THE BIG PINK
21世紀に甦ったポジパン?!
愛を尊ぶ、新・耽美派バンド
09 8/31 UP
Text:Mayumi Horiguchi
- M :
- 「ゴシック・バンドでもないよ。なんていうか——好きなようにやってるだけさ。単に、僕ら二人を反映したものなんだよ」
- ──
- なるほど。新作のレコーディングはどうでした?
- R :
- 「素晴らしかったよ! ニューヨークでやったんだけど、場所がエレクトリック・レディ・スタジオだったんだ。信じられないほど良かった! 毎日、ジミ・ヘンドリックスを感じながら、デヴィッド・ボウイやジミが使ったマイクを使ってレコーディングするなんて、最高さ!」
- M :
- 「ニューヨークってそういう凄さのある街だよね。街に殺されかねない。そしてスタジオも、そんな街の一部なんだ。ジョー・ストラマーもキース・リチャーズも、ジミ・ヘンドリックスも使ったスタジオでレコーディングするなんて、素晴らしい経験になったね。それ以前には、スタジオ自体を使ったことがなかったぐらいなのにね」
- ──
- ジャケットのアートワークは、コクトー・ツインズやデッド・カン・ダンス、ピクシーズ作品などを手掛けてきた巨匠、ヴォーン・オリヴァーですよね。
- M :
- 「そう。彼と、彼のデザイン会社、 v23は、僕らが今までリリースしてきた作品のアートワークを、すべて担当しているんだ。4ADの作品を数多く手掛けてきたから、自然と知り合ってね。ちょっと神経質で、小うるさいところがあるんだけどね、彼(笑)」
- ──
- アートは好きですか?
- R :
- 「俺達はアートを愛してるよ」
- M :
- 「アートを愛してるし、本も好きだよ。カメラも好きで、“デジタルハリネズミ”っていう、ちっちゃなトイカメラを、来日中に買おうと思ってるんだ。フィルムみたいな質感の、綺麗な色の写真が撮れるんだけど、でもデジタルなんだよ。日本は好きだよ。みんなすごくラヴリーだし、こんな気持ちになれる国は他にはないね。国旗も好きなんだよね、“日の丸”が! 僕らのウェブサイトやマイスペースには、いろいろな画像が掲載されているけれど、日本物もいっぱい好きで載せてるんだ。日本はセカンド・ホームだね!」
- R :
- 「ホーム・オールウェイズ・ホームって感じだね、日本は。写真家のアラーキーも大好きだよ。何冊か、彼の本を持ってるよ」
- 果たしてマイロは、“デジタルハリネズミ”を買えたのだろうか?! いずれにせよ、ザ・ビッグ・ピンクの二人は、とても知的好奇心旺盛な、良い人たちだった。耽美=退廃的ではないことは、逆に、21世紀的な耽美なのかもしれない──そんなことを、インタビュー終了後思った、暑い夏の一日だった。
ザ・ビッグ・ピンク
『ア・ブリーフ・ヒストリー・オブ・ラヴ』
2,100円[税込]
ベガーズ・ジャパン
2009年10月14日発売予定