渋谷慶一郎
拡大する、渋谷慶一郎の「音楽的フィールド」
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Photo: Kenshu Shintsubo Text: honeyee.com
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- 相対性理論とのコラボ後、周りの評価が変わったと感じることはありますか。
- 「僕は驚くほど周囲に興味がないというか、実は音楽のことしか考えていないので、周りの評価や状況というのはどうでもいいというか、全く気にならないですね」
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- ポップフィールドに行くことで、リスナーやメディア、レーベルとの駆け引きのようなものが出てくると思うのですが、そういった状況下でアーティストとして自分を表現していくことに興味はありますか。
- 「うーん、でもそういう駆け引きは、この情報速度の中ではもはや通用しないですよね。当たり前だけど、戦略がないのが一番戦略的なわけです。解釈、分析できないというのが。僕はそれをATAKでやってきたから、つまり好きなことを好きなようにやってきたからそれは変わらないし、それを信用してくれる相手とじゃないと仕事するのは難しいでしょう」
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- 今後、また他のアーティストと一緒にやるとしたら、こういう人と組みたいといったビジョンはありますか?
- 「ビジョンがあるわけじゃなくて、出会って自然にやることが決まっていく人というのが理想的です。だから会って実際に見たり話したりしたときの感じみたいなのが大きいかもしれない。話した内容とかではなくて。ただ、少し違った文化圏を持っている人のほうが面白いかなとは思います」
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- 「そういった活動の先に、日本の音楽シーンの未来を担う役割を意識することはありますか。
- 日本に住んでいたらあるでしょう。自分だけ良ければいい、というのは全然面白くない考え方だと思うので。あと、コンサートやインスタレーションで日本以外の国に行くことはありますが、最近のこの国の状況は結構特殊で面白いと思っています。ただ、そういう状況論的なこととは別に音楽を作るというのは、規模はどうであれ、非常にプライベードな作業です。そしてそのプライベートで親密な感じが非常にパブリックな効力を持つというのが面白いなと思っています。今はたくさん音楽を作りたいと思っているので、その対象を拡げていくチャンスだなとも思っています。また2月からは2ヶ月間、毎週金曜日にシングルとして一曲ずつ、高音質配信をするという『single file project』試みOTOTOYというサイトで始まります。これは配信を週刊誌のようにシングルで、というコンセプトで今の配信の状況には合っていると思います。今年は、たくさんの展開が同時に進行しそうな予感がしています」