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THINK PIECE

History of Lewis Leathers Part2

英国カルチャー史における最重要ブランド「ルイスレザーズ」。
5代目オーナー、デリック・ハリスが語る伝統と革新。

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Text:Andrew Bunney Photo:Tommy Translation:Mayumi Horiguchi

A :
モーターサイクリングに対する、会社の重要性は何ですか。
D :
20年代から今日に至るまで、英国モーターサイクリングの歴史の一部だったことだと思う。正直にいえば、80年代後半から90年代にかけてはやや下り坂だったが、ルイスレザーズは人々の心の中ですばらしい位置をキープしていたからね。50代や60代の親父たちがここに来て、17歳のころにグレート・ポートランド・ストリートに来ていたっていう話をしてくれるんだ。そんな姿を見ていると、俺がセックス(*注4)やセディショナリーズ、アクメ・アトラクションズ(*注5)に行っていたのと同じなんだってことがわかる。ロンドン以外に住んでいる人は、ここに来るためにわざわざ旅行しなければならない。バーミンガムやシェフィールドにも店舗はあったけれど、ロンドンの店は足を運ぶのに値するエキゾチックな場所だったんだよ。多くの人々にとってはある意味メッカだったんだと思う。

TTライダーのスポンサーをしていたおかげで、有名人たちがテレビや新聞に載り、会社は多くの信頼性を得たし、同様にロードで価値のある「ロードのためのジャケット」だと認識されたんだ。
A :
ルイスレザーズがグレート・ポートランド・ストリートに店舗を構えた当時、他にはどんな店が近所にあったんですか?
D :
その頃はかなりの数の婦人服屋があったよ。それより前の20年代の初めは、このエリア周辺にはモーターサイクル専門店やモーターサイクル用の服屋がいっぱいあったんだ。どうやら、自動車、バイク、飛行機の服や装備一式を買いに行くための場所だったようだ。高級住宅地のリージェント・パークにも近い場所だからね。自家用の小型飛行機を所有していた人が、飛行場に飛行機を停泊した後、簡単に "D.ルイス Ltd." まで行けたっていう点が良かったとか、そんな感じだったんじゃないかな。

A :
現在の客層は。
D :
ここ2年は、読者層は高めで60代までが読んでいるようなクラシックなモーターサイクル・マガジンのみに広告を出稿している。だから我が社のイギリス人の顧客は、ヴィンテージのオートバイに乗るときにルイスレザーズの服を愛用しているバイカーが中心。でも、カジュアルなアイテムとして購入するために来店する人も増えてきているね。ウェブ・ショップもあって、ワールドワイドに良い追い風が吹いているんだと思う。ルイスレザーズを買いにくるフランス人もかなりいるよ。そういった事もあり再び店をオープンしたんだけど、今こそイギリスでこのショップのことを宣伝すべき時だね。よりファッショナブルな人々がジャケットを買うために訪れているから、今後も客足はどんどん増えていくと思うよ。

*注4:「セックス」「セディショナリーズ」:ロンドンのキングスロード430番地で、
名前を変えながらマルコム・マクラレンとヴィヴィアン・ウェストウッドが経営していたブティック。
*注5:「アクメ・アトラクションズ」:ドン・レッツがマネージャーを務めていた、ロンドンにあった伝説のブティック。


 

A :
このロケーションは重要だったんでしょうか。
D :
重要だと思うよ。グレート・ポートランド・ストリートから歩いて5分の場所なんだけど、オリジナルショップがあったところからもあまり遠くないし、中心部にあるからね。昔のショップと同じやりとりができるから、古い電話番号をまた使えることになったのは良かった。僕は、この特別なストリートにいるのが好きなんだ。ちょっとした沈滞さ。常道をはずれているときみは言うかもしれないけど、他人とは離れた場所にいることが好きなんだ。
A :
英国で製品を作ることは重要ですか。
D :
国粋主義的な理由というわけじゃないけど、純粋に伝統ゆえにそうしている。今までずっとそうだったし、僕が会社を所有している限りそうするだろう。スニーカーは中国で作られているけど、イギリスにはスニーカーを作るという歴史はない。だから、これは納得のいくことだと思っている。でもジャケット、ブーツ、そしてグローブは英国で作っているんだ。ジャケットとトラウザーズはロンドンで、ブーツはノーザンプトン、そしてグローヴはイギリス南西部のウェスト・カントリーで作っているよ。
A :
あなたが今まで販売したものの中で、最も人気があったアイテムは。
D :
今のところ、サイクロンかな。何年間もの間、一番人気はライトニングだったけど、ここしばらくの間にサイクロン・ジャケットは売り上げペースを上げていて、去年にはライトニングを追い越してしまったんだ。あまり多くの人々が買わなかったからだと思うが、ヴィンテージのサイクロンは探すのが難しいジャケット。ワールドワイドに流通していたのは数千枚ぐらいだと思うけれど、ライトニングほど至るところに存在していたわけじゃない。1人か2人の日本の著名な男たちがサイクロンをピックアップしてるんだけど、それから需要が増したね。あれはユニークなジャケットだよ。ウェストバンドがついているんだけど、他のジャケットでは見たことがないね。ドイツ製の他のジャケットでもそういうのがあるけど、多分サイクロンが出た後に世に出たものだと思う。

ヴィンテージ販売業者のルイスレザーズに関する意見は特別。みんな、ショットやブコといった種類のものはよく売れるが、手に入るスタイルのバリエーションが乏しいとこぼすんだ。ルイスレザーズに関しては、60年代以降はバリエーションが豊富で、おそらく74種類はあるだろう。色も選べるし、ストライプスもある、これはかなり驚くべきことだよ。