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THINK PIECE

Don Letts

多彩な活動を続ける
英パンク界のゴッドファーザー

08 11/26 UP

Text:Mayumi Horiguchi Portrait:Wataru Umeda

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B.A.D.といえば、ステューシーの手書きロゴや服をフィーチャーしたカヴァー・アートも有名ですよね。
「ステューシーの創始者であるショーンとは、仲が良かったんだ。ショーンは多分、俺たちの音楽が好きで、俺たちは服が好きだった。素晴らしい関係だったね。ビジネス上の付き合いじゃなくて、世界をより良いものにするための"文化的なやりとり"が行われたってことなんだよ。ステューシーとは、単なる服のブランドではないんだ。ステューシーは、アクメ〜のように、'クラブ'的な存在なんだよ。人々が文化的なアイデアを交換できる、国際的なクラブなのさ。グラフィティのようにね」
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BBCでラジオ番組を始めたと聞きました。それに、つい先日、新しいコンパイル・アルバム「ドレッド・ミーツ・グリーンスリーヴス;ア・ウェスト・サイド・レヴォルーション」をリリースしたんですよね。
「ああ、ラジオの番組名は『カルチャー・クラッシュ・レィディオ』というんだ。あらゆるジャンルの音楽をエアプレイしているよ。世間はみな、ドン・レッツはイコール、レゲエと思ってるみたいだが、それは大きな間違いさ! 一つのジャンルだけを聞くのは、お子様だけだ。このラジオ番組は、インターネットでも聴けるから、日本のみんなにも是非聞いて欲しいね。最新アルバムは、レゲエの有名レーベルであるグリーンスリーヴの所有する楽曲の中から、俺のお気に入りのものを選んでコンパイルしたものになっているんだ。ちなみに、俺の自伝である本『カルチャー・クラッシュ──ドレッド・ミーツ・パンク・ロッカーズ』を読んでもらえれば、俺のすべてが、まる分かりになるぜ!」

 

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でも、邦訳版はまだ出てませんよね。英語ヴァージョンだけだと、読める人は限られると思いますよ。
「そう、それが問題だよな。どこかの版元が、日本語ヴァージョンをできるだけ早く出版してくれることを望むよ!」

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あなたにはDJ/ミュージシャン/映像作家を始めとする様々な「顔」があり、活動範囲も多岐に渡っていますが、それらすべてを通じて、世間に伝えたいことは、一体どんなことなのでしょうか?
「俺がボブ・マーリーから受けたインスピレーション……そして、ピストルズ、ザ・クラッシュ、サン・ラ、ギル・スコット・ヘロンから受けたインスピレーションを、今度は俺から、人々にインスピレーションとして与えたいんだ。だから俺は映画を撮り、音楽を作っている。俺ができることをすべてやっているのさ。世界を少しでも、より良いものにするためにね。企業というものが、音楽からロックンロールやパンク・スピリットを奪い去ってしまったのが、現代だ。でも、音楽は単なるプロダクトではない。俺は、音楽が人々のマインドを変えてきた時代に、子供から大人になっていった。しかし今は、企業が新しいスニーカーを人々に売りつける材料として、音楽を用いている。だから若い奴らは、音楽を企業から奪い取らなければいけないんだ!! なぜなら、音楽は若者のものなのだから。決して企業の所有物ではない。ビジネスマンのものではないんだよ。日本の若者にも、このことをぜひ分かって欲しいね。アティテュードは、金では買えないものなんだ。そしてだからこそ、クールなんだってことをね!」