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THINK PIECE

BUSY P×KIRI

BUSY PとKIRIがカルチャー・シーンに送る
グッド・エデュケーション

10 3/25 UP

Photo: Shoichi Kajino (Interview), Satomi Yamauchi (Live) Text: Shoichi Kajino

ED BANGERのレーベルオーナーでありDJ、プロデューサーである“BUSY P”ことペドロ・ウィンター、そして原宿のストリートブランドを牽引するREVOLVERのデザイナー、KIRI。シンガポール、クアラルンプール、北京、そして東京、大阪と巡ったアジア・ツアーを終えた2人が語った音楽とファッションとエトセトラ。

PEDRO WINTER a.k.a. BUSY P

JUSTICE、UFFIE等を擁する音楽レーベル、ED BANGER RECORDS主宰。昨年からクロージングライン、COOL CATSを展開するなど、精力的に活動する。
http://www.edbangerrecords.com/
http://www.coolcats.fr/

KIRI (REVOLVER)

REVOLVERデザイナー。1977年東京生まれ。1998年にブランドを設立。2005年よりED BANGER RECORDSのSO MEをアートディレクターに迎えている。2008年原宿にショップ、YESをオープン。
www.revolholic.com

 

──
今回のアジア・ツアーはどうでした?
BUSY P(以下:P)
「いつもはED BANGERのアーティストやDJとばかりツアーしているから、今回、KIRIやVERBALらと一緒にいろいろなアジアの街をツアーしたのは新鮮だったよ。そしてやっと東京に戻ってきたのは嬉しかったな。やっぱり日本のキッズはエレクトロ・ミュージックのカルチャーをしっかり持っているからね。特に東京はWOMBのようなクラブもあるし、bonjour recordsのようなレコードショップもあるからエレクトロの世界的なマップでも重要な場所になっていると思う。それに比べると北京に関してはまだそのカルチャーのほんとの始まりという印象だったよ。パーティはすごく盛り上がったし、キッズは何かを『発見』しようとしている勢いは感じたけどね。シンガポール、クアラルンプールは、パーティは盛り上がるんだけれど、集まったクラウドのバックにカルチャーがあるかはまだ分からなかったな」
──
音楽マーケットとしてはどんな印象ですか?
P :
「どうなんだろう? 残念ながら成熟した音楽のマーケットは見当たらなかった。新しい音楽は、ほとんどはインターネット経由で入っているのかもしれない――例えばYouTubeなんかは新しい音楽の大きな情報源になっているよね――、だけど中国ではインターネットでYouTubeにもMySpaceにもTwitterにも繋がらないんだ。国で規制されていて。ここ数年の音楽業界の危機や音楽マーケットの変革のおかげで、きちんとレコードが流通していないから、キッズたちは音楽を発見するためにインターネットにアクセスするか、僕たちがやっているようなパーティに来るしかないんだ。そんな中でも特に北京ではそのムーブメントのまさに始まりのような熱気を感じることが出来たよ」
──
そういう意味では、言い方は的確ではないかもしれないけれど他のアジアの都市にはこれからエデュケーションが必要だと?
P :
「そうだね」
KIRI(以下:K)
「それは僕の仕事ではないのかもしれないけれど、確かに存在感と影響力のあるリーダーが必要だと思いました」
P :
「例えば東京だとDiploやSebastianのニュー・トラックをかけただけでフロアはクレイジーな反応をしてくれるじゃない? 今回はわざといつもと違ったミックスをしたんだ。特に東京ではね。ノイズの多いミックスにはもう飽き飽きだったし、ディストーション・ディスコは僕らが数年前にずっと盛り上げてきたものだけど、今はもういいかな…と思って。例えば、昨日のWOMBではスローにスタートして、徐々に盛り上げていく感じのハウスのスタイルでミックスしてみたんだ」

 

K :
「今回ツアーを一緒に回っていて、ペドロのミックスを聞いていて感じたのは、彼は完全にフロアをコントロールすることが出来るDJだということでしたね。スローにスタートして、徐々にあげていって、最後はどんな種類の曲をプレイしてもフロアを沸かすという感じで、オーディエンスを掌の上で転がしているというか…。ジャンルをクロスオーバーするっていうのは以前からペドロがやってきたことだし」
──
KIRIくんやREVOLVERのアジアでの知名度はどうでしょうか?
K :
「まだまだですね…、NIGO®さんだったり、自分より上の世代の人はとても知られているような印象を受けたけど、僕らの世代はまだまだ知られてないな、というのが正直なところです」
P :
「一般的には音楽はファッションよりも速く広がるよね。いまや音楽はプロダクトではないし。でも今回中国で取材を受けて驚いたのは誰もが僕がNikeのスニーカーとコラボレートしたことを知っていたことだね。中国の人ってとってもスニーカーには詳しいよね。たとえばそういうことが僕たちのレーベルの音楽への新しい入り口になって広がっていると思うと嬉しいね」

K :
「話題性のあるコラボレートというのはやっぱり強い気がしますね。以前、香港でもそれは感じました。ただ、今の状況のままでいきなりREVOLVERとSO MEとのコラボレーションを紹介していくという状況ではないという気はして…、今回のツアーがひとつの始まりのきっかけになるとうれしいんですけどね」
──
今年はED BANGERはリリースでも賑やかな年になりそうですね。
P :
「うん、たくさんのニュースがある年になりそうだね。まずはUFFIEがついにデビュー・アルバムを完成させた――完成まで3年かかったけど、これは5月にリリースになる予定。Feadz、Sebastian、Mr.Oizo、Mirwaisがプロデュースしてくれている。新しくサインしたBreakbotもシングルをリリースしたばかりだし、Mr.Flash、Mickey Moonlightも新しいEPを作っている。MehdiはRitonといっしょにハウス・ミュージックを作っている。去年はDJやパーティで忙しい年だったけど、今年はリリースで忙しい年になるよ。それからCool Catsでのマーチャンダイジングも忙しくなってきた。単に楽しみのために始めたんだけど、順調で、これまではパリのcoletteと東京のYesだけで売ってのを、これからはロンドンやベルリンのショップにも展開していくことになりそうだよ。SO MEはグラフィックに大忙し、僕もBusy PとしてもDJやスタジオで大忙しだよ。KIRIとはUFFIEのリリースにあわせてREVOLVERで一緒に何か出来れば良いと相談しているんだ。それからREVOLVERとのミックステープの企画もあるよね」