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THINK PIECE

Against the Empire

スチャダラパーが放つ建設的な「文句」

09 3/26 UP

Text:honeyee.com Photo:Shoichi Kajino

B :
「本当にそう。言ったところで世の中は変わらない、という気持ちはどこかにあるけれど、やめたらもう終わりだろう、という気持ちもあるんですよ。音楽業界では未だに『泣ける曲』しか流行らないけれど、そんな状況でも僕たちが『必要悪』として活動していかないと(笑)。ただ、僕たちが言っていることをすごく理解してくれている人、僕たちの考え方に影響を受けて何かを作っている人もいるから、そういう意味では無駄ではないのかな、と思います」
──
『11』はスチャダラパーのハードコア路線の作品だと思うのですが、ライブやツアーはどんな雰囲気になると思いますか。
S :
「ライブはこれまでとあまり変わらないと思いますよ」
B :
「みんなで地デジの文句を歌う、という(笑)。それはそれでパーティ感が出るし、他のパーティやライブと変わらないですね」
A :
「それにしても地デジのやり方は乱暴だよね、国のやり方が」
B :
「バカボンの世界だよね。国会で決まった~の~だ~!! みたいな」
──
おかしいことはおかしい!! ということをみんなで言い合う機会がないと、俺の考えが世の中に合わないんだ、と独りで絶望してしまう人も出てきますよね。
S :
「そういう人に限って体制の方に流されちゃうんですよね」
B :
「しょうがない、と言いながら自分のせいにしちゃうので。僕たちは基本的に人のせいにしますから(笑)。国が悪いとか、企業が悪いとか。自分が悪いんだ、と内に溜め込まないで、声を大にして石とか投げていかないと(笑)」

 

──
「地デジ」というのは今の社会の雰囲気の象徴であると。
B :
「そう。中でも地デジが一番象徴的ですね。地デジが通っちゃう強引なシステムが」
S :
「テレビがつまらなくてアイディアが枯渇状態なのに地デジにしてどうするの? と。中に入れるソフトが無いにもかかわらず」
B :
「地デジをやる、と決めたおっさん連中は世の中のムードが分かっていないんですよ。世の中のムードを知っている30代くらいの人たちがトップに立てばいいのに。ハニカムだから言うわけじゃないですけれど、例えば(藤原)ヒロシ君がそういうことを決めていれば、間違ったことにはならないと思う」

──
そこで、テレビが面白かった時代、みなさんが若かった頃のカルチャーについて書かれた本『ヤングトラウマ』についてお聞きしたいのですが、当時のカルチャーは何で面白かったのか? その疑問を現在の視点から語ったのがこの本ですよね。
B :
「そう。この本に書かれているようなことで分かりやすい例を挙げると、ANIの薬師丸ひろ子熱ですね。昔、ANIが薬師丸ひろ子に熱を上げていたんだけれど、3年くらいで熱が冷めて・・・、という感じになってくる。グラグラした思春期に色んなものを好きになっては、それを否定していく。そういう行為一つ一つについて書かれた本で、今の若い人たちが読んでも面白いと思います」
──
少し話は逸れますが、薬師丸ひろ子が、というわけではないですけれど、昔のアイドルは今ほど計算された、完成された存在ではありませんでしたね。
B :
「昔のアイドルには、ぼんやりとした『夢の部分』がありましたからね。今のアイドルほど計算され尽くした存在じゃなかった。雑な作品がドンッと出て、それが間違って売れたりして(笑)」
S :
「変な風評もあったよね。菊池桃子の検便が盗まれたらしい、とか(笑)」