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THINK PIECE

WILL SWEENEY OF ALAKAZAM!

ウィル・スウィーニーが語るクリエイションの源泉

08 7/28 UP

Translation:Ayako Terashima Text:honeyee.com Photo:Shoichi Kajino

「バブル」と言われる程の活況を呈するロンドンのアート・シーンにおいて、
独自の視点とスタンスで創作活動を行うクリエイティブ・レーベル『ALAKAZAM!』。
なかでもレーベルのアートディレクター、ウィル・スウィーニーが手掛ける
壮大なスケール感と精緻なディテールを兼ね備えたアート・ワーク、
そして作品に流れるストーリーは観る者の目を釘付けにする。
彼のクリエイションの源泉とは一体何なのか?

WILL SWEENEY/ウィル・スウィーニー

STUSSY、HYSTERIC GLAMOUR、MEDICOM TOY、DAZED & CONFUSEDなど、幅広いクライアントを抱えるイラストレーター。また、ロンドンを拠点に活動を行うクリエイティブ・レーベル『ALAKAZAM!』のアートディレクターを務める。食べ物を題材としたサイケデリック・コミック・アドベンチャー『TALES FROM GREENFUZZ』の著者でもあり、コミックとトイをAMOS TOYSからリリースするなど、様々なフィールドでその独自の世界観を表現する。

ALAKAZAM!/アラカザム!

ロンドンを拠点に絵画、コミック、トイ、Tシャツなどの制作を行うクリエイティブ・レーベル。アートディレクターのウィル・スウィーニーをはじめ、エレクトロ・ユニット『ZONGAMIN』としての活動でも知られるアーティストの向井勧や、SILASやAMOS TOYSなどのグラフィックを手掛けるデザイナー、ロバート・グリーンらが参加する。
http://alakazamlabel.com/

 

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あなたはこれまで2冊のコミックを発行し、その他の作品においても「ストーリー性」を取り入れた作品を数多く残していますが、例えば『COACH PARTY』や『BLACK FEAST』はどのようなストーリーを基に制作されたのでしょうか?また、制作にあたって具体的にインスピレーションを受けたコミックなどがあれば教えて下さい。
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You've published 2 issues of comic books and overall, you seem to have put a strong emphasis on the narrative based aspect of your work. Could you tell us what sort of stories you created when you worked on "Coach Party" and "Black Feast"?
ウィル・スウィーニー(以下: W )
『COACH PARTY』はもともと「ツーリズム」をテーマに掲げたヴェネチアの展覧会用に制作したものです。この作品はコミック『TALES FROM GREENFUZZ』と同じ世界が舞台になっていて、そこに50~60年代イギリスの典型的なホリデーメイキングの世界観が混ざっています。バトリンズやポンティンズのような総合ホリデー施設のようなところです。特にジョン・ ハインドの写真集の中にある60年代のバトリンズの様子に強くインスパイアされました。その作品では、変てこなディテールとキッチュなインテリアのバーやダンスホール、さらに、写真に写る人たちがカメラに向かってポーズをとったり、色々な表情を見せたりと、様々な物語やミニ・ドラマが繰り広げられています。『COACH PARTY』では、そのような雰囲気を、ベジタブルやケバブ、ラブラドールから成る私自身の世界観で表現したいと思いました。打って変わって『BLACK FEAST』は、19世紀の仏人作家、J.K.ユイスマンスの『さかしま』という小説からの影響を受けています。『さかしま』は、19世紀のパリ、ボヘミアンでデカダンな人生を送る裕福な紳士の物語です。作中において主人公がディナーパーティを開くシーンがあって、そこに出てくる食べ物の色は全て「黒」なのですが、そのシーンからアイディアを得て、何時ものように、想像の世界に没頭しながら描きました。『COACH PARTY』と同様、テーブルを囲むキャラクター達は、それぞれが独自の服装、行動を取っており、それらを通じて独自の世界観を表現しています。
WILL SWEENEY( W )
Coach party was originally made for an exhibition in Venice that I took part in, themed around 'tourism'. The picture is set in the same world as Tales From Greenfuzz. It's also combined with the world of British holidaymaking in the 1950's & 60's, particularly holiday camps like Butlins and Pontins. These were places that working class families would have cheap, all inclusive holidays. I was very inspired by a book of photographs by John Hinde of Butlins holiday camps in the 60's. The various bars and dance halls were full of kitsch decor and strange detail, also there were many mini-dramas and stories in the way people posed and interacted in the photographs. I wanted to transfer this atmosphere into my own universe populated by vegetables, kebabs and labradors.
Black Feast takes inspiration from a very different source, a 19th century novel by JK Huysmans called 'A Rebours' - against nature, which is a story about a rich, decadent, bohemian gentleman in 19th century Paris. The picture is based on a sequence in the book where he decides to hold a dinner party in which every item of food is black in colour, I took this idea and kind of indulged my imagination, again, the characters around the table all have their own stories and their actions and costumes hint at these.