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THINK PIECE

NITRAID PRESENTS RAIDBACK

〈NITRAID SB〉によるスケートフィルム
『RAIDBACK』、遂に完成。

09 5/13 UP

Photo:MURAKEN(MAIN)、Kentaro Matsumoto(RYUJIN) Text:Hiroshi Yamamoto

スケートチーム〈NITRAID SB〉設立から4年の歳月を経て、待望のスケートフィルムが完成。その名も『RAIDBACK』。
チームのリーダーであるRYUJIN、サウンドプロデューサーにMACKA-CHIN、アートディレクターを務めたEIGHT、そして〈NITRAID〉ディレクターのXBS。
作品の鍵を握る、4人の視点から『RAIDBACK』の魅力を紐解いていく。

 

スケートにおいても、なめられたくない。

待ちに待った〈NITRAID SB〉によるスケートフィルム『RAIDBACK』。
この作品のオープニングを飾るのが、チームリーダーを務めるRYUJINである。
10代の頃からスケートボーダーとして、数多くの誌面を賑わしてきたRYUJINが語る『RAIDBACK』に込めた想いとは。

RYUJIN

本名・藤井竜太郎、東京生まれ。プロスケートボーダー。〈NITRAID SB〉のチームリーダー。今年の1月にはショップ「BUMBRICH」をオープンさせた。

http://bumbrich.com/

 

──
まず、『RAIDBACK』が完成した率直な感想を教えてください。
「スゲー疲れましたね(笑)。〈NITRAID SB〉として初めてのDVDですし、チームとしてスタイルは表現できたんじゃないかなと。東京っぽい作品に仕上がっていると思います」
──
実際にどのくらいの期間をかけて制作したんですか。
「構想も含めると2年前くらいからですね。最初に僕が〈nitraid〉に所属するようになったのが2005年くらい、そこからチームとして作ったのが2007年くらい。チームができると、必然的に映像作品を残したい気持ちが湧いてくる、そこから始まった感じですね」
──
チーム編成はどうやって決まっていったんですか。
「直感的な格好良さ、ですね。結果、かなり濃いメンバーが揃っているんですけど、バランスも取れている。それはキャラクターという意味でも、ライディングのスタイルにおいても。『RAIDBACK』を通して、より伝わると思いますよ」
──
日本のアパレルメーカーが本格的なスケートフィルムを作る、というのは比較的珍しいことだと思うのですが。
「いちファッションブランドである〈nitraid〉として、日本のスケートシーンを活性化させてやろうという想いがありましたね。結成当初から雑誌での露出は多かったんですけど、チームを作った以上自分たちのスタイルをちゃんと表現するために、映像は不可欠な要素。僕らはスケートにおいても、なめられたくないですからね。」
──
RYUJINさん自身も、スケート以外でのメディアへの露出が多かったですからね。
「だからこそ、スケーター・RYUJINをきちんと見せたかったんです」
──
チームのリーダーであり、今回の作品のメインライダーとして、どのような意気込みで臨んだんですか。
「自分にとって〈nitraid〉=東京というイメージがあるので、その部分は意識しましたね。スポットもストリートをメインで攻めましたし」

 

──
実際にRYUJINさんのパートでは胸に“TOKYO”とプリントされたパーカを着用したところからスタートしています。RYUJINさんにとって、東京という街はどのようなイメージなんですか。渋谷・原宿近辺の都会的な部分と、自身が拠点にしている下町、2つの東京を見ていると思うのですが。
「僕自身のバックボーンは下町になるんですけど、下町特有の燻し銀なバイブスを都会に持ち込んでいるようにしています。都会的な部分で言うと、やっぱ人混み。それを掻き分けて滑っていくようなイメージですね」
──
撮影で苦労した部分を教えてください。
「東京での撮影は大変。僕らのようなゲリラでの撮影となると警備員や警察が、すぐに来ちゃいますからね。1つのスポットを長時間掛けて、じっくりと攻めるのは不可能。それが逆に映像としてのスピード感や、ライダーたちの集中力を高めたりすることもあるんですけど」
──
実際にどのくらいの期間を撮影に費やしたのですか。
「本格的に作りが始めて1年2ヶ月くらいあったんですけど、最後の2ヶ月くらいで詰め込んだ感じですね。追い込まれないと力を発揮しないタイプ(笑)。ただ、お祭りごとには強いですよ。大黒ふ頭でセレクターが音楽を掛けて、たくさんのスケーターを集めて撮影したときには、今後一生できないようなトリックをメイクしましたからね(笑)」
──
トリを務めた三枝さんは、スケーターとしてRYUJINさんとは非常に対照的なタイプだと思うのですが。
「そうですね。彼のようなナチュラルなパワフルさは僕には無い部分。彼とは年齢も近いこともあるので、切磋琢磨できる存在なんですよ。一緒に撮影していても、かなり刺激を受けましたしね。お互いに負けず嫌いで大変でしたけど(笑)」
──
チーム以外の多くのライダーが出演している『CLASSICS』というパートを見ると、この作品が日本のスケートボードカルチャーを盛り上げようとしているのだな、と思ったのですが。
「スポンサーの都合などもあるんですけど、スケートボードという部分ではスケーターはみんな繋がっているし、自分たちがレペゼンするスケーターは見てもらいたいですからね。それと、シーンを盛り上げるだけではなく、日本を代表するスケートフィルムとして、日本人だけで作りたかったんですよ」

 

──
RYUJINさん自身もショップ『BUMBRICH』をオープンさせるなど、最近はスケートカルチャーを盛り上げようとする意志を強く感じるのですが。
「スケーターである以上、スケートのことしか考えてないんですよ。年齢を重ねることで、やっていることもデカくなってきているし、与える影響も大きくなってきた。昔は自分自慢な部分もあったんですけど、今は多くの人に見てもらって、スケートの楽しさを知って欲しいんですよね」
──
プロジェクトの大きさという意味では、〈NIKE SB〉からシグネチャーシューズをリリースしたことも、かなり大きな出来事だと思うのですが。
「僕のスケーター人生のなかでも、かなり大きな出来事ですね。〈NIKE SB〉に所属できていることも光栄なことだし、個人のモデルまでリリースできるなんて、夢にも思っていなかったですからね。めちゃくちゃアガりましたよ」
──
それでは、最後にこれから作品を見る方にメッセージを。
「スケートボードをやっている人も、やっていない人も、カジってきた人も、あらゆる人に〈NITRAID SB〉が表現する東京というスタイルも感じてもらいたいです。あと、大黒ふ頭でのフロントフリップは、見逃さないように(笑)」