や規則が、何枚か作るうちに自然とできちゃっていて、それに苦しめられる部分はすごくありますね。自分が作ったものを磨いてることに間違いはないんですけど、そういった感覚ではないという感じがします。じゃあ何磨いてるんだと言われてもよく分からないというか、一体何なんだろうっていう(笑)。例えば、ナカコー君が“中村”という名前で出るのと、iLLという名前で出るのとは違うわけで。iLLという名前で、ロゴマークまで格好付けてやることによって、何らかの秩序が生まれるわけじゃないですか。僕はロゴは作ってないんだけど、ちょっと似たような感覚になってるんだよね。だから僕もナカコー君のソロということで受けるけど、明らかにスーパーカーとは違うiLLという秩序があって、こうじゃないといけないんだろうなというのがすごい伝わってくるんだよね。今回はジャケットデザインもやったけど、こういう良いロゴがあるとデザインもしやすいんだよね。だから、『俺の魂の叫びを聴いてくれ』という感じのソロとはやっぱり違うよね」
- ──
- つまり、砂原さんが表現するものは、自分の人格やパーソナリティよりは「音楽として完結しているもの」や「作品として完結しているもの」なのでしょうか。
- S :
- 「あくまで作っているのは自分なんですけど、結局自分とは何かというと、生活していて社会にあるもの、例えば椅子や机、テレビの番組や音楽、何でもいいんですけど、そういうものを見たり聞いたりして感じたことの蓄積が、単に自分だと思うんです。それを考えると世の中にあるものを自分の鏡に一度映して、それをもう一度外に映してるだけの話であって、何もない無の部分から出て来たものではなくて、あくまで全てが外からの影響で、それを何かに変換して自分で出してるという感覚なんです。だから『これは俺であり、俺の叫びだ!』という気はなくて『これが世界だ!』という感じかな。外から影響を受けたものを外に出してるだけで、一体自分は何なんだという感じもするんですよね」
- N :
- 「砂原さんらしいですね(笑)」
- ──
- ナカコーさんは砂原さんのアルバムを聴かれてどうでしたか。
- N :
- 「『こんな感じなのか』みたいな(笑)。最初は、まだ完パケ前にスタジオで聴いたんですけど、どっちにするのかなと思ってました。落とし込みは砂原さんなのか、映画なのかどっちかなと思ってましたが、完パケ聴いたら映画に合わせていて、大人だなと(笑)」
- ──
- 今後も砂原さんとのコラボレーションは定期的にやられるんですか。
- N :
- 「何とも言えないですよね。何となくやってたみたいな(笑)。オファーはしたいと思いますけど」
- S :
- 「やっぱりタイミングだよね。でも多分ナカコー君とは曲を作る上で相性が良いんですよね。得意なところがちょっと違うから。僕はスーパーカー時代から考えてもわりと上手くいってるんじゃないかな。これはちょっと悔いが残るなというのは1個もないですね」
- ──
- ではこのアルバムとシングルと、iLLのアルバムもそうですが、またお2人の将来的なコラボレートを楽しみに待っていればいいということですね。
- S :
- 「そうですね、2人とも北国の生まれで会社も一緒ですし(笑)」
『No Boys, No Cry Original Soundtrack
Produced By Yoshinori Sunahra』
砂原良徳
(Ki/oon Records キューンレコード)
3,059円(税込)
発売中
『Force』
iLL
(Ki/oon Records キューンレコード)
初回盤(CD+DVD)3,360円(税込)
通常版(CD)3,059円(税込)
8/26発売
「ノーボーイズ、ノークライ」
ヒョングの仕事は韓国から日本に住むおじ・ボギョンの元に密輸品を運ぶこと。日本側ではいつもボギョンの手下・亨が迎えに来ていた。ある日ヒョングは少女・チスが荷物として入った袋を運ぶことに。だがわずかな隙に少女は逃亡。ヒョングと亨が何とかチスを捕まえると、彼女は「ボギョンから金を奪ったパパを見つけてくれたら5,000万円ずつあげる」という。ヒョングは亨に無理やり巻き込まれ、彼女の父親を探すことになるが……。
監督:キム・ヨンナム
プロデューサー:イ・ジュンホ
脚本:渡辺あや
出演:妻夫木聡、ハ・ジョンウ、チャ・スヨン、徳永えり、イ・デヨン、キム・ブソン、貫地谷しほり、柄本佑、あがた森魚
音楽:砂原良徳
主題歌:iLL『Deadly Lovely』
製作国:2009年日本・韓国合作映画
上映時間:1時間54分
配給:ファントム・フィルム
2009年8月22日よりシネマライズほか全国にて公開
©2008『The Boat』フィルム・コミッティ
http://www.noboysnocry.com/