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THINK PIECE

Dick Page reveals his truest colors

メイクアップ・アーティスト
ディック・ページの様々な顔

08 12/12 UP

Text:Tiffany Godoy Photo:Courtesy of Jed Root Translation:Miho Matsumoto

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食べることが好きで、東京駅近辺にとっておきの秘密の場所をお持ちだとか。
「カレー屋とか、焼き鮭定食を出すような食堂が好きなんだ。東京でよく見る、ごくありきたりの店だよ。最初に食券を買ってそれを渡すと40秒後には焼き鮭と納豆が目の前に出てきて、なぜかテクノがかかってる店なんだ。東京で初めてウィスキーバーに行ったら、馬肉を出されたんだ。こう思ったよ。『誰がこんなこと考えついたんだ?自分が馬刺しを食べながらウィスキーを飲むなんて』って」

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マーク・ジェイコブスのキャンペーンでヴィクトリア・ベッカムのメイクを担当しましたよね。それからドリュー・バリモアも手がけてらっしゃいます。
「そうだね。ヴィクトリアからはあの後何回か指名があったよ。ドリューはそんなに頻繁じゃないけど。彼女は素晴らしい顔立ちをしている。成長したっていう違いがあるだけで、『E.T.』に出ていたときとまったく同じ顔なんだ」
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今日ファッションの世界で働いていると、当然セレブリティのメイクアップも手がけなければなりませんよね?
「マリオ・ソレンティとはフレンチ・ヴォーグの撮影でジョン・ウォーターズのポートレートをやったんだ。もちろん僕はメイク担当でね。ジョン・ウォーターズのメイクをやりたがらない人なんている?実際、何もしなくてもいいくらいの気持ちで、ただひたすら彼に会いたかったんだ。彼が言っていたのは、毎年映画賞シーズンの前になると必ず(誰がどの作品に出たか)勉強するんだって。レッドカーペットを歩いてるときに振り返った人を見て叫び声をあげてしまうような状況に陥らないようにね。それは怖いから、予習をきちんとやっておくってわけ」

 

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話を聞いていると、仕事でいちばんの特典は、いろいろな人と会えることのようですね。
「ファッションの仕事で会うモデルは本当に子供なんだよね。すごく奇妙だよ。僕なんて彼女たちの年齢より古い靴を履いてたりするよ。でも彼女たちはこんな感じなんだ。『もうすっかり年寄りの気分よ。私なんて1991年生まれなんだから』って。ジュリアン・ムーアやイザベラ・ロッセリーニが大好きで、たまに担当させてもらってる。キャサリン・ゼタ・ジョーンズとはよく仕事するよ。彼女は本当に面白いし、地に足のついたウェールズ出身の普通の女の子なんだ。僕は英国人だけどウェールズに近い場所で育ったし、実際僕の実家と彼女の家は45分しか離れてないんだよ。彼女みたいに堅実な人間はなかなかいないと思う」
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日本人はそれとはかなり違いますね。もっと自己演出に力を入れています。
「毎日自分の見た目をすみずみまで計算しつくしてるよね。男の子のヘアスタイルマガジン、『チョキチョキ』でやってるみたいな。僕は手の込んだヘアスタイルってだめなんだよ。凝った髪形ってすごく萎えてしまう。セクシーじゃないんだよね」
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でも東京では何でもかんでも入念ですよね。
「マンガみたいだよね。男のセクシーさは安くて腕の悪い床屋で切ったような、ラインが曲がってたりするようなカットなのに。今出回ってるような男性向けのグルーミングキットやメイクアップ用品は、前はなかったよね。それはすごく素敵だと思うよ。日本以外の国でこんな素晴らしいものはないよ」