NEXT STAGE OF ATAK
「最初の一人になるより、最後の一人になりたい」
09 4/22 UP
Photo:Shoichi Kajino(Portrait) Furuya Takeshi(Live) Text:Tetsuya Suzuki
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- クラブイベントとしてやることで、渋谷さんの表現は「ポップ」であるということを言い切りたい、と。
- 「クラブイベントだから、というのは関係ないのですが来てもらえればこれ以上ないくらいポップな体験だっていうことは分かると思います」
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- 逆に今のポップミュージックの方がビジネスにとっかするあまり、ポップとは呼べない、ある種のニヒリズムの実践になっているような。
- 「そう、クラブですらビジネスの傾向が強くなり過ぎている。そういえば、この前カラオケに連れていかれたときにTears For Fearsの『Sowing The Seeds Of Love』とか熱唱したんだけど(笑)、今聴くと驚くほど複雑な構造を持っていますよね。言ってしまえば、ビートルズのパロディというのが表層にありつつも楽曲構造や音像、アレンジは非常に複雑でしかも良いという。にも関わらず、ポップミュージックとして成立していた。本人達は複雑にしようという意識ではなくて、言ってみれば作りたいものを作って売れていたわけです。あのあたりが臨界点というか分かれ目だったのかなという気がします。その後は、どこまで削ぎ落とすというかか、わかりやすく単純にするという流れがミニマリズムとも相まって、結局全部一緒ということになってしまったんじゃないかなと思います」
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- 比喩ではなく、本当に全部一緒になってしまっていますよね。これでは、皆が目指しているのは実は同じ一つのものなのに、それでは商品にならないから無理矢理バリエーションをつけているのではないかとさえ思います。しかも、それが音楽、映画、ファッションと、全てに言えることだと思いますが、そうやって作られたものを、果たして作品と言えるのかと思うのですが。
- 「メジャーなものは特にそうなりつつありますよね。いわゆる黄金律というものがあって、そこからいかに外れないか、もしくははみ出さない程度にバリアントをつけるかという。実際、新しいことをやっているアーティストも世界的に減っています。『ATAK NIGHT4』のジャパンツアーでは池田亮司さんと刀根康尚さんと一 緒にやりますが、池田さんはPan sonicが怪我のためキャンセルになったことからお願いしたんですが、Pan sonicと同じようなポテンシャルを持っているアーティストというと世界的に見てもほとんどいないわけです。それで人から言われて気づいたのですが、出演者が全員日本人なんですよね。ただ僕も含めて全員、活動は日本以外のほうが多いです。これは象徴的な気もしています」