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THINK PIECE

CAN YOU COLLABORATE?

結成20周年を迎えたスチャダラパー、
コラボ音源とPV集のセットをリリース。

08 12/9 UP

Text:Tetsuya Suzuki Photo:Shoichi Kajino

なんと今年結成20年を迎えたスチャダラパーが、それを記念して、というわけでもなく(?)、
これまでに発表されたリミックス、客演等のコラボ音源をコンパイルしたCDと過去のPVをDVDにまとめセットにした
企画版 『CAN YOU COLLABORATE? ~best collaboration songs & music clips~』をリリースした。
スカパラ、RIP SLYME、Ugly Duckling、CORNELIUS、グループ魂等々…とのあまたのコラボ曲、
そしてタケイ・グッドマンとのコラボレーションであるPV集からは、
スチャダラパーというユニークな存在がシーンの荒波を掻き分けながら、
気づけば辿り着いていた場所がどこであったのかを理解させてくれに充分のインパクトと楽しさに溢れている。

 

──
今回のリリースには、やはり結成20年のアニバーサリー的な意味合いが……。
BOSE (以下: B )
「そこは、そうでもないんですよ。何となく気が付いたら20周年だったということで。区切りとしては、90年のデビューを基準にした方が分かりやすいと思うし。『ストリートデビュー何周年です!!』とは言わないもんね(笑)」
──
むしろ、コラボレーションやリミックス、スチャダラパー名義ではないものも含めた『ジ・アザー・サイド・オブ・SDP』をまとめたという感じでしょうか。
B :
「そうですね。逆に、例えば自分で好きなアーティストが参加している曲を集めて、こういうプレイリストを作ろうとすると、いちいち調べて、何枚もアルバムを買ってって、結構面倒臭いじゃないですか。だから、『企画盤としてこういうのがあったら、ひょっとしてみんな便利かな』という気持ちで」
──
とはいえ、収録曲の選曲をしていく中で、自分達のキャリアを改めて振り返ったり、認識するということはあったんじゃないですか?
B :
「そうですね。普通のラップグループって、他のアーティストをフィーチャーしたり、あるいは、その逆という機会が多いと思うんですけれど、僕達はあまりそういうことがなくて、大体、友達とやるくらいだったんですよね。色々な人に誘われるようになったのは、実はここ最近で、この企画盤を聴いていると『このタイミングで色々やりだしたんだな』というのがよく分かる。『スチャダラ外伝』や『今夜はブギーバック』の時は、知り合い以外とやることなんて想像も出来なかったですから。今は他のアーティストに対しても『あえてこうする』とか『逆にこうする』みたいなものアイディアがガンガンある」
──
その「あえてこう」「逆にこう」に当てはまるものは、このアルバムではどの曲ですか?
B :
「DJ CELORY君とやった曲かな。ポンと頼まれて。面白そうだからやってみた」

 

 

──
スチャダラパーを分かっているつもりでいるリスナーも、このアルバムを聴くことで「こんな曲もあったんだ」と改めて発見するものもあると思います。グループ魂とやった曲とか、あまりの面白さに驚きますよ(笑)。
ANI (以下: A )
「あれは一番新しいものじゃないかな」
B :
「宮藤(官九郎)君が『グループ魂と曲をやろうよ』と言ってくれて、彼等の『中村屋』っていうネタが好きだったから『中村屋みたいなのが出来たらやりたい』と言ったら、実現したんですよ。大好きな『中村屋』の中に自分が入れた、夢が叶った!的な(笑)」

──
グループ魂との「笑い」をはっきりと打ち出している曲もあれば、ストイックにヒップホップのカッコ良さを追求している曲もありますよね。Ugly Duckingとの曲なんかはそうじゃないですか。
A :
「Ugly Duckingね……。ラップを入れることになるとは思わなかったな」
B :
「リミックスを頼まれたんだけど、『ラップも入れなよ』って」
A :
「『ラップも入れればいいじゃーん』って。気軽ですよね(笑)」
B :
「そんな感じで始めたから、気合いを入れたつもりではなかったんだけど、なんかトラックがすごく格好良く仕上がって。『アレ!? カッコ良い曲出来ちゃった』と(笑)」
──
コラボレーションをすることで自分達も気が付かないうちにキャパを広げていることもあるんでしょうね。
B :
「例えば、DJ CELORY君とやったり、テイ(・トウワ)さんとやったりすると、 僕ら3人でやっている時とは違う意見が聞けるから、それが新鮮ですよね。それぞれのプロデューサーがどういう視点で自分達をジャッジしているのかわかるというか。自分では『これでいいのかな?』と思っていても、『そこがいいんだよ』と言われたり。それぞれ聴いているポイントが違うんですよね」