TOKYO MOOD PUNKS
怒りと悲しみが生み出す
突き刺さるようなメッセージ
09 11/10 UP
Photo: Erina Fujiwara Text: honeyee.com
- ──
- バンドだからこそここまで表現出来る、というようなバンドの魅力を再発見したことはありますか。
- T :
- 「長い間バンドをしてきて、色んな人と関わって、色んな現場を体験してきましたけれど、いざ新しいバンドを1からやるとなると、やはり相当なパワーが必要だし、それはいくら大人になっても、若い頃と同じように、悩みながらやるはめになるんだな、と改めて痛感しましたね(笑)。バンドというスタイルは半世紀以上前からあるわけですけれど、良くも悪くも、そういう難しさがあるからこそ、バンドのスタイルは廃れないのかな、とも思うんですよ。バンドだからこそ自由にできる部分とか、バンドでしか到達できない部分がある。それはTOKYO MOOD PUNKSでも感じましたし、バンドを通じて学ぶことは未だにたくさんありますね」
- ──
- 1人で音楽を作るのではなく、バンドとして、限られたメンバー、限られた状況下でやるからこその自由がある、ということですか。
- L :
- 「バンド以外の僕の仕事は、ほとんど1人でやるわけじゃないですか。TOKYO MOOD PUNKSだと、オジサンが集まって、それはオバサン以上にうるさいから、何度もやめようと思いましたけれど(笑)、ただ、1人でやっているうちは100点までしかとれないところ、バンドなら120点まで取れることがあるんですよね」
- ──
- リリーさん、曲の歌詞はスラスラと書けるんですか。
- L :
- 「いや。シンプルな歌詞を書こうとすると、なかなか書けないですね。歌詞をまとめていく過程で、言いたいことの本質が薄まっちゃうことがあるから、それが嫌なんですよ。なので、ものすごい時間がかかりますね。1曲の歌詞を書くよりも、短編小説書く方が楽ですよ。レコーディングの間も鬱が酷くて……、血便も出ましたから(笑)。自分の中では、音楽をやっている、という感覚はあまりないんですよね。どんなに音楽性が高くても、表現として自分の考えているところに到達出来ていないのが一番恥ずかしいことで、そこに辿り着くまでが難しいんですよ」
- ──
- 世の中に対する憤りをストレートに伝える、という表現だからこその難しさがある、と。
- L :
- 「『ストロベリー』は、身近な人が仕事で抑圧されていることに対する憤りの気持ちを表現した曲ですけれど、それが社会の問題にもリンクしていて、身近な問題というフィルターを通すことで大きな問題が見えてきた、という感じはありますね。そうすることではじめて、本気で怒れる、というか。社会に対する怒りが、身の回りで起きていることに対する怒りより前提にあったら、20代の時と同じ『借り物の怒り』になっていたと思うんですよ」
- ──
- 年を重ねたことで、目の前のことを見ながら、同時にその先にある大きな物事を見られるようになった、ということですね。
- L :
- 「そうですね。腐った人間を色々と見てきましたからね(笑)。怒りと悲しみ、両方の気持ちが湧き上る。昔は、怒るだけで終わりだったけれど、今は、怒ることの責任感みたいなものがあるし、悲しみも感じるんですよね」
- ──
- TOKYO MOOD PUNKSのストレートな表現は正直意外でした。小手先のギミックだけではやらない、という感じが伝わります。
- L :
- 「みなさんも嫌なことがあった時、カラオケで『ヒーヒー』声を荒げながら歌って下さい(笑)」
TOKYO MOOD PUNKS
『ストロベリー』
映画『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』主題歌
¥1,050(tax in)
tearbridge records
2009.11.11 CD Release
http://www.lilyfranky.com/tmp