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ROC TRAX

DEXPISTOLSが語るROC TRAXの「最新形態」

10 1/26 UP

Photo: Kentaro Matsumoto (Interview) Text: Kohei Onuki

日本、そして世界のダンスミュージックファンをロックするDEXPISTOLS。
そのDEXPISTOLS率いるROC TRAXが最新コンピ『LESSON.06 “ROC TRAX JAM”』をリリース。
激しく変化するダンスミュージックシーンにおいて、常にカッティングエッジであり続けるDEXPISTOLS、
そしてROC TRAXの「最新形態」とは?

DEXPISTOLS MySpace
http://www.myspace.com/dexpistolstokyo

 

──
このコンピに収められたDEXPISTOLSの新譜 “Bird of Paradise”と“New Jack House”を聴いて音楽性が変化したなと感じました。
DJ MAAR(以下:M)
「アップデートはされていますけど、ガラッと変化したのか、というと、あまり自覚はないんですよね。ただ、客観的な立場から変化を感じてもらえるのは嬉しいです」
──
強引な例えかもしれないですけど、アーティストならDIPLOとか、レーベルならSouthern Fried Recordsとか、その辺のエレクトロハウスに通じるテイストが、新譜からは感じられたのですが。
M :
「去年出たMajor Lazerのアルバムはすごく格好良かったですし、あと、去年からのハウスリバイバル的な流れから出てきた曲にも格好良いものがたくさんあって、そういうものに対する自分たちなりの答えは曲に反映されているかもしれないですね」
──
前作のリリースからこれまでの1年間にダンスミュージックシーンに起きた変化を、2人はどのように捉えていますか。
M :
「これまでのエレクトロって、ダイブやモッシュをしながら盛り上がるみたいなところが強くありましたけど、最近は、『ずっと踊り続けられるもの』が求められている気がしますね。逆に言うと、ダイブやモッシュをしなくても盛り上がれる雰囲気が出来てきた感じがしますね」

──
その変化にともない、DJセットも変わるわけですよね。
M :
「そうですね。一晩中単に『アゲる』わけじゃなくて、別の意味合いで『振り切った』DJセットをやりたい、という気持ちはあります」
DJ DARUMA(以下:D)
「ただ、DJの責任としてお客さんがあまりに理解し難いセットはやるべきじゃない、という部分もあるので、普段のDJセットではその『振り切った』ポイントは小出しにしています。もし『完璧に新しいDJセットにしていいですよ』と言われたら、自分たちが考える思い切りフレッシュなプレイ、してみたいです」

 

──
その『振り切った』DJセットに期待しているダンスミュージックファンも多いと思うのですが。
M :
「確かに、『振り切った』ポイントを出した時、それにしっかり反応してくれるお客さんもいるんです。ただ、自分たちビビりなんで(笑)」
D :
「お客さんのテンションが下がるの、見たくないじゃないですか(笑)」
──
お客さんのテンションが下がる時なんてあるんですか。
D :
「結構ありますよ(笑)」
M :
「自分たちが勝手にそう判断しているだけなのかもしれないですけどね。お客さんが音に深くハマっている様子が、テンションが下がっている、という風に見えているだけなのかもしれないですし。最近は、昔みたいに単に『アゲる』より、波を作るセットなんで、お客さんのテンションをしっかり見極めないといけないな、とは思います」
──
ここ最近のダンスミュージックシーンの変化は、新譜にも強く影響しているわけですよね。
D :
「そうですね。“Bird of Paradise”と“New Jack House feat. JON-E”、あとM.S.K.というレーベルメイトと作った”House in My House” という曲なんかは、最近のハウスリバイバルの流れに対する自分たちなり答えの提示の第一弾という感じです」
──
M.S.K.によるM.F.S.B.“K-Jee”のカバー曲も、現代のエレクトロハウスの要素が随所に盛り込まれていて、新鮮に仕上げられていますね。このコンピと同時にROC TRAXからソロアルバムをリリースするM.S.K.とは、何者なんですか。
M :
「M.S.K.は中学校の同級生で、昔から一緒にDJをしたり、曲を制作してきた遊び友達なんですよ。お互い音楽シーンに嫌気が差して、音楽をやめていた時期もあったんですけど、またやり始めて。M.S.K.はフランスのInstitubesレーベルから日本人初のリリースをしていて、音楽的にも近いものがあるから、『どうせならうちのレーベルでやろうよ』と」
──
お2人が考えるM.S.K.の魅力について教えてもらえますか。
D :
「とにかく繊細な音作りが魅力ですね。職人気質。あと、捻くれているのか、単に感覚がおかしいのか、よく分からないんですけど、尺の取り方がすごく独特。なので、DJからするとM.S.K.の曲はつなぎ難い(笑)。まあ、そういうところもM.S.K.ならでは」
M :
「とにかく変わり者なんです。基本的に病んでいますし(笑)。ただ、変り者だけにスキルがすごく高い。ROC TRAX初のアルバムアーティストがM.S.K.で良かったです」