TOKYO BLACK STAR
TOKYO BLACK STARが示す
ダンスミュージックの未来系
09 6/8 UP
Photo:Yuji Hamada Text:Tetsuya Suzuki
- ──
- すごく映像的というか、その辺は自然にというか、ある種のテーマだったりとか、共通のキーワードみたいなものを持ち寄って曲を作っていくというのはあったんですか？
- A :
- 「そうですね、ここ数年バルセロナに行ってDJしたり、僕自身バルセロナが好きなんですが、熊野さんのガウディ好きが講じて、彼の話で盛り上がったりとか、ガウディの彫刻みたいな音にならないかなとか、そういうイメージの話はしてましたね。」
- K :
- 「あまりテクニカルなこと、例えば細かいキックの音がどうとかっていうのは関係なく、もうちょっと全体的な色彩感とかイメージの話をしてますね。あとはデコレーショントラックにかなり影響を受けて、あれがすごいってことになって、その写真を一緒に見ながら。」
- A :
- 「日本独特でカッコイイところがあるなって思って、そういう尖ったものが結構好きだから、映画だったりとか、スタンリー・キューブリックの話とか、色々影響されてるよね。」
- ──
- デコラティブな要素を、逃げずに付け加えて行きたかったということでしょうか。
- A :
- 「そうですね。」
- K :
- 「大袈裟っていうぐらいにやっていんじゃないかなって。」
- A :
- 「曲自体もそこまで編集されてない部分があったりとか、演奏で間違ったりするときがあったりするんだけど、すごいグルーヴも雰囲気もいいからそのままキープしたりとか、back to basicって言葉が出てきたけど、すごく正直に人間的な生き物のように、実際にそういう作品も好きだからね。」
- ──
- ダンスミュージック以外に、音楽でも映画でも建築でも、そういうインスピレーションを受けたもの、あるいは2人の共通の話の中で出てきたものって、いくつか出てくるものがあれば教えて頂きたいのですが。
- A :
- 「アーティストで言えば、岡本太郎、ガウディ、イサムノグチ、スタンリー・キューブリックとか色々あるけど、洗練された人で自分たちのフィーリングに合う人っていうのはその辺が最高峰になりますね。あとはアルバムを作ろうって思ったときに、例えば音楽的な部分で言うと、Massive Attackの『Mad Professor』のダブなアルバムも相当やられたし、あのリミックス的な感じがすごく影響されましたね。」
- K :
- 「でも気を付けていたのが、本当の大芸術家みたいな人たちのものから印象を受けて、そればっかりやっててもスノッブな感じになっちゃうんですよね。何か地面から湧き出てくるようなものじゃないと。」
- ──
- 形だけになっちゃうってことですね。
- A :
- 「そうそう、自分たちで作ったり、パーティは自然にやってるから、もうちょっとそこから出てくるもので何かちょっと上手く表現できるものはないか探してて、それでデコトラを見つけたりね（笑）これは芸術家の先生とかじゃないんだけどカッコイイですよね。海外の人たちが見ても結構ビックリするしね。曲作らないで群馬で開かれた集会に行ってたからね。」
- ──
- 音楽の中に、エモーショナルなモノを取り込みたかったということが一番ですよね。２人のライブでは、さらにエモーションというか、体から湧き上がってくるものが音となって発信されていると思うんです。
- A :
- 「結構ライヴらしいライヴはできたと思うよね。」
- K :
- 「手でやるっていうのを準備してて。」
- A :
- 「ミキサーで構成を作って、エフェクトも加えてね。」
- K :
- 「パットをかけてそのまま。」
- A :
- やってるフリっていうのは伝わらないと思うし、ある程度僕らの中でできるライヴっぽいライヴ、どういう機材を使うかっていうのもちょっと前から色々考えたりとかしてて。」
- K :
- 「あとデコトラのホーンを作ったりね（笑）」
- ──
- そして、アルバムとして作品を出すっていうことの意義もあると思うんです。その辺は意気込みじゃないけれど、例えばライヴとヴァイナルのシングルと配信だけっていうやり方も出来る中で、CDでパッケージされたものをリリースするっていうのが、なかなか逆風じゃないですか。
- A :
- 「もともと始めた頃は、12inch出せばいいっていう風に思っていたんだ。でも『Blade Dancer』で変わって、Innervisionsレーベルも始まって、みんなとすごい良い関係で何枚かアナログを出すことになって。彼らと共通する部分もすごくあって、アルバムの話が出始めたときから色々話をしてて、彼らもアートやデザインがすごく好きで、アルバムを出す話が決まったときにはみんなで意見を合わせて考えてたね。ちょうどその時にマツさんと良い関係だったっていうのもあって、アートフォームこそ違うんだけど、すごくアイデンティティー的に近いなと思ったんだ。それをディキソンたちInnervisionsレーベルにプレゼンしたときに、すごく反応してくれて、自然にここまできたっていう感じだね。最初からアルバムやるなら中途半端なものはやりたくないし、CDは売れない時代かもしれないけど、CDを出すならすごくシンプルなものを出すか、もしくは豪華なものを出すかっていう、最終的にそういう話になって。やっぱりレーベル的にも良いものを出そうよってなって、BOXセットとか色んなアイデアがあってこのパッケージになったんだけどね。」
- K :
- 「もう一つは10年ぐらい前の状況から比べると、今はすごい変わってきてますね。当時はやっぱり12inchレコードが出せるってことで、イメージの創作物を共有したりとか、伝達やパーティも含めて機能してたんですよね。色んな仲間の新曲を聴いたり、それが普通に流通することが刺激的だったんですけど、今だいぶ細分化して分断されてきちゃって、パーティ自体もデジタルになってきたこともあって、モノ自体が重要じゃなくなってきてるかなって。当時はラベルの作り方ひとつとって見てもアイデアがあったりとか、面白い遊びのコミュ二ケーションがとれていたんですよね。そういう部分では、若干寂しいなっていうのを少し感じてて、こういう形でやれば、イメージの伝達じゃないけど、パッケージからしっかり内容が伝わるような、全部で一体っていうものを見せていくっていうか。」
- A :
- 「コミュニケーションが実際にとれるしね。」
- K :
- 「パーツにして便利になってく世の中で、扱いやすくはなるんだけど、一緒になったときに出てくるイメージみたいなものをやりたいっていうか、全体の流れだったりとか、曲もそうなんだけど、そういうことはすごく考えてますね。」
- A :
- 「もちろんデジタル配信でもアルバムは発売されてるし、色んなフォーマットがあって良いと思うんだけど、やっぱりこういう形でパッケージに僕たちの世界観やストーリーが全部が入ってるからね。」
- K :
- 「あとはコラボレーションというか、狭い部屋で僕ら2人が作ってたものが、マツさんが加わることですごく良いパッケージになったし、Innervisionsレーベルもそうなんだけど、みんなで遊べるものに育っていくという意味では、ライヴも含めて肉付けされて遊びが変わって行くっていうのが面白いなって思いますね。」
TOKYO BLACK STAR
『BLACK SHIPS』
INNERVISIONS
2800円[税込]
発売中
1. Power Dreams
2. Caballero
3. Violent Rush
4. Black Star feat. Rich Medina
5. Reincarnation
6. Still Sequence
7. Deep Sea
8. Kagura
9. Game Over
10. Midnight Emperor
11. Intermission
12. AES-S3
13. Sepiaphone
14. Blade Dancer Beatless
※こちらの商品はhnyee.Storeにて販売いたします。
