honeyee.com|Web Magazine「ハニカム」

Mail News

THINK PIECE

NITRAID PRESENTS RAIDBACK

〈NITRAID SB〉によるスケートフィルム
『RAIDBACK』、遂に完成。

09 5/13 UP

Photo:MURAKEN(MAIN)、Kentaro Matsumoto(RYUJIN) Text:Hiroshi Yamamoto

音楽の世界で考えてきた作戦や知識は全てつぎ込んだ。

作品のテンションを左右すると言っても過言では無い、音楽。
本作『RAIDBACK』では、サウンドプロデューサーとしてMACKA-CHINが参加。
トラックメーカーとして数多くの楽曲を制作してきたMACKA-CHINにとって、初めてのスケートフィルムへの音作りに、どのように取り組んでいったのか。

MACKA-CHIN

ラッパー兼音楽プロデューサー。2001年にソロデビュー。ラッパー、トラックメーカーとして活躍。NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDのなかでは、司令塔的な役割を担っている

http://www.macka-chin.com/

 

──
まず、ご自身はスケートボードをしていたのでしょうか?
「やってなかったです。それは友達のボード借りて調子こいてケガしたから(笑)。ただ、まわりにスケーターの奴らがいっぱいいて、そいつらとよく遊んでいましたね」
──
スケートボードに対するイメージ、そしてスケートフィルムというメディアの印象を教えてください。
「フリースタイル、フロー、努力、忍耐、メンタル……、どれをとっても説得力がある。強い奴はカッコいいよね。とくにバカな奴が大好き。スケーターはいい意味でバカでしょ。そこに男を感じるんですよ。海外のスケートフィルムには、クレイジーな奴から生活感がビシビシ伝わってくる。島国の俺たちには、ちょっとしたドラッグでしたよね」
──
実際に『RAIDBACK』をご覧になっていかがでしたか。
「スケーターの奴らカッコイイっすね。作品に参加できただけでもカルチャーの無限性を感じたし、次のレベルも見えてきたんじゃないかな」
──
サウンドプロデューサーとして本作品では、どのように携わったのでしょうか。
「簡単に言うと一人一人のライダーにテーマ曲を作りました。再生して、流れて、聞こえる曲は全て。僕的にはインストのフルアルバムって感じですかね」
──
スケートフィルムの音作りをするうえで、心掛けた部分はありますか?
「スケートボードのスピード感とライダーの色、そしてヒップホップ。綺麗な優しい音もスロー再生なんかに合うんだけど、彼らの生活環境を音で表現するとしたら世代的にもやっぱりヒップホップかなぁ? とか思って。技やフローにもメッセージみたいなものを感じたしね」
──
苦労した部分などあれば、教えてください。
「基本的にインストなので、曲の展開も普段ボーカルをのっける感じと全く違って、容赦なくEDITして、最終的にインストなのに起承転結のある曲にするところが鍛えられましたね」

 

──
ライダーの個性をよく捉えた音がチョイスされているように感じたのですが、各ライダーの人間性、ライディングの印象をMACKA-CHINさんはどう捉えていますか? またそういった部分は音を決めていくなかで、どのような影響がありましたか?
「実は作業に取りかかる前にライダーのみんなにちょっとしたアンケートをしてもらって、ざっくりしたものだったけど、夜とか昼とか、イケイケとかオシャレとかそんな感じのアンケートと共に過去の映像とかも見させてもらって一人一人のイメージを音で表現してみた。荒々しさや男らしさ、スマートにクールと、その場のノリでメイクするとことかってラッパーに近いなぁとか思うね」
──
スケートフィルムらしいスピーディでテンポのよい作品に仕上がっています。サウンドプロデューサーとして全体を通してこだわった部分を教えてください。
「まず主役を引き立たせてミュージックフィルムっぽくしない。でもテンポに合わせてカット割りして映像をより音の波に乗らせるみたいな、僕ら音楽の世界で考えてきた作戦や知識は全てつぎ込んだ。楽曲に関しては、あくまでも演出の一つとして効果音みたいにとけ込むように徹しましたね。どうしたら奴らがよりいっそうカッコ良く見えるかってことをね。スロー再生の時にドラムの抜き差しとか、曲の終わらせ方とか。時間軸と小節軸の共有もこだわった方です」
──
作品全体からは「東京」らしさを感じます。MACKA-CHINさん自身も作品を作るうえで「東京」は意識しましたか? また、東京にどんなイメージをお持ちですか。
「僕らの世代は東京でサバイブするってのが必須科目なんだよね。だから作品や表現方法が違くても、必然と東京バイブは出るかもしれない。とにかくこの東京にこんなヤバいシーンがあるぜってのは、映像を通して全世界に見せたいからね。細かくいえば千葉や横浜や横須賀の奴らも出てるんだけどね。そこもひっくるめて東京は最高の遊び場だと思うよ」
──
最後にこれから作品をご覧になる方にメッセージをお願いします
「百聞は一見にしかず! 目で見て感じてそれを自分なりに変換して……。ただ単に評価するんじゃなくて、吸収して何かを吐き出してもらえたら最高です」