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Text:Mayumi Horiguchi
UKの音楽メディアがこぞって取り上げている話題の新人、ザ・ビッグ・ピンク。英音楽誌NMEでは、「ザ・ビッグ・ピンクは世界一コネクションのあるバンドか?」と題し、新人としては超異例の中面ファミリー・ツリー特集を組んだほど。ちなみに、この件に関しては、メンバーのマイロとロビー、二人とも「単に扇情的に盛り上げてるだけ。実際には知り合いじゃないバンドがいっぱい繋げられているよ」と苦笑していたが、この2人組が大きな注目を集めていることは、まぎれもない事実だ。
クラブ・アンセム化した「トゥー・ヤング・トゥ・ラヴ」やシングル「ベルベット」をはじめ、彼らのクリエートする楽曲群には、様々な音楽要素がみてとれる。マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン的フィードバック・ギター、ダンサブルなビート&サイケデリック感漂うマンチェスター・サウンド、ノイズ、インダストリアル等々……そこに壮大でメランコリックな甘声コーラスが加わり、耽美的な音世界が構築される。アートワークも含め、とても芸術的で、まさに「最新鋭のポスト・ロック」といった感じ。所属レーベルである4ADが80年代に発表したアーティストや作品群は、退廃的な音と耽美的なデザインのアートワークが特徴的だったが、この二人もまた、コクトー・ツインズやデッド・カン・ダンスのように、「ダークサイド」に強く惹かれているのだろうか?! そんなことを思案しつつ、ザ・ビッグ・ピンクの二人にインタビューを敢行。二人ともナイス・ガイに見える——が、果たして実像は?!
クラクソンズ、ザ・ホラーズ、ザ・ティーンネイジャーズ、クリスタル・キャッスルズなどを輩出したインディ・レーベル、Merok Recordsの主催者でもあるマイロ・コーデルと、Panic DHHでのバンド活動や、アレック・エンパイアのバックバンドでのギタリスト経験などを持つロビー・ファーズから成る、英国ロンドン出身の2人組。09年に名門レーベル、4ADと契約し、同年4月シングル「VELVET」を発表。英音楽誌NMEの「最も期待される新人」に与えられるRADARアワードを09年に受賞し、注目を集める。マッドチェスターやシューゲイザーの影響を感じさせる、陰影に富んだエレクトロ・サウンドが特徴。サマーソニック09に合わせ初来日を果たし、10月14日にデビュー・アルバム『ア・ブリーフ・ヒストリー・オブ・ラヴ』をリリースする。
http://www.beggarsjapan.com/artists/TheBigPink/
http://musicfromthebigpink.com/