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THINK PIECE

STONED GREEN APPLES

STONED GREEN APPLESの考える“私たちのポップ”。

08 5/2 UP

Text:Tetsuya Suzuki Photo:Shoichi Kajino

──
今、話を聞いていて思ったんですけど、今の音楽って、アンダーグラウンドもメインストリームも、過去からの引用のコラージュみたいなもので、結局過去のもに対するセンスを競っているところがあるじゃないですか。それを封じるために、弾けない楽器を使ってゼロから自分たちのセンスを作るっていうところがコンセプトだったりするのかもしれないですね。
A :
「そうかも知れないですね。そういう感覚はなきにしもあらずですね」
──
結構そういう事を考えながら、曲を作ったりライブしたりというのは……、
C :
「ない(笑)」
──
……失礼しました(笑)。でも、自分たちのやり方を貫き通すというか、気にせずやりきるところが個性アーティストの良さかもしれないですね。男だと、なんとなく偉大な先輩たちの残したモノを気にしちゃう感じあるじゃないですか?
A :
「そうなんですか(笑)。でも、女の人ってまず自分の生活があって、エイジングもしていくし。スリッツもそうだと思うんですけど、エイジングが出やすいと思うんですよ。それを無理にシャットアウトするんじゃなくて、そういうことを良いカタチで出していきたいです。タフだけどその時その時でいいものを探して」
C :
「女の子は一人一人全然違う世界を持っていて、それが2つあるわけだから……」
──
そうした“女の子性”みたいなのものは、ちょっとこだわってる?
C :
「ただ、結果としてそうなのかな……」
A :
「別にギャルバンドがやりたかったとか、そういう訳じゃないので。たまたま私と彼女の2人のバンドになったというだけで。変なこだわりは捨てて、できないことまで無理しないだけで……」
──
でも、ギターとドラムを選ばなければ、できることはいくらでもあったわけじゃないですか。コンピューターを使うことだって選べたわけだから。『できないことをやらない』っていうよりは、『できることを限定している』ように思えるし、そこにはこだわりを感じますよ。
A :
「それは、弾ける人にとってのAコードは当たり前かもしれないですけども、私にとってはAコードを弾けた時の喜び、新鮮さは音楽にも出ると思うんです。そういう感覚とかも大事にしていきたいということです。ひとつ曲を作るたびに、新しいコードを覚えていく、みたいな」
C :
「私は『生む苦しみを味わう』というより『生まれてくる苦しみ』を味わっていたい」

──
生む側より、生まれる側でいたい?
C :
「そうそう。生まれてくる方も意外と辛いじゃないですか。そういう風な人間でいたいな。新しい楽器って、そういう部分もあるなって思う」
A :
「なんかスキルもアップしていってしまうものだろうし、次は今回のCDみたいなのはできないと思うんですよ。だから、その時その時で自分たちにとって新鮮なものとか、すごく充実したものを出していきたいと思いますね」
C :
「今はライブしたい」
A :
「ライブしたいですね」
──
ライブやりたい理由はなんですか? ライブを楽しいと感じる理由は?
C :
「生で聴いてもらえるというのが……、何で楽しいんですかね?」
A :
「なんで楽しいんだろうね。ダメな時はだめなんだけど、いい時はすごくいいと思うよね。基本的にリハの時とかは、合図しているわけではないのに同時に曲が終わる時があるんですよ。ライブでもそれができるとすごい快感なんですよ」
──
けっこうインプロっぽい感じでやっているんですか?
A :
「リハの時とかはそういう時もあります。なんせ良くできた時は、この上ない感じがします」
C :
「2人しかいない分スキマも多くて、お客さんの感じとかそのまんま出てくるから。なんか第三のメンバーのベーシストがいるような感じになったり」
A :
「空間に8の字ができて、お客さんの方に行った音が戻ってきて、また8の字ができるみたいなエネルギーの流れがあるんです。リハの時と全然違うもんね」
C :
「一人旅に行くと友達ができる、みたいな感覚があるかな」
──
2人で出した音が、何か連れて帰ってくる感じ?
A :
「うん。デートに行くみたいな感じ。お客さんとデート。おしゃれして、勝負パンツはいてね」
C :
「はいてるの?」
A :
「はいてないけど(笑)。なんていうか、いろんなことに捕らわれず、自分の感性に従って、すごく自由にやっている人たちの感覚が今はアナーキーだなと思うんです。APPLESの“A”はANARCHYの“A”です(笑)」

 

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